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6月29日 午前中

 昨日から28~29度あたりを右往左往する最高気温。2024年は6月の末まであまり暑い日がないまま来たので、私はすっかり夏が暑いことを忘れていた。

 今年もまた、選別が始まる。夏は大きな鎌を持つ陽炎のような姿をしていて、季節が来ると体を大きくして人の上に覆い被さる。下にいる人間達は絶え間ない暑さに悶え苦しみ、その苦行に耐えた者だけが死の選別から逃れ、次の夏への挑戦権が与えられるのだ。(夏は図々しいにも程がある。)

 そんなことを考えながら起きたのは10時。最近は暑さのため過眠傾向が否めない。眠気が醒めきる前に、扇風機を買ってこなければ、と思った。さもなくば私は今年の選別で負けてしまう。

 10時30分に家を出る。遠くの景色に小さく夏が見える。私と一定の距離を保ってゆらゆらと揺れて、本人はいたって涼しげで不快だ。

 とりあえず近くのリサイクルショップへ。古くも新しくもない扇風機が3,800円。値引きできないかと店主に尋ねるも「今時期は値引きしなくても売れるからね~」と一蹴された。確かに。

 少し歩いたところにもう一軒リサイクルショップがあるらしいとの情報を得る(Googleマップから)。コンビニで買った冷え冷え麦茶を胃の底へ流し込み、気合を入れ直して向かう。

 途中に「本好きの店 浪漫堂」という最高にgoodyな古本屋を見つけたため、吸い込まれるように店先の本を眺める。店先の本には値段が書いておらず、土埃で茶色くなっていた。本好きならこんなことはしないだろうなと、この店に対して不信感を抱いた。雑多な店内に足を踏み入れると、なんだかほしい本がたくさん見つかったので、先ほどの不信感は0に。100円古本しか買わない主義の私が「中島らも とらちゃん的日常」「亀井勝一郎 青春について」を総計600円で買ってしまう。(そして、リサイクルショップはやってなかった。)

 今日は扇風機を諦めて帰ることにする。出会いがないのならば無理に買う必要もない。と帰路に着く。そして道中の「欧風カリー ドモン」に吸い込まれる。時計は12時を指していて、ドモン店内はカウンター数席と小上がり1席のみ。すでに3~4人並んでいた。気ままに待とうと、先ほど購入した「とらちゃん的日常」を開く。

〜中略〜

 正真正銘帰宅し、服を脱ぎ捨て床に寝転ぶ。その状態で「とらちゃん的日常」を最後まで読み進め、1時間ほどお昼寝。

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