読書ノート『Give&Take』
はじめに
著名なビジネス書の一角、Give&Takeの読書ノートです。
ちなみに読むのは2回目です。
以前読んでいたことを読んでる途中で思い出しました。
電子と物理で二重に買ってます(笑)
ビジネス書と言いましたが、人生哲学に近い本だと思います。『情けは人の為ならず』をデータ分析してサイエンスしています。ただし字面通り「自分のためにもなるから人助けしよう」と考えた人はハッとするかも知れません。
本書は全9パートで、以下のような構成になっています。
1. ギバー/マッチャー/テイカーの概要
2. ギバーの特徴『人脈づくり』
3. ギバーの特徴『協力関係』
4. ギバーの特徴『他者評価』
5. ギバーの特徴『影響力』
6. ギバーが燃え尽きないための注意点
7. テイカー対処法
8. Giveの輪という新しいコミュニケーション形態
9. 筆者によるまとめ
サラッとまとめを書いていきます。
ギバー/テイカー/マッチャーの概要
本書では人が取引時に示す特性を以下の3つのタイプに分けて考察しています。
ギバー:他人中心に考える人
テイカー:自分中心に考える人
マッチャー:公平に考える人
調査に寄ると割合はざっくり以下のようになるそうです。
ギバー:テイカー:マッチャー=2:2:6
価値観に関してもまとめられており以下の通り
ギバー:援助・責任・社会主義・同調
テイカー:富・権力・快楽・勝利
調査の結果社会全体で価値が認められるのはギバーの価値観だそうです。
では成功に関してはどうか?お伽噺のように『お人好し』が皆から認められ成功するのか?
ここが肝要なところでざまざまな調査で以下の集団形成が見られたそうです。
(失敗)ギバー < マッチャー < テイカー < ギバー(成功)
後の章でギバーの特徴を分析して、成功するギバーに成るにはどうしたら良いか考察しています。
ギバーの特徴『人脈づくり』
SNSの時代にこの章はかなり役立ちます。テイカーはSNSで見分けやすい。
まずはテイカーの特徴。この特徴は嗅ぎ分けれるようになっておきたい。
目上にへつらい目下は気に留めない
自分を大きく見せびらかす(レック)
将来見返りが得られそうな人に恩を着せる
特にレックはSNSで顕著で、Twitterのプロフ欄見ててもすごく特徴が出てます。エンジニア界隈だとマ○ブやイ○ハヤのプロフを見てみると勉強になります。
立場のある人は、特に見分けるのが難しいので立場の弱い人への扱いに注目するとよさげです。
次にマッチャーの特徴。シンプル。大多数かつ無害なので特に気にしない。
のちのち助けてくれそうな人に協力する
最後にギバーの特徴
この人に何ができるか?で考える
『re-connect』で古い関係を復活させて情報を得る
受けた恩を次へ送る(恩送り)をする
この『re-connect』が重要で、久々にあった人のほうが会わなかった期間に色々経験していて、非常に多くの情報が得られます。切れていないけど休眠している関係が、休眠期間に価値を増やしている。投資的な考え方ですね。
恩送りに関してもギバー固有で、玉突きのように連鎖していくのでギバーのネットワークは比較的巨大になる傾向があります。
ギバーの特徴『協力』
いざ行動するときに周りとどう協力するのか?を述べています。
クリエイティブな人はテイカーの傾向が強い。しかし実際のところ周囲と協力しない仕事なんて無いので、総パフォーマンスはギバーのほうが高いですよという話。
個々のパフォーマンスよりチームの結束力がパフォーマンスに繋がるのは、Googleの大規模調査でも明らかになっています。
テイカーは自分が優れている人間と考えているので、基本的に協力関係を築けず、人の功績を過小評価する傾向があるようです。
その原因としては2つあり、コレはテイカーでなくても陥りがちなので気をつけたいところです。
1. 『責任バイアス』によるもの
2. 人がしてくれたことに気づいていない
人がしてくれたことに気づくためには、やってくれたとこをリスト化すると良いという具体的なアドバイスがあるのでやりましょう。
『責任バイアス』の罠に関しては、以下を積極的にするといいそうです。
うまく行かない時 → 自分で責任を負う
うまく行っている時 → すぐに他人を褒める
ギバーの特徴『他者評価』
人材育成に関するコペルニクス的転回が得られる章。
実験の結果、期待をかけることで生まれ持っての才能に関わらず成績を大きく上げることが分かっているそうです。
上記を踏まえて3者の特徴:
まずはテイカーの特徴。優位維持が至上命題なので育成に向きません。
同僚や部下の可能性に期待をかけない
能力に気づいても驚異とみなす
次にマッチャーの特徴。いわゆる優秀な人を育成するという王道の人材育成投資。しかし上記の実験の結果とはそぐわないです。
将来性のある人に目をかける
高い能力を示すまで待つ
最後にギバーの特徴。その人を成長させることにフォーカスしているので自然と期待をかけるので結果も伴います。
すべての人の中に可能性を見出す
誰でも一流になれるという観点
どうしても伸びない人材に関する扱い、すなわち引き際に関してもギバーは冷静に判断を下せるそうです。
引き際を誤る原因として『立場固定』があるのですが、この原因は一般に言われるサンクコストバイアスより以下の3つの要因によるものが支配的だそうです。
後悔の予期:いつか諦めたことを後悔するのはやだなぁ
計画の完了:頑張り続ければそのうち完了するからヨシッ
エゴの防御:俺は間違ってない
とくに3番目の『エゴの防御』が強力な要因だそうで、実験でもテイカーには傾向が見られたようです。
ギバーの特徴『影響力』
人に影響力を与えるのは以下の2つだそうです。
優位:強気なコミュニケーション、テイカーが好む
信望:ゆるいコミュニケーション、ギバーが好む
『信望』ベースのコミュニケーションは以下の現象に裏打ちされています。
達人が失敗すると好感度が増す(プラットフォール効果)
自分が話せば話すほど、相手に好感を持つ
関心事に関して質問をすると行動に移す可能性が上がる
アドバイス・シーキングによる好感度上昇
相談することで相手と親密になり、より高いレベルの合意に至る事が多いようです。
ただしリーダーシップを求められるシーンでは頼りないと思われるようで、面接時などは不利に働くっぽく注意が必要。
ギバーが燃え尽きないための注意点
パフォーマンスがでるギバーと出ないギバーの違いと対処法。
ポイントは他者の利益と同時に自分の利益にも注意を払えるか。
ギバーの性質として他者貢献感が報酬として機能しているのでそれが得られないと燃え尽きてしまう。相手に利益を与えた上で、この貢献感を獲得できるようにキープするのが重要。
ポイントはいくつかあって時間をうまく配分することが重要。
散発的に助けるよりもまとまった時間を確保したほうが良い
幸福感は他者貢献時間に正の相関があり年100時間でピークする
テイカー対処法
結論から言うと対テイカーではマッチャーと成るのが正しいとのこと。
ただし初手は信頼を築くのは困難なため、リスクを取ってでも初手はギバーと接して相手を見定めたほうが良いそうです。
またテイカー相手でも1/3の確率でギバーとして接して名誉挽回のチャンスを与えるほうがより効果は大きいらしいです。これを『寛大なしっぺ返し』とよんでいます。
ギバーは他者志向なのでテイカーとの交渉で強く出れない傾向がありますが、自陣の誰かのために交渉をすると強気に出れるということも覚えておきたいです。
Giveの輪という新しいコミュニケーション形態
無料譲渡サービス(メルカリの0円固定版)に対する考察がメインです。
相互に与え合うネットワークにおいてテイカーも与える行動を取る傾向にあるようです。
ポイントはオープンな場で人助けが行われること。マッチャーは受け取った帳尻を合わせるために人助けを行い、テイカーも浮くのを避けるために動きます。
心理学的には宣言してから行動を期待するのは悪手で、むしろ行動から信念にも変化をもたらしていく方法が望ましいようです。
Giveの輪はテイカーの行動を抑制しつつ、ギバー化する素晴らしい方法のようです。
感想
長くなってしまいましたが改めてまとめ直すと思考が整理されてよかったです。
自分がギバーであるというおこがましい認識はないですが、様々な本のノウハウやベストプラクティスを実践していくとギバー寄りになっていくのかなとも思います。Win-Winを目指すとかまさにそれ。
自分もまだまだマッチャーとして振る舞っているシーンが多いですし、分野によってはテイカーの気質を見せているので見直したいところです。
例えば寄付とか殆どしてません。特に生活に困ってるわけではないので、金融投資して小金を稼ぐよりかは困っている人に与えるほうが社会的価値が高いはずです。またどうしても初手で人を信じきれずに『人質交換』状態に成ることがしばしばあります。
マッチャーは基本的にテイカーから身を守るための振る舞いです。本書ではテイカーの見分け方と対処法が明確に書かれているので、ゼロサムゲームから抜け出してギバーとしてWin-Winの価値を提供する人間になりたいですね。
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