ならさき

アイコンは妹です。

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最近の記事

百合と罪について。〈上〉(自己紹介のようなもの、その終)

百合が好きだ。 植物の百合ではなく、いわゆるガールズラブ。厳密にはラブに限らず、“女”と“女”の関係性が描かれた作品群のこと。そんな“女×女”の繊細で濃密な物語たちに、私は魅了されてやまない。 そのうえで、私がかつて犯した罪を告白しようと思う。 この罪が、軽率に語るべき類のものでないことは解っている。 決して自慢になりはしないし、若気の至りで片付けられるほど軽くもない。本来ならば、心の中に留めたまま墓の下まで持って行くべき記憶。どれだけ悔やんでも消えることのない、忌まわしき

    • ひみつどうぐについて。(自己紹介のようなもの、その4)

      「ドラえもんのひみつどうぐで何が欲しい?」と訊かれ、「どくさいスイッチ」と即答してどんびきされたことがある。高校生の頃だ。 そのとき会話をしていたのは私を含めて四人……正確には私以外の三人で盛り上がっていて、そこに私という異物が紛れ込んでいた。 彼らは友人未満だけど割と知ってる知人、要はクラスメイトで、たしかグループワークか何かのメンバーだった。 「リアルに考えて結局どこでもドアじゃない?」「いやスペアポケットは反則だろ!」と課題そっちのけで無駄話にふけっていて、ふと、会話

      • ひとでなしであるということについて②(自己紹介のようなもの、その3)

        寄せ書き苦手だ。 一人あたり決められた大きさの枠が与えられ、そこに相手への感謝や激励の言葉を書くあの風習が、中高生の頃は苦痛で仕方なかった。 部活で誰かが県大会に出場する度、教育実習生が実習を終える度、私は心の底に泥が溜まっているような気分を味わわされた。 大して関わりもなかった実習生に感謝の念などある筈もなく、彼ないしは彼女が、将来教師になろうがデリヘル嬢になろうが私の関知するところではない。まあ、不幸になるよりゃ幸せになるに越したことはないかな、程度の感慨しかなかった。

        • ひとでなしであるということについて①(自己紹介のようなもの、その2)

          小学一年生の頃の思い出。 その日私は、担任から、学校を休んだ女の子の家にプリントを届けて欲しいと頼まれた。その女の子と私は家が近所ではあったものの、特に仲がいいという訳ではなかった。 私は当時から人見知りで、親しくもない異性の家を訪ねることには抵抗があったが、教師の頼みを断る勇気もなく、渋々承諾し、渡されたプリントを確認した。 宿題のプリント数枚。授業参観のお知らせ。学級だより。おともだちからのメッセージ。 ……メッセージ? 担任は言った。 「お休みした◯◯ちゃんに、メッセー

        百合と罪について。〈上〉(自己紹介のようなもの、その終)

        • ひみつどうぐについて。(自己紹介のようなもの、その4)

        • ひとでなしであるということについて②(自己紹介のようなもの、その3)

        • ひとでなしであるということについて①(自己紹介のようなもの、その2)

          『願い事①』について。(自己紹介のようなもの)

          先日帰省したとき、中学時代のノートを見つけた。 当時の私は一日の終わりに、ノートを1ページ埋めることを日課にしていた。大抵は詩のような散文のようなよく分からない文章で、たまに、ショートショートもどきや嘘日記を書いたりもした。 その中に、こんな短い詩があった。 『願い事①』 ひとりで花火を見上げていたら 舞い落ちる無数の花びらのなかに 流れ星が混ざっているような気がした 僕は叫んだ 「かのじょができますようにかのじょができますようにかのじょができますように」 「わ

          『願い事①』について。(自己紹介のようなもの)