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姨捨の棚田、駅、景観

長野県千曲市にある「姨捨(おばすて)」というインパクトのある地名、聞いたことがある方もいるでしょう。

信州好きにとっては外せない景観スポットの一つです。

姨捨の棚田

姨捨は、傾斜の強い山沿いにある土地です。その地形ならではの棚田は国が指定した名勝の一つとして有名で、日本棚田百選でもあります。

ちょうど収穫期を迎えた頃、訪れました。

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足元に見える姨捨観光会館の駐車場に車を停めて、歩きます。

目指すのは、坂を登った先にある姨捨駅。

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600メートルくらいなら徒歩で余裕。(と、この時は思っていました)

急斜面に平らな面を段々に作り上げて出来上がる棚田。
昔から人の手で開拓していった歴史を思うと、高低差を勢いよく流れる水路の整備ひとつ見ても今もこうして受け継がれていることに感じ入ります。

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もちろん水田だけではなく、この平らな一枚一枚を利用して畑や果樹園、あるいは建造物なども設置されています。

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なんていうか、休む間もなくずっと上り坂です。
この地域に暮らす民家もあり、車一台が通れるアスファルトなので足元はしっかりしているものの、たかが600メートルなんて侮ってる場合じゃなかった。

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気が利いているベンチ出現。
ここからの見晴らしも最高で、善光寺平(長野市方面)が一望できます。
徒歩で景観の角度が変わる良さも山地形ならでは。

所々にある名所の案内看板。

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遠く上方に見える階段は、姨捨駅のホームを渡る階段。
案内標識のとおり、左方面からぐるっと迂回する形で目指します。

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急勾配が続きます。

スイッチバック方式の姨捨駅

姨捨駅は主に2つの有名スポットです。

まずはその標高の高さから日本三大車窓の一つに数えられる景観。

そしてもう一つは、急勾配を走る鉄道用に設置されたスイッチバック方式の設備。

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歩行者用の踏切にたどり着きました。

分かりますでしょうか。

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右側はJR篠ノ井線の本線。
そして左側、人の身長くらいある高さの上にも線路が敷かれて、その先に見えるのが姨捨駅。

図解するとこんな感じ。
②のあたりに立って長野方面を撮影したのが上の写真です。

姨捨駅3

この、全国的にも珍しい折り返しの仕組みが姨捨駅の特徴の一つです。

ちなみに特急列車など姨捨駅に停車しない電車は、スイッチバックをせずにまっすぐ本線を通過します。

線路を渡って姨捨駅に向かっていると、なんと偶然タイミングよく普通列車が入ってきました。

左方面(下の段)から来た電車が、折り返し地点で一旦停車して、

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進行方向とは反対向きに列車を動かして、

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姨捨駅に入ります。

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一連の流れを動画に撮っていたのでそのキャプチャです。
(動画をUPしたかったけど編集が面倒で。。気が向いたらいずれ)

線路沿いの道を進んで、姨捨駅へ。

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味のある看板と駅舎。

中には「姨捨伝説」も掲示されています。

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当時はたった60歳でもう不要の老人として山に捨てるようお触れが出ていたそうです。現在の60歳はまだまだ若くて全然働き盛りなのに、時代というより歴史を感じます。
あと、知恵は大切ですね。そう年を重ねたい。

列車の窓からの絶景は鉄道の旅を楽しむ要素の一つです。

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写真中央あたりの看板、よく見たらなんと四季島の文字。

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寝台観光列車「四季島」の停車スポットでもあるんです。

この周辺はたまに車で通りがかるのですが、やはり列車や景色を撮影に来る人をよく見かけます。今日は私もその一人。
一方で山の地形なので道幅も狭くて駐車場もありません。歩道も狭く、路肩に停めると車道のすれ違いが困難です。お越しの際はどうか通行に気を付けて。観光会館に車を停めて徒歩で来られる場合は、延々と坂道なので歩きやすい靴と動きやすい恰好推奨です。

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のんびり下ります。棚田が綺麗。

長楽寺の姨石(おばいし)

姨捨観光会館の横にある長楽寺。
そこに気になる看板を見つけました。

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姨捨十三景。

きっと景観が良いのだろうと、石段を登りました。

足場の悪い道を少し進むと、そこが姨石。

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ここだけむき出しの、傾斜から突き出た形状の岩山です。

足元注意!

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周囲に障害物がないので、景観が最高!

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この日はちょうど、一斉に稲刈りの日でした。

棚田の保全活動の一環で、このあたりでは田んぼのオーナー制度があるそうです。
遠方のオーナーや家族連れなどの参加者たちが稲刈りに精を出していました。この景色の中で身体を動かすのは本当に気持ちよさそう!

田毎の月

姨捨の棚田はかなり広範囲で、先ほど姨石から眺めた一帯は特に広い棚田となっていました。

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「田毎の月」という言葉は、田植えの時期に水を張った棚田の小さな水田ひとつひとつに映る月が美しい様子を表す言葉で、ここ姨捨の棚田の代名詞となっています。

姨捨観光会館に戻り、地図をもらいに観光案内の机に立ち寄りました。

そこで案内してもらったのは、本来「田毎の月」として有名になった棚田「四十八枚田」。

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地図の中央あたりが観光会館、ピンクのルートを通って上の姨捨駅に行ってきました。
そして田毎の月は、もう少し下った方面にあるとのこと。

道路からはちょっと見えにくいからと、目印の石碑を教えてもらいました。

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あった!

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棚田の名月を詠った一句。

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うん、月も良いし蕎麦も良い。

石碑の近くには観光案内版と、路肩の駐車スペースがあります。

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あれっ、カッコいい青のSUBARU XVが見えますね。

先ほど見えたオーナーの方たちが稲刈りをしていた広い棚田と違って、こちらは地域の人たちが守っている雰囲気です。

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稲刈りもこれからの様子。

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田園風景は郷土の原風景。

収穫の季節に実った重い稲穂、刈り取られた切り株、そこに雪が積もる冬、そして春になって耕されて水が張られて月が映る風景、青葉の夏。

気軽に訪れることのできる身近な風景に今も魅了されている私は、信州をまだ旅している途中なのかもしれません。




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