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8月に読んだ本の話



 残暑も大概にしろや…と怒りたくなるほどの暑さと仕事に体力をごっそり持って行かれた8月もあっという間にラスト。夏休みを使って帰省し、存分に羽根を休めたからこそ休み明けの1週間が殊更に堪えたりもした。体も心もなかなかうまいこと動いてくれなくて、全てをシャットダウンしたくなるような気持ちになる時も多くて困ってしまうので、流石にもう少し気合い入れて前を向きたいものです。朝吹く風に少しだけ秋の訪れを感じながらも、1日も早く涼しくなってくれることを願いながら、今月はもうこれ以上読みきれないと思うので、そそくさと8月のまとめです。


①夜空に浮かぶかけた月たち(窪美澄)
②昨日星を探した言い訳(河野裕)
③6人の嘘つきな大学生(浅倉秋成)
④青の炎(貴志祐介)
⑤水やりはいつも深夜だけど(窪美澄)
⑥ファーストラブ(島本理生)
⑤わたしたちに翼はいらない(寺地はるな)
⑥八月の銀の雪(伊予原新)
⑦ナナメの夕暮れ(若林正恭)
⑧本と鍵の季節(米澤穂信)
⑨月の立つ林で(青山美智子)


 読書モチベがだいぶ鈍ったな〜と思った八月だったけれども、お盆休み期間に読書時間をゆっくり作れたこともあって今月もそれなりに読めました。夏バテなのか疲れなのか最近は全然読めなくなってしまい、読書行為から今は少し距離を置いている。そういう意味でも少し涼しくなる(はずの)秋は読書の秋なのかな〜とも思うので、なんにしても早く涼しくなってほしい(2回目の訴え)読みたい本はたくさんあるはずなのに、読む気が起こさなくて困った困った〜



 河野裕さんは書店の新刊コーナーにあって表紙とタイトルが気になった衝動買い。高校生にしてはちょっっと理屈っぽいな〜と思うところもありつつ、登場人物たちの言葉の応酬に脳みそを活用するのは楽しかった。理屈で言葉にできるレベルのものを手の中で収めて安心していたい気持ちと、決して言葉にはできない部分へのときめきと…。青春がギュッと詰まっていて、カップ麺のシーンにはグッときてしまった。ちょっと頭を使うけど、登場人物たちの言葉の応酬が面白い。言葉を交わし合おうと思えるだけで素敵な関係だなと、大人になった今思う。


 書評アカウントなどなどで度々見かける貴志祐介さんの『新世界より』が気になっているけど文庫上中下巻に怯み、手始めに読んだのが『青の炎』。
 前述の河野さんの本を読んだ時もそうだったけど、高校生ってこんなに毎日が必死で切実だったかな〜と、思い出せなくなってしまった自分に寂しさはあった。絶対に冒してはならない一線を越えることに対して、どんな道具で、どんな手法で…という描写がずっと続いていて、これまではそれまでの心の動きを描いてジリジリと削り取られるような気持ちになりながら読む本が多かったような気づきがあった。どちらが優とか劣ではなく、作風の違い、学び。


 『社会人大学〜』以来の若林さんエッセイ『ナナメの夕暮れ』。前作を読んだ時の衝撃も相当なものだったけど、今作も本当に、人生の教科書!!!!頷きすぎて首もげそうになった。もっと早く読めばよかった。私の中で言語化できずに溜まっていたものを綺麗に昇華してくれた上で、人生の先輩として5歩も6歩も先を歩いている若林さんはすげー人だと思った。見習いたい。


 窪美澄さんの『水やり〜』は短編集で、収録されている「かそけきサンカヨウ」は以前にアマプラで映画を観ていたので、あの静謐な世界観を思い出しながら読んだ。陽ちゃん、大人だなあ、もっとわがままでいいだろうに。。なんてしくしくしてしまう。


 待望の寺地さん新刊『わたしたちに翼はいらない』はばっちり発売日に手に入れました。簡単に背中を押されることも簡単に元気になれることもない、目の前には今日も地続きの今日があって、それでも今日を踏ん張って行きなさいと背中を叩かれるような力強さみたいなものを感じた。あの頃絶対に友達になれないと思っていた相手が、今も決して友達ではないけれども、大人になった今、一緒に戦えることもある。死ぬ覚悟も、生きる理由もない、それでも自分の存在が誰かの力になることもある。そしてそのことが、相手にそのまま伝わらないことも、理解されないことも受け入れてもらえないこともある。映画のようには行かなくて、苦しいけれどそれが現実で、難しい。そういう世界を、今日も明日も明後日も、自分の足で歩いていくしかないのだな。


 8月はこんな感じ。まだまだ残暑が続きそうだけれども、9月はどれくらい本を読めるかな。今日もお疲れ様でした。今週折り返し。あと一踏ん張りだね。

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