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京都にひとりで泊まった日

11月12日から1泊2日で京都へ。いちばんの目的は子どもの七五三。次にモダン建築祭。一人で京都(ノット友人宅)に泊まるのははじめてだったかもしれないと今気づく。もう京都に住まうことはないのだろうと思っていたけれども、ホステルで長期滞在されている方を目の前にして、そうかこういう京都住まいもあるなあと思ったりしたのでした。

11月12日

DD食堂で早めのお昼。開店と同時に入店、瞬く間に全席埋まる。境内の紅葉が綺麗だったけれどもじっくり愛でる間もなく着付けへ。

DD食堂からの眺め

着物は五条の和凛さんでレンタル。観光用のレンタル着物も置いてあったのだけど、ほとんどがアンティーク着物のようなレトロで落ち着いた色味と柄で可愛かった。街で歩いてる子たちもほぼ100%そうだった。私が学生時代の頃は(というかコロナ前ぐらいまでは)cmykそのものかってぐらいビビッドな色味かつザ・ポリエステルみたいなレンタル着物ばかりで、レトロっぽい着物を探すのに難儀した上に、レトロっぽいコーディネートが浸透してなくてセットの帯や小物と合わせたらただの無難な着物やん状態になったので羨ましい。お袖や首元からレースがのぞいてたりブーツとあわせてたりみんな可愛い。

隣のブースから「今から嵐山と清水寺行こうと思うんですけどいけますかね」「それは無理ですね」「市バスで行こうと思ってるんですけど」「電車のほうがいいですよ。市バス時間通りに来たことないんで」という会話が聞こえてくる。バッサリ具合に笑ったけどこれぐらい率直に言ってもらえる方が幸運だと思う。

八坂神社

七五三は八坂神社へ。子どもの着付け、ご祈祷、記念撮影。着付けは泣くかと思ったけれども大人しくしていて草履も履きたいと言いだして驚いた(すぐ脱げた)。境内では国宝の記念行事で丹波の和太鼓が演奏されていてご祈祷は何も聞こえんかったけど、子どもが興味津々で泣いたりぐずったりせずに済んで良かった。結婚式を挙げた日のことを思い出して、あれから何も変わってないなと思う。

記念撮影は神社の写真館のおじさまたちが大変頑張って子どもを笑わせようとしてくれた。申し訳ないと思うも、孫でもなんでもない幼児をひたすらおじさまがあやす図はシュールだった。結婚式のとき家族写真を撮影してくれたおじさまが「全然笑ってへんやん」と言って去っていった。なんの得にもならないのに私のデジカメで集合写真を撮ってくれたりみんな優しかった。

紅葉は見頃少し前ぐらい

少しだけ時間があったので円山公園で撮影。さっきが嘘のように笑う。着替えたのち、河原町で家族とはお別れ。いつも一人の時間が欲しいと思っているくせに、一人になった後すぐに家族に会いたくなった。もうすっかり常に誰か(主に子どもだが)と一緒にいる生活がこの身に染みついたんだなと思う。晩は一人で酒を飲もうかと思っていたけれども、友人に連絡を取ろうか迷い始める。昔、「お酒は好きだけど誰かと一緒じゃないと飲まない」と言った友人がいて「一人でもみんなでもお酒の美味しさは変わらないじゃん」と言ったものだったけれど、今はその気持ちが分かる。「一人になりたい」と「誰かといたい」は裏表。同じぐらい切実で贅沢。上も下もない。

宿へチェックインした後、その足で永観堂へ。学生時代にもみじの時期に行きたいと思いつつ行けずじまいだったのでここだけは行こうと決めていた。紅葉には少し早かったけれども人も少なくて良かった。境内をゆきながら、みかえり阿弥陀さんを拝みながら、学生時代のことを思い出していた。寺や神社や仏像の詳しいことは分からない、それでもなんとなく好きで、ただただ足を運んでいたあの行為は大切なことだったと今思う。そういうことを一緒にできる友人がいたことも。何度も足を運ぶから分かってくることがある。

永観堂。紅葉はまだあと少し。


街中に戻りなんとなく見当をつけていた日本酒のお店に3軒ふられ難民になってしまうのか、友人に助けを求めるか、と思ったところで昔連れて行ってもらったよこやまろうそくを思い出す。電話で確認したところあいているとのことだったのですぐさま向かう。

たかちよ・鼎・ニューキョートどれも好みの味だった

つきだしのおだしにほっとする。話すうち隣の席の方はモダン建築祭のスタッフをされていると知る。今日の建築祭の様子を聞いたり、共通の知り合いもいたりして楽しい時間を過ごす。こういう縁ができるお店は良いお店。友人の家にいるような感じでほっとする。

神宮丸太町に戻り、コンビニでお酒とシュークリームとカップ麺を買う。宿で飲もうと思ったけれど暖かかったので川縁に降りてベンチでお酒をあける。

川縁からの眺め

そういえばここは寮の同室だった友人と恵方巻きを食べた川縁だった。なぜ寮から離れたこんな場所で恵方を向いて、震えながら巻き寿司を食べたのか今となっては思い出せない。その友人からは先日喪中ハガキが来た。送り主には2人の子どもの名前があった。なんて遠いところまできたんだろう。私にとっては、今ここがいちばん遠い場所だと思う。

宿に帰り、よこやまろうそくで伺った話をもとに建築祭の計画を練り直す。カップ麺を食べることなく眠る。

・・・

【追記】
今回泊まったのは神宮丸太町のNINIROOMさんでした。倉庫っぽさをいい感じに残しつつ施されたリノベーションが素敵でした。そして本棚も。

『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』をパラパラ読む
照明がかわいい
鏡がかわいくて写真撮った。追々アイコンにしようと思う。
NINIROOM

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