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フィンランドでなにしようか自分

フィンランドに90日以上滞在する人は、単純な滞在許可(いわゆるビザ)を得るだけでなく、それを証明する物理的なカードを渡航前に受け取ること必要です。そんな都合もあり、結果として予定より10日も遅れて、フィンランドに辿り着いたのでした。

とはいえ、いまだに住居のオファーの連絡もなく、Airbnbの仮住まいということもあり、生活のセットアップをしようとも「引越し後にしよう」という感じで、初日はただ街を歩いてみました。(HOASのオフィスに行ったら激混みだったのでヘッダー画像にした)

とはいえ来週明けからはオリエンテーションや、エントリー位置付けのコースが始まっていきます。今回は誰のためでもない「フィンランド・アアルト大でなにしようか自分」的なものを書いてみます。


コンサルファームのデザイン組織で働いてみた

僕は学部で、狭義のデザイン技術と広義のデザイン知識を曲がりなりに学んだのち、新卒でコンサルファームに就職しました。この新卒選択のきっかけは、そのコンサルファームが、イギリスのデザインファームFjordを買収したというリリースがあったからです。とはいえ就活当時は、そうしたデザイン組織要員になるためのパスがなく、いつか異動できるだろという希望的観測のもと、バリバリのビジネスorテクノロジーコンサルになるのを覚悟で内定を受諾しました。(なのでデザインなんぞ1ミリも出てこない新卒研修を必死に受けていたがそれもまた為になった)

しかし結果としては、1年足らずでデザインチームの一員になるご縁を社内でいただき、ここまで5年弱働かせてもらいました。そこでの経験は概ね非常にポジティブで10年でも居続けたいと思えるような環境でした。なによりも「やりたいことあるなら自分でどうにかしたら?」といった上司が少なからずおり、若手でも仕事「に」自分のやりたいこと「を」近づけられるのは非常によかったなと思っています。(無論一定のパフォーマンスクオリティが前提となると思うが)

であればずっと居ればよいのでは、というのは自分でもいまだに思います。ただ強いてここでの仕事のネガティヴな面を挙げるとすれば「たまに案件そのものが小さくてつまらなく感じた」ということです。ここでの小さいというのは“全く馬鹿げてない”という意味です。例を挙げるならば「既存サービスのUI改善」「既存事業ラインを前提とした新サービス・製品開発」といった非常に堅実なデザインプロジェクトです。

念の為断りを入れておきますが、UIパーツ一つ一つに魂を込めるという仕事や、今の事業をマイナーアップデートする仕事はめちゃくちゃ大切です。またデザインファームとしては、未来の大きなビジネス機会を作る重要なエントリーポイントにもなります。

ただ僕個人は、日本ひいては世界はそうした仕事だけで、物事をよりよくできる段階をとうに過ぎているのでは、と長らく感じています。もっと急進的で、長期的で、組織や社会の現状にとっては“一見意味のなさそうな営み”にデザインを取り込むようなことができるとよかったなと思っています。

ただ実際そうした機会をつくるのも言ってしまえば自分次第だと思ってます。今の仕事で何かアクションをするなり、やめて起業するなり、いろいろ。なので僕は本格的に仕事を仕立てる役が増えるまえに、少々の外出をすることにしました。

意味のなさそうなしごとを仕立てるには

堅実な営み、言い換えれば「今やるべきしごと」を組織が優先するのは全くもって合理的です。その施策でどれだけ離脱率やコストを下げ、売上を上げられるのかという効果は営利事業だけでなく、生業として成立しているすべての物事で考えられるべきものです。

「意味のなさそうなしごと」は実際に「意味のないしごと」とは異なります。速攻性はないものの、少し先の未来のために重要な仕込みとでも言いましょうか、そうした投機的な動きが、地球環境や社会課題といったつかみどころのない壮大な物事を好転させるのには欠かせないと僕は信じています。

しかし、それをやるにためには「みんなの協力」が必要です。アホのような話ですが、本当です。しかし「意味のなさそうなしごと」をしている人々は、ときに先のような合理性を得ていないアホなやつらだと思われることがありますし、そもそもそれをやるお金や時間が与えられないでしょう。

これはもしかすると「ウチだけプラスティック気にしても仕方ないっしょ」とか、選挙のときに「自分が投票に行ったとて変わらないでしょ」とか、そういうものと似たものがあるかもしれません。ただ今から行動しないと間に合わない物事は色々あるはずです。また悲しいかな、地球環境や社会システムに多大な影響力をもつ巨大組織(官公庁や大企業)ではなおさら、こうした「意味のなさそうなしごと」にみんなの協力を得るは難しい思います。(色々な意味でジリ貧な日本の伝統大企業ではその難易度はS+++くらいでしょう)

そこで僕は、こうした観点をもって、どうやって地球環境や社会システムに多大な影響力をもつ巨大組織において、壮大な物事に関する投機的な営みを仕立て、遂行するか、ということへのヒントをフィンランド・アアルト大の中で得ていけたら最高だなと思ってます。(得られなくとも少々長めの人生リフレッシュ期間とみなすのでOKです)

これからアアルト大 CoIDへ

Aalto UniversityにあるCollaborative of Industrial designという修士コースのHPにはこんな触込みがありました。

The Collaborative and Industrial Design Master programme focuses on design innovation. It’s about in-depth understanding of design’s role in society and in the emerging fields where design activities can enhance the quality of environment and people’s life.(意訳:Collaborative of Industrial designはデザインイノベーションに焦点をあてた修士プログラムです。社会、そして環境や人々の暮らしのクオリティの向上を目指す新興領域における、デザインという営みがもつ役割の深い理解を目指します)

https://coid.aalto.fi/index.html

これは正直ただの触込みに過ぎないことは承知ですが、これをみて「まあ行くならここかな」という感じで修士留学先を決めました。また調べてみるとフィンランドには官系ファンド兼シンクタンクのSITRAや、官公庁内にChief Design Officerが存在するなど、なんだか重たい組織で遠いことを見据えた巨大な営みが各所で起きているとわかり、もはや第二志望とかはなく、Aalto CoIDへの進学を決めたのでした。

なおAalto-CoIDの内容や雰囲気については、すでにKawachiさん森さんがnoteで記事を書いてくださってますので、気になる方はぜひそちらを。実践とうまくバランシングが取れている点も楽しみなところです。

そんな感じでやや長文になりましたが、非常にふわっとした誰のためでもない「フィンランド・アアルト大でなにしようか自分」的なものでした。また色々書きますね👋


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