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タージマハールの愛の物語とその裏にある悲しい物語

今日はかの有名なインドの世界遺産、タージマハールにまつわる悲しい話を紹介したいと思います。

タージ・マハルは愛妃ムムターズのお墓

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タージマハールは、当時全盛期だったムガール帝国の皇帝、シャー・ジャハーンによって建設されました。これは当時の皇帝の奥様であるムムターズ・マハルという方の霊廟(お墓)です。14人の子供を産み、36歳で亡くなったのですが、シャー・ジャハーンはその死を大いに悲しみ、彼女の廟としてタージ・マハルを建立し弔ったと言われてます。タージ・マハルはムムターズの愛称でもあったそうです。

ですので、このタージ・マハールにまつわる愛の物語がこの美しい建造物と相まって、今でも人気があるのはとても有名な話だと思います。

余談ですが、タージマハルのそばに流れているヤムナー川を挟んだ対岸にシャー・ジャハーンは自分のお墓として黒いタージマハールを作って自分のお墓にしようと思っていたらしいです。

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タージ・マハルのため、幽閉されてしまう

そんな全盛期を迎えた皇帝でも、晩年は息子同士が壮絶な跡目争いが起こり最後は二人の兄と弟を殺害した三男、アウランガゼーブに幽閉されてしまいます

そのキッカケとなったのは、皮肉にも莫大な建造費がかかってしまったタージ・マハルだったそうです。

ここまでは単純な跡目争いなのですが、実はもう一つの悲しい物語がありました。アウランガゼーブは父親が溺愛していた長男を殺してその首を送りつけ、精神的な復讐をし始めるのです。

アウラングゼーブは父帝シャー・ジャハーンの偏愛に対する精神的復讐を行うため、ダーラー・シコー(兄)の首をアーグラに幽閉されているシャー・ジャハーンのもとに送りつけた。予想通り、愛していたダーラー・シコーの死に、シャー・ジャハーンは気絶するほどの悲しみを受け、その復讐は果たされた (Wikipedia アウラングゼーブより)

その後、シャー・ジャハーンとアウランガゼーブは手紙のやりとりをしていたのですが、アウラングゼーブ手紙の内容はやはり長兄ダーラー・シコーに対する偏愛への不満で、父帝が兄を溺愛したのに自分を愛さなかったといった内容の、横柄な口調の不平書きだったという。

どうやら跡目争いの原因の一つは、権力争いの裏に愛されなかった三男の孤独があったのではないでしょうか。

幽閉されたまま生涯を閉じる

皇帝シャー・ジャハーンは、タージマハールを遠くから眺めることができるアーグラ城に囚われの塔(ムサンマン・ブルジュ)と呼ばれる場所で生涯を閉じます。

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<囚われの塔 ムサンマン・ブルジュ>

こんな逸話も残ってます。

白大理石で形作られた囚われの塔 ムサンマン・ブルジュ。幽閉されたジャージャハーンはこの場所から外にでることができず、ついにここで息を引き取る。年を取って目が悪くなってしまったシャージャハーンを思い、ダイヤモンドに写るタージマハールをみせたとき、シャージャハーンは大いに喜んだ

シャジャハーンの遺体

そしてシャジャハーンの遺体は愛妃ムム・ターズの隣に埋葬されることになりました。そうしたのはほかならぬアウランガゼーブだったのです。

兄や弟は殺害しているにも関わらず、父親だけは殺さず

母が眠るタージ・マハルが見える囚われの塔に幽閉し

兄の首を送って精神的な復讐をしているのにも関わらず、亡くなった後はタージ・マハルに愛妃と共に埋葬する

父親から愛されたい子供が、いつまでもその愛情を求め続け、このような結果になってしまったのかと想像するととても悲しい話です。

タージ・マハルの中には、いまでもひっそりとシャジャハーンとムムターズのお墓があり、当時の愛と悲しみが伝わってくるようでした。

さらに皮肉にも、このアウランガゼーブの時代、ムガール帝国はもっとも繁栄していきます。その話はまた今度

タージマハールを訪れた時のブログです。よかったらどうぞ!


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