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コラム「Z世代就業観への雑感」

当noteでは、米国Z世代の就業観にまつわる ↓以下のDIGDAYの記事 を読み終え、日本Z世代の視座のもと私の就業体験談を記しました。

個人的な体験・感想を含んでいるものではありますが、日本のいちZ世代としての就業観を如実に孕んだ内容となっています。
Z世代を部下に持つ方職場でZ世代がどんな心境にあるのか知りたい方 に一読いただければ幸いです 🙇‍♂️

① DIGDAY記事「米国のZ世代が重視する労働観」の概要

 ⚫︎ [結論]「大離職時代」をZ世代が主導

・翌年には新しい仕事を探す予定のZ世代、回答者の半数以上.
・ワークライフバランスと自分の仕事全体対する満足度が最低値.
 (それぞれ56%と59%)
・通常の勤務時間内に仕事をしなければならないというプレッシャーを最も感じる = 業務時間外でやる気が出る.(全体の62%)
・「寝ながら仕事をすることが多い」と回答.(Z世代回答者の約半数)

 ⚫︎ [1/3 要因] オンラインベース思考

・若い世代、出張に強い抵抗感 = 人材の離職に繋がりかねない大きな要素.
・受け入れがたい状況下で出張しなければならない場合は、新しい仕事を探すと回答.(米国Z世代回答者の48%)

 ⚫︎ [2/3 要因] 自己・他者承認欲求

・上司に求める主要な特性として、良好なコミュニケーションを挙げる.(ミレニアル世代とZ世代)
・管理者にメンターとして指導してもらい、定期的にフィードバックを提供して欲しいと回答.(Z世代 69%)

 ⚫︎ [3/3 要因] 共同体での価値観の共有

・Z世代は常に自分の立ち位置を知りたがっており、企業のリーダーやメンターからそれを教えてもらいたい.

② いち国内Z世代が新社会人になった体験談

 ⚫︎ 新社会人なりたてのリモートワーク

1997年生まれの筆者は、ギリギリではありますがZ世代となります。

社会人1年目を迎えた2020年の春、広告代理店のコミュニティマネージャー・ソーシャルメディア運用担当という立ち位置に就くこととなりました。
終業後まもなく新型コロナウィルス第一波が襲いかかり、入社後の毎日出社はわずか2週間ほどでストップ。以後、リモートワークが主となり出社は週1度となりました。

もとより裁量労働制をとっている自由な気風の会社で、パンデミック下の出社は週一回と決まっていたものの最終的な出社の判断は個々人に任されていました。ほぼ新卒採用のない企業で、入社した時の新入社員は私のみでした。(同時期に入社した方もいらっしゃいましたが、すでに社会人経験のある20代後半の経験者)

 ⚫︎ リモートがもたらした「見られていない感」

SlackとZoomを中心としたコミュニケーションが日々続き、非常に親切な上司兼メンターの方に付いていただきながら日々業務に臨んでいました。
オープンな社風で、毎日Slack上で活発なコミュニケーションが見られ、オンライン飲み会など要望がある限り積極的に開催するなど、「まずやってみましょう」精神に満ちた環境でした。
そんな恵まれた環境で、新たな企画設立・プロジェクト参画の機会を与えていただくことができたにも関わらず、入社半年ごろ、どこか満たされない気持ちが膨らんできているのを感じました。

『ディスプレイに向かってばかりのこの仕事は、一体誰ためなんだろう?』
『本当は自分なんてこのチームにいる意味はないんじゃないか?』
『そもそもこの仕事を続けていって、自分はどうなるんだろうか?』

チャンスに溢れ、いつだって誰だって挑戦できる素敵な環境なのに、
仕事に向いていたわだかまりが次第に自分の心に向かってきて、『この仕事が何の役に立っているのか明白にしたい』『自分のどんな努力が認められているのか分からない』『認められたい...』いつしかそんな感情に振り回され始める日々となりました。

 ⚫︎ コミュニケーション不足は双方の心を蝕む

定期的にZoomでメンタリングをしていただくメンターの方も、ディスプレイ越しにさえ私の変化が見て取れたようでした。
ただ、仮にも上司である方にこんな子どもじみた感情を吐露できるはずもなく、ただただ心のわだかまりを育てていくばかりとなり、後で知ったのですがそのせいで上司自身の教育指針を不安に思わせてしまうことにも繋がっていて、私自身が悪循環の元凶となっていたのでした。

⚫︎ 喪失感・承認欲求が駆り立てる、「何者」への憧れ

限界だ、一度心を落ち着かせる必要があると気づいた頃には、私は半ば躁鬱状態になっていました。
幸いにも、旧知の連絡をたどり陽気な仲間に囲まれたシェアハウスへと移り住むことができ、そこでのリモートワークを続けていました。しばらく、業務時間を減らすべく正社員から業務委託契約へと変更していただき、年末までには完全退社できるよう段取りを組んでいただきました。

もうこの業務委託契約という関わりも終わりを迎えようとしていますが、最後の最後までこの心境を上司に吐露することもないかと思っています。(くどいようですが環境や職場の方々は頭が上がらないほど寛容に接していただけ、むしろなぜこうも自分が追い込まれてしまっているのかがわからないほど...)
何者かであることを認められたい欲求と、それを見失った喪失感に襲われたのが運の尽きだったのでしょうか。それとも、Z世代というくくりで見なくとも若さ盛りで自分を見失いがちな20代にありがちなことなのでしょうか。
なんにせよ、辞めるという決断に後戻りがない以上新しい道を見つけそこへ向かうことの他手立てはありません。
SlackでもZoomでも、ましてやTwitterの140字の中だけで、集団面接の1分間自己PRにどうしても自分を収めてやりたくはないから。

③ DIGIDAY記事と体験談を見比べてみて

DIGIDAY記事での主題はずばり、Z世代が「大離職時代」を主導する ということ。
その要因は大きく3つで、「オンラインベース思考」「自己・他者承認欲求」「共同体での価値観の共有」が挙げられていると見えます。

まず1つ目の「オンラインベース思考」という点でいえば、国内でもZ世代は他世代を大きく上回る比率でリモートワークに賛同しています。
自宅のデスクトップ上で完結できる仕事であるならば通勤の時間を無駄に割き職務に当たる必要がないのと、ワークライフバランスの"ライフ"に時間を充てたいという考えのためだと言えるでしょう。私自身も、基本的に必要がない限り積極的な出社はしていませんでした。

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ここで考えるべきが、出社が「緊急ではないが重要な職務」であるということ。出社の主たる目的は人間として欠かすことのできないフィジカルなコミュニケーションを充足させることであり、実際に躁鬱状態気味となった私は見事にこの重要性を見損なっていました。
いくらZ世代が「大離職時代」を巻き起こそうとも、この重要さは強制力を以ってしてでも理解してもらう必要があると考えています。

続いて「自己・他者承認欲求」について。
リモートワークが中心となりフィジカルなコミュニケーションの重要性を見失っていた私は、知らず知らずのうちに自らを承認欲求の泥沼に落とし込んでいました。
この欲求の強さはソーシャルメディアにも後押しされていることでしょうが、リモートワークにより「見られていない感」が高まり評価や承認以前にチームへの所属感や連帯感を減退させているようにも感じます。
もちろん、自身のリモートワークの経験からその恩恵に十二分に与っていることは確かですが、やはりここも裁量が重要だと言えます。

最後に、「共同体での価値観の共有」についてですが、これが最もリモートだと感じにくい点と考えています。
なぜなら、リモートワークでは"相手が怒っているか"を感じ取りにくいからです。怒っている点は、相手が重要だと感じている点であり、真剣に大切にしたいその点こそが共同体の価値観を形作っています。

単純に組織に交じってから日の浅いZ世代はことさらにその価値観を修得できておらず、その間ベクトルは自分自身に向くこととなります。つまり、「自分がどれほどの力を認められているか」「どんなポジションにある人間と思われているか」という点に向いているのです。
諸先輩方からすれば、何をそう自惚れている、と思われるかもしれませんが。しかし、もし『お前はできないやつだ!』とも『大変良くやっているね』とも直接的に言われることのない状態が続けば、それは誰しもが疑い深くなる関心ごとでしょう。(そうした意味で、「共同体での価値観の共有」は「自己・他者承認欲求」とも関わりがあると言える)

④ まとめ「Z世代へのおべっかは不要」

DIGDAY記事「米国のZ世代が重視する労働観」を最初に読んだ感想は、『このZ世代象、何だかわがままが過ぎないか』ということ。

寝転びながらリモートで仕事がしたい.
ー でも、リモートばかりだと精神衛生上宜しくないのでは?

メンターを付けて仕事のアドバイスや不安の解消をしてほしい.
ー 出社や出張は?

出張があるなら転職を検討する.
ー それは... うーん、あなたたちに合わせるようにします、はい...

自分も1人のZ世代としてこの記事を書いているわけですが、彼らの経済牽引力やSDGsなどのトレンドメーカー、ニューノーマルへの適合者といった側面が際立ち、社会(≒企業)が過剰に寛容になっているとも見受けられます。

同時に、そうした寛容な社会の流れに身を任せ、スキルや結果を持たずして社会のさらなる寛容さを求めるのは少々むしが良すぎるのではないか、とも考えられます。
Z世代である自らに矢を立てる思いとなりましたが、このような締めくくりとさせていただきました。

まとまりのない内容でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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