【前に進み、後ろに戻る】7
「私、人殺してるんだった」
このことを思い出すたびに、景色から色が消える。
友達と馬鹿話をしている時、周りは誰も知らないけど面白い映画や漫画を見つけた時、帰り道に野良猫がじゃれてきてニャンニャンしてる時、楽しい時に限って脳内の誰かが、お前それどころじゃないだろ、と水を差す。もう警察は犯人の目星をつけているのだろうか。私が仲良くなった人たちに迷惑をかけるだろうか。昨日買ってまだ読んでいない古本たちはどうなるのだろう。親に勘当されて家賃を滞納して電気と水道とガスのどれを残そうか悩