Z世代が「労働環境」に巻き起こす大旋風🌪
今やウェブ上のみならず、テレビや新聞でさえも取り上げられるほどに認知が高まってきたZ世代。
世界的視座で見てみるとZ世代は世界人口の1/3を占めると言われ、彼らのデジタルネイティブという特質から、爆発的な消費と質の高い経済の発展、ハイクオリティな文化製品の進出まで期待されています。
ただ、国内のZ世代人口は1700万人に過ぎず、これは中国の2億1000万人・米国の6600万人と比べるとかなり小規模なコホートです。加え、近年の日本の少子化傾向からもこの先のZ世代人口拡大は望めないでしょう。
それに関わらず、ここ日本でもZ世代が注目され続けているのはどうしてでしょうか?
今回は、その注目され続ける所以を「Z世代が労働環境に求めるもの」に求め、論考を進めていきたいと思います。
価値基準は自分自身...?
Z世代のみが関与しているわけではありませんが、ここ数年で「女性の立場」や「労働者の権利」のあり方が飛躍的に改善しているのは周知の事実でしょう。
その大な要因に、「ソーシャルメディアでのオープンな発信が可能になったこと」が挙げられます。ネオ・デジタルネイティブとさえ呼ばれるZ世代は、そうしたオープンなデジタルコミュニティ(≒ SNS)で滝水を浴びるよう日々膨大な情報に接し、自身のアイデンティティをデジタルコミュニティで育んでいます。
彼らのアイデンティティによれば、Z世代の最大の価値基準は「自身の感覚」に委ねられています。職場での団結・承認・目標達成など外部的に得られる価値ではなく、内在的に自身の心でこそ感じられる満足感を求めています。... かなり抽象的かもしれませんが、それは若者の間で用いられる言葉が「優劣(ナウい・イケてる)」から「感覚的なもの(エモい・ヤバい)」に変化していることからも窺い知れるでしょう。
これは、米国Z世代が宗教から離れている所以を説明する時にも同じことが言えます。
"... 制度化された宗教のガイドラインに適合すれば、自身の信念を実現することができなくなる ..."
「グレイト・レジグネーション」は本当に訪れるのか
Great Resignation(グレート・レジグネーション)と呼ばれる「大辞職時代」は、米国でその到来が危惧されています。その中でもとりわけ、Z世代の大辞職に注目が集まっています。
前項でも述べたように、内的な自身の価値観を主軸にそえるZ世代からすれば1つ2つの転職で理想とする環境に巡り会えるかと言えばそうではありません。便宜的に1996年生まれ以降をZ世代とすれば、4年制大学を終え社会進出を果たしたZ世代はわずか3世代しか存在しません。ましてやZ世代人口の少ない日本国内では、その3世代の総人口は決して多いものではないでしょう。
しかしながら、2021年8月時点でZ世代の9割が転職を考えているという事実からも、これからの労働市場の新陳代謝のためにもZ世代・新世代が求める労働環境に近づけていく姿勢がなくては、大辞職時代も起こるべくして起こるのだと言わざるをえません。
TikTokでは #quitmyjob 付き動画の総再生回数が185,000,000回にも昇り、中でも2020年に投稿された当時19歳のShana Blackwellの動画は今なお世間の耳目を集めています。
差別的な態度やハラスメントを続けてきた他従業員への不満を店内アナウンスで大胆に放送、退職を宣言するShana Blackwell 。
Z世代の労働市場への参入は、既存の就労規範を再構築し転換させる「大改造」の引き金にもなり得ます。そして、このように「大改造」を経ない企業はZ世代により容赦ない糾弾に晒されることとなり結果「大辞職」に陥る危険性を孕んでいます。
Z世代の労働環境には、何が必要か
再三となりますが、Z世代にとって最重要価値基準は「自分自身が満足できるかどうか」。そして、いつの時代も最も新しいものに触れるのは若い世代です。Z世代はそうした新たな働き方に関心を寄せ旧来の就労スタイルを貫く企業へは、ネガティブな態度を示します。
時間外労働や職場でのハラスメント、年功序列システムなど既存の労働体制を捨て去り、新世代を中心にしたリモートワークやフレックス制など新たな働き方を取り入れた環境はもちろん、個人の心境に寄り添った労働環境こそが求められるのではと考えられます。
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