まるで世界はウクライナ一色のように

ウクライナにロシア軍が侵攻してから、ニュースはいつもウクライナのことがトップ。新聞も、そしてSNSでも、ウクライナのことがほとんど。これはいったいどうしたことなのだろう。

政治的に、道義的に、あるいは根源的に、どちらが良いか悪いか。どちらが悪でどちらが正義か。

そんなことには、わたしはあまり関心はない。

侵攻したロシア軍が悪いに決まっている。プーチンが悪い。そう決めつける人が多いのだろう。

武力を行使する戦争を始めたのはプーチンが率いるロシアなので、そう主張する人々が間違っているとはいえない。

でも、この事態を想定して、プーチンを、ロシアを追い込んだ勢力があるし、その意図も明確ではない。

戦争というのは、戦場での戦闘や、政治的な手腕も大事だが、それ以上に効果があるのは、プロパガンダだ。

戦争が始まってからのウクライナのプロパガンダ戦は見事としかいえない。かつての、旧ユーゴスラビアの戦争がそうだったが、プロパガンダを請け負う専門の会社があり、それらがメディア誘導等を担っている。

ウクライナの被害は真実とはいえ、メディア戦ではすでにウクライナが勝利している感じだ。

この戦争の是非、善悪がどこにあるか、道義的責任は? それらはまた別の無数の人々が、にわか専門家となり語るだろう。

一番の問題、不条理なのは、一般の人々が殺され、家を追われ、財産を失っていることだ。理由は, ない。 もしあるとすれば、ウクライナ人だから? いずれにしても、そんなことで殺されたり、故郷を追われるいわれはない。

そして、もっと不条理なのは、誰もがウクライナを語る時に、正義、民主主義、ウクライナを助けて! ウクライナと連帯! ウクライナ、ウクライナ!今や地方の町や村にもウクライナの旗が見られ、海外に行ったこともない、興味も無かったはずの人までも、ウクライナに詳しくなっていたりする。

しかし、考えてみて欲しい。

今の世界では、実は多くの戦争や紛争があり、連日たくさんの人々が殺されている、あるいは難民となっている。しかし、それらの報道は、ほぼ皆無だ!何故?アフリカや中東で起きている紛争はどうでもいい? 黒人やアラブ人は死んでも良いの?

ウクライナはヨーロッパで、キリスト教(正教が多いはず)で、肌は白くて、文化的には欧米や日本と同程度のレベル、そういうことが今のウクライナブーム(失礼)に関係あるのか。

いずれにしても、ウクライナで戦争が始まってから、毎日なんだか釈然としないのだ。

儚い望みだが、今回のことがきっかけで、世界や戦争に目が向いた、意識が向かった人々には、ぜひ他の戦争やさまざまな文化に意識を向けて貰いたい。

今回の戦争がどうなるのかは、まだわからないが、でも戦争はいつかは終わる。ウクライナの人たちの犠牲が、結果として世界の人々が、平和や文化、共生や歴史等々、さまざまな問題を考える契機となってくれればと、祈るばかりだ。


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