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「いつか」


シナセン課題⑦別れ


人物
風間大地(28)会社員
杉谷美波(26)カフェの店員


○2人のアパート・リビング

風間大地(28)がドアを開けて入ってくる。

杉谷美波(26)、体育座りでソファーからテレビを見つめている。
テレビに映る、観光列車が走る様子。

風間、美波の後姿を見ながら、
風間「そう言えば、美波、乗りたいって言ってたよな。いつか2人で乗ろうな」

美波、テレビを見つめたまま、
美波「…ねぇ大地。今日、やっぱり家にいない?」
風間「え、なんで?やっと休みを合わせられたのに」

美波「…」
風間「今日逃したらまた暫く仕事忙しいけど…」

美波がテレビ画面から視線を逸らして目を閉じた後、風間の方へ振り返る。
美波「…うん、そうだね。やっぱり行こっか」

明るい笑顔を作る美波。



○電車・一号車の中

乗客が多く、座席が埋まっている。

風間と美波はつり革に掴まって、窓の外に広がる曇り空を眺めている。


美波が不安そうな顔で風間を見上げる。

それに気づいた風間が、美波の方に体を寄せて、
風間「ん?どうかした?」


美波「………大地、好き」
風間は一瞬目を見開き、照れ笑いをしながら、
風間「急にどうしたの?俺も好きだよ」


美波、風間の服の裾を掴む。

美波の背中に腕を回して、
風間「心配すんな。次は2人で観光列車に乗る計画でも立てような」


美波「…うん。大地、あのね」

鳴り響く警笛。騒つく乗客。

乗客の声「キャーーー!!」


風間「えっ、なにが…」
風間の声を遮るように、ドーンと大きな衝撃音が響き、揺れた車両が音を立てて傾く。

美波「大地!!!」


美波が庇うように風間を抱きしめる。
風間「美波っ!?」

地響きを立て横転する車両。
続いて響く爆発音。

  × × ×

鳴り続ける電鐘。
横転した車両の中で、痛みに呻きを漏らす乗客。
粉々に散らばったガラス。


美波に抱きしめられた状態で横たわった風間が、薄らと目を開ける。

風間「…ゔぅぅ」
と呻いた風間が目を見開く。
上体を起こして、目の前に横たわる美波の肩を揺する。


風間「…み、美波?」


頭部から血を流して倒れたままの美波。

風間が美波を抱きしめる。

風間「嘘、だろ……」
美波を抱いた風間の肩が小刻みに揺れる。fin




…難しい。






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