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BCI GPG を読み解く 〜 #2 GPG の構成

いよいよ今回から BCI の Good Practice Guidelines (略称 GPG)の内容について解説していきたいと思いますが、今回はまず GPG の全体構成がどのようになっているかを押さえておきたいと思います。

GPG は 6 つのセクションから構成されています。それぞれのセクションは「Professional Practice」つまりプロフェッショナルとしての実践領域と名付けられており、略して PP と呼ばれます。2018 年版における各 PP のタイトルは次のようになっており、それぞれが独立した章のようになっています。

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PP1 は「方針とプログラムのマネジメント」と名付けられていますが、ここで「プログラム」とは事業継続マネジメント(BCM)に関する様々な活動を、経営層の期待する方向性に沿って効果的に実施していくためのしくみをいいます。

PP2 のタイトルを単純に和訳すると「埋め込む」もしくは「組み込む」という意味になりますが、これは災害などへの対応力を維持向上させるための取り組みを、組織に根付かせていくという意味合いで用いられています。具体的には教育・訓練や意識付けなどの活動が含まれます。 

PP3 は「分析」ですが、具体的には組織の弱点や、事業活動を継続・再開させるための要件、災害などの非常事態において優先されるべき事業活動などを分析するための方法論がまとめられています。

PP4 は PP3 での分析結果を踏まえて、その組織にとってふさわしい事業の継続・再開のさせかたを「デザイン」する段階です。そしてそのデザインを具体的な計画書などの形にする段階が PP5 で、直訳すると「実施」、「実行」、または「実現」などといった意味になりますが、ここでは「組織にとって実行可能な状態にすること」という意味合いになります。IT の分野では開発したシステムを業務環境に組み込んで、利用できる状態にすることを「インプリメント」(もしくは略して「インプリ」)と呼ぶそうですが、それと同じ意味だと思えば良いでしょう。なお事業継続計画(BCP)の文書化はこの段階で行われます。

そして PP6 は「妥当性の確認」という段階になります。具体的には、演習を行うことによって BCP の内容の内容が妥当かどうか、また BCP を実行するための準備が適切に行われているか、などを確認します。また BCP の内容のメンテナンスや見直しなどの作業も PP6 の中に位置付けられています。

これらの 6 つの PP は、GPG においては下図のようなサイクルで継続的に実施されるよう表現されています。

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それぞれの PP の中は、おおむね共通で下図のような構成になっています。まず最初に全体的な原則やコンセプトなどが説明され、続いて実務的なプロセスや手法の説明があり、最後にこれらの活動から得られる成果と、それらに対する見直しを行うことが書かれています。あらかじめ、このような文書構成になっていることを頭に入れておくと、GPG を読み進めたり、後から必要な情報を探すのが楽になります。

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次回の記事では GPG の「Introduction」(前書き)について説明させていただきます。本当は Introduction だけで 4 ページあるのですが、皆さんあまり興味が無いと思いますので、最低限知っておくべき内容に絞って 1 回で済ませたいと思います。お楽しみに (^_^) 。


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