読書ノート『このままでいいの?』

はじめに

岩田麻央著「このまままでいいの?」のレビューです。

著者の方とは個人的によくお付き合いさせて頂いておりまして、今回本を出されるということで予約して手に入れました。
そういう意味では少し変わった経緯で手に取った本です。

カテゴリするなら自己啓発書になると思います。
知識を与える本というよりは発見と行動を促す本です。

筆者の半生をともに振り返りながら、随所に設けられている質問とワークを通して自己の内面を観察し方向づけるといった形式を取ります。

結構根源的な問に触れているので一回通読しただけで何かを得るというのは非常に難しいと思います。答えを得るというよりかは問い続けるための最初のきっかけです。

また半生をともに振り返る形式を取っているので、どの程度共感できるかが評価に影響すると思います。

全4部13章で構成されています。

はじめに
第1部:他人のレール
第2部:レールのない世界
第3部:自分のレールを作ろう
第4部:みんなでレールを作ろう
おわりに

『はじめに』/『おわりに』

大体の本についてるまえがきとあとがきですが、本書の場合は結構に長く、本文と同様に重要な内容が書かれています。

章立てから外れていますが本来は章が付いて居るべき内容です。
とくに『はじめに』に関しては本書の目的と構成、使い方が書かれており、極めて重要なため、サクッと読むべきところではないです。

本書のタイトルである『このままでいいの?』という問い、つまり現在にフォーカスして動機づけを行っています。まぁこの本手にとってる人の大半はよくないと思ってるはずなので、どう言語化するかが肝ですね。

本の余白に自由に書き込んでアウトプットすることが推奨されています。

個人的に本に字を書き込むのが嫌いなので自分は普段遣いの読書ノートで代用しましたが、拘りがない人は素直に従うのが良いと思います。

あと書ききれずに『この余白はあまりにも狭すぎる』とか書くぐらいなら紙なりノートなり用意しましょう。

第1部:他人のレール

こっから時間軸を幼少まで巻き戻して追いかけていきます。
いわゆる『普通の人生』を順調に歩いていって閉塞感を感じるまでの流れです。

この辺普通のサラリーマンなら共感する人多いんじゃないかなと思うます。特に いい成績→いい大学→大手企業 っていう流れに『順調』に乗ってしまった人。

産業構造が変化して途中でリタイアする人多すぎて普通でもなんでもないんですが、昭和の名残で鉄板ルート扱いになってますね。
自分もこのルートに乗ってたのでわかりみが深い。

原体験やかつての夢を掘り起こすワークがあるのですが、流されて生きてるとなかなか出てこないので慣れが必要。

第2部:レールのない世界

ここでいきなりアフリカに行っちゃうので『おおう、マジか』って置いてきぼりを食らうんですけど、まぁわからんでもないです。

強い閉塞感を感じている状況って、とりあえず状況を打開したいので多少デタラメなことでもやりがち。若者セミナーとか海外とか行きがち。

でもアフリカ行っちゃうのは『行動力の化身かな?』と思いました。

ものの程度はその人によるのですが、キレそうなレベルでフラストレーション溜まってない人は、忍耐力が高いか、周りが見えていないか・・・

レールから視線を外すと虚像が消えるので割としんどいです。著者は引きこもりになってしまったようで『反動強すぎかよ・・・』とか思いましたが、まぁこれも行動力の差なんでしょうかね。

思い切った行動をするのは虚像を崩すのには効果的なんですけど、結局の所積み上げていくしか無いので、やり方を変えて『寝てた』ぶんを取り返すしか無い。

この部は自身と能力を積み上げ直すところまでです。

第3部:自分のレール

こっから独立に向けた流れになります。

雇われ精神から抜けて自発的に仕事し始めると色々満たされてくるので、与えられたミッションでは満足しなくなってきます。

マズローの欲求階層の自己実現欲求に近いものかもしれません。
人生の目的という大きなものを定義してそっちに向かって歩いていくフェーズ。

著者も結構いろんなことを試していますし、多くの失敗ををしています。

特に教訓的なのはマネーファーストで色々試して失敗するくだりです。
多分下手に優秀な人が陥りがちだと思うんですが、お金を得るために頑張ると一時的に儲かりはするけど先がない。

自分の金銭益を主体で考えている段階でGive&Takeで言う所のテイカーとして振る舞っているので、その辺りの観点でも上手くないですね。

お金に執着から抜けられない人は下位の欲求満たされてない可能性が高いので、本書のもうちょっと手前に戻ったほうがいいかもしれません。
多分腑に落ちないと思うので。

第4部:みんなでレールを作る

コミュニティを作って協力していくってくだりです。
著者自身コミュニティを運営しています。

Give&Takeでもそうですが、やはりネットワークの強大さは欠かすことのできないテーマです。そもそも経済とはそういうもんですしね。

ただ、このステージに至るにはある程度自分は何者か定義できていないとキツイかなと思いました。スキルとか稼ぎとか能力ではなく自己定義の問題なので、コツが掴めた人は結構すぐ至れるんだと思うんですけど。

最後に

ざっくり述べてみました。

内容は平易な言葉でわかりやすく書いてくれているので、とても理解しやすいです。

文章量もそこまで重厚ではありません。

しかし『言うは易し行うは難し』の言葉の通り、わかってはいるが形にならないという類のテーマを扱っているので、直ちに何かが解決するわけではないです。

知識だけではなく実践によるトライ&エラーが必要なもののため集中して読み込むというかは手元において、自分のステージに合わせて見返すというタイプの本でしょう。

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