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【遊戯王VRAINS考察】3期の鴻上了見/リボルバーの話【ネタバレ】

※文中、Playmaker、Soulburnerは読みづらいのでそれぞれ「プレイメーカー」「ソウルバーナー」で表記します。その他、キャラクター名が本名だったりアカウント名だったりするのはフィーリングですご了承ください。

はじめに

3期の鴻上了見/リボルバーについて特に不審なのは以下の2点ではないかと思います。

・2期でイグニスによる人間とイグニスの滅亡はライトニングが原因だと判明し、98話で最後にAiを「Ai」と名前で呼んでいたはずなのに、103話ではまた「闇のイグニス」呼びに戻り、「AIは人間の未来において脅威」と言ってAiを監視対象にしている。
・財前兄妹戦でのAiの振る舞いに、「お陰で一点の迷いも無くお前を消し去ることができる。この落とし前は必ずつける!」と激怒していたにも関わらず、次の話で対イグニス用AIであるパンドールに「お前の役目は終わった」と言っており、実際にソウルバーナーと戦ったあと、Aiについてはプレイメーカーに託している。

この2点のいずれも、了見が「Aiの存在が人間を滅ぼす」というシミュレーションを、あらかじめ知っていたとすれば説明がつくな…と思うので、それを検証していきたいと思います。

TURN103 終りへの旅立ち

プレイメーカーがボーマンを倒してから暫く経ち、Aiや不霊夢にはつらい戦いだったかもしれないと話す尊と遊作のもとにやってきた了見は、「奴らに同情する必要はない」と告げます。

遊作「イグニスの危険性、それは、ライトニングによる陰謀だった。それはお前も分かっているはずだ」
了見「だからと言って、私がイグニスを信じるようになったわけではない。イグニスの存在が、人類の脅威であることに変わりは無い

2期までの「イグニスの危険性」は、「人間に敵視されたイグニスが、人間を敵視し返し、反旗を翻す」というものでした。それがライトニングの陰謀だったということは了見も肯定しています。しかし、イグニスの「存在」は依然として脅威だと言う了見。
Aiも119話でシミュレーションについてこう表現しています。

Ai「俺1体だけが生き残った場合、俺の存在が、人間を滅ぼす

やはり「存在」が人間を滅ぼす、という表現です。
109話でも117話でも、Aiは結果的にはともかく「人間を滅ぼすつもりはない」と明言しています。おそらくですが、Ai自身が人間を攻撃するとか、そういうシミュレーションではないのではないかと思います。そうではなくて、Aiと関わって意思を持ったロボッピが人間を見下し暴走したように、Aiと関わって意思を持ったAIが人間を見下し、人間はAIを敵視し始め、AIが応戦することで争いになる…というのが主な原因なのではないかなと。(3/14追記:50話で不霊夢が「人間を信じてイグニスの技術を渡し、共に道を歩むか」という議論をしていたと語っているので、人間を信じて技術を渡したけれど、欲望を抑えきれなかった人類が勝手に戦争を始め、敵に技術が渡るのを恐れてAiが狙われる…という可能性もあるかなと思いました)
そして、人類の滅亡が「Aiの敵意によるものではない」からこそ、了見は使命に徹するために、「Ai」への信頼や情を封印して、呼称を「闇のイグニス」に戻したのではないか。

尊「リボルバー、お前との決着はまだついていない!」
了見「分かっている。いずれその時は来る」

遊作が制服でAiを庇うシーンからしても、シミュレーションはそう遠くない未来です。「いずれその時は来る」と確信しているのも、シミュレーションを知っていたからなのではないか。(6/12追記:既に73話の時点で了見は「この戦いに生き残れ。生き残れば、いずれ決着の時が来る」と言っているので、28話のファウスト「プレイメーカー、君は、人類の未来を、自らの手で…!」を踏まえると、シミュレーションの中の人類滅亡はそもそも数年以内なのかもしれません)

ただし、シミュレーションを知っていたとしても、対処自体は「ネットワークの監視を続けている」「イグニスに自由などない」という表現に留まっていて、今すぐ処分しようというわけでもなさそうに見えます。

TURN105 迎撃

Aiの犯行声明を受けて、財前に護衛を依頼された了見は、「イグニスを狩るAI」としてパンドールを紹介します。

財前「神話によると、神々の世界から持ち出された灯火、イグニスは、人間に知恵を与えた。しかし、それを苦々しく思った神々は、人間に禍をもたらすために、一人の女性を送った。それがパンドラ」

この神話と、イグニスを狩る者として作られたAIであるということを考え合わせると、神話内の「人間」を「AI」に置き換えて、「AiがAIに意思を持たせる」未来への対策ではないか? と思えます。(3/14追記:むしろストレートに考えるなら、Aiが人間にイグニスの技術を渡し、人間達が戦争を始めることで人類が滅びるために、技術を悪用する人間達への罰として…??どちらにせよ、パンドラの箱の底に残ったものが「未来予知」と言われることもあるので、パンドラのネーミングもシミュレーションを意識していそうに見えます)

財前「それにしても、君たちがイグニスのようなAIを作るとは」
リボルバー「今後、意思を持つAIの出現は止められないだろう。だが、そいつらの勝手にはさせない。 これはそのための、先手でもある。パンドールには、意識の制御プログラムが組み込まれている。人間に敵対する意思が生まれたとき、それを自動的に消滅させる」

意思を持つAIの出現は止められないと考えていること、AIが人間の制御を受け付けなくなる未来を予測していることも、Aiが話す未来に一致します。
ただ、意思を持つAIの出現自体は2期83話で遊作も予想していることではあり、ライトニングのように敵意を持つ可能性も分かっているので、シミュレーションを知っていたという根拠としてはやや弱いかなとも思います。

リボルバー「我々ハノイの騎士の目的は、イグニスの抹殺。それが完了すれば、我々の存在意義もなくなる。目的を遂行し次第、これまで起きたことを全て公表し、罪を償うつもりだ」

ここで、イグニスの抹殺という「目的を遂行し次第」罪を償うと明言している了見は、実際にはイグニス抹殺(=Ai抹殺)の目的が達成されない117話の段階で、役目が終わったとして自首しようとしています。了見の性格を考えれば、正直言って明らかにおかしい。百歩譲ってプレイメーカーを信じて全てを託すとしても、事が終わるまではそのデュエルを見届けるなり結果を確認するなりあってもいいはずです。

TURN108 不撓不屈の精神

そもそもリボルバーのAiへの態度が軟化したのは、イグニス6体の個別シミュレーションの結果、イグニスの脅威はライトニングが元凶だと判明したから(96話)でした。そのシミュレーションの精度は、ウィンディがライトニングによって性格を改竄されたと確信できる程度(97話)です。
シミュレーションの中に、Aiが人間と敵対するような分岐があるなら、ああまで態度は軟化しないと思います。ということは、犯行声明の時点で、遊作が戸惑ったように、了見もAiの行動を不審に思わないとおかしい。
それなのに、不審に思うどころかあらかじめパンドールを作っている準備の良さです。

財前兄妹の待機する飛行機に乗り込んだAiに、パンドール自身が語った役割ですが、

Ai「リボルバー先生も、厄介なものを作ったね」
パンドール「今あなたの中に、強い敵意を感じます」
Ai「勝手に人の心を読むのは悪趣味だなぁ」
パンドール「それが私の仕事ですから」

イグニスを狩る者であるパンドールの仕事の一つは、「(Aiの)心を読むこと」。戦略上でも確かに重要なことではありますが、次の話でパンドールがAiから聞き出した内容を考えると、シミュレーションを知っているかどうかを含め、「Aiが何を思い、どう行動するのか」が知りたかったのではないか?と、私は思います。
それが分からなければ、自分の出方も決められなかった。

そんなパンドールに、Aiは「表出ろこの野郎!」と飛行機でのデュエルを持ち掛けます。「一度言ってみたかった」と冗談めかして言っていますが、110話、次の財前兄妹とのデュエルではわざわざ観戦者としてプレイメーカー達を呼んでいることも考えると、これは「観戦者のいないところでデュエルをしよう」という誘いだったのではないかと思います。
Aiは、同じAIであり、心を読むことを仕事にしているパンドールには、プレイメーカー達に聞かれたくない話をするかもしれないと思った(あるいはするつもりだった)のではないか。

TURN109 イグニスを狩るもの

パンドール「Ai、あなたはかつて人間と共存するために、プレイメーカーやリボルバー様と共に戦ったと聞きましたが、人間との共存を諦めてしまったのですか?」

リボルバーは、イグニスを狩るためのAIに、わざわざ「Aiは人間との共存を目指していた」という情報を与えています。Aiの行動を正確に読むためには必要な情報かもしれませんが、一方でパンドールがAiに絆されるリスクを考えると、単純にAiの抹殺を目指すなら、与えるべき情報とも言い切れません。実際、後半でパンドールはAiを逃がしたいと思っています。

パンドール「人間を、滅ぼすつもりですか」
Ai「さあ、そんなつもりはないが、結果的にそうなるかもな。俺にも分からねえよ」
パンドール「AIと人間の共存は無理なのでしょうか」
Ai「それも分からねえな。ただ、俺の場合は無理だった。だからお前が無理だって言うつもりもねえし、これから先現れる、意思を持ったAIが無理だって言うつもりもねえ。意思がある以上、みんなひとつの命だ。その可能性を、俺は否定なんてできねえ。ただ、俺には共存は無理だったってことだ」
パンドール「Ai、あなたから途方もない悲しみを感じます」
Ai「やめろってそういうの。俺は誰にも分かってほしくない」(たった一人を除いてな)
Ai「湿っぽい話は終わりだ。どうせどっちかが消えるんだ。ここは景気よくやろうぜ」

(6/12追記:「たった一人を除いてな」について、声に出したセリフとして解釈していましたが、モノローグもしくは他人に聞こえない独り言として解釈変更しました)
ここでAiは、「自分には人間との共存は無理だった」と告白し、それを「悲しんでいる」と解釈したパンドールに、「分かってほしくない」とは言いながら、「湿っぽい話」としてある程度肯定しています。
この会話をもし遊作に聞かれようものなら、何か理由があるだろうという追求が激しくなることは間違いありません。Aiが人間との共存を目指したのは、共に戦ってくれた遊作がいたからこそです。知らない状態でも117話で「何があった」とあれだけ食い下がられるのですから、Aiとしては絶対に避けたいことのはずです。(逆を言えば、遊作がああ来るのは、Aiの望み通りの展開だったことも分かるわけですが)
そしてこの「湿っぽい話」を、おそらくリボルバーは聞いている。

プレイメーカー「デュエルの状況は」
リボルバー「詳細は分からないが、パンドールが優勢のようだ。
パンドールは、イグニスにも劣らない性能を持っている」
プレイメーカー「リボルバー、もしパンドールが勝てば、Aiはどうなる」
リボルバー「私はイグニスに同情はしない」
プレイメーカー「………」

デュエルの詳細が分からないのは、手掛かりが二人の会話だからでしょう。
そして、私の主観になりますが、「私はイグニスに同情はしない」という声には、感情を抑えた様子が窺えます。なので、おそらく了見は、言葉とは裏腹に同情している。
では、誰に? Aiを心配する遊作に、というのも考えたのですが(というか、最初はそう思ってスルーしていた)、Aiに全く同情していないなら、遊作に同情する理由もおそらくない。逆に、遊作の目を覚まさせるために厳しめに言うくらいだと思います。
だからおそらく、了見は「Aiに同情している」。「イグニス」に同情はしなくても、「Ai」に同情していると考えれば、言葉も嘘ではありません。
それなら、ここで同情する理由は? と考えても、やはり先程の「湿っぽい話」を聞いていた、と考えるのが自然だと思います。そして、ここで同情できるということは、Aiの言葉を全て理解したということであり、あの発言の前提となるシミュレーションを知らなければ無理だと思います。
そのあたりのことを、遊作には言えないので、デュエルの詳細は分からないとだけ答えたのではないか。この「湿っぽい話」に関して、これ以降も了見が遊作達に情報共有した形跡は見当たりません。

パンドール「私は同じAIとして、あなたを倒したくはありません」
Ai「………」
パンドール「コードキーと意識データを返して、逃げてください」
Ai(口元だけ)「はぁ?俺は人間の敵だぜ」
Ai(遠景)「お前は人間には逆らえないようにできてんだろ?」
パンドール「ですが、あなたが素直にコードキーと意識データを返還した場合の対処に関しては、制御がかけられてはいません」
Ai「へえ、リボルバー先生、粋なマネをしてくれるね」

そしてパンドールの仕様も、Aiが人間に危害を加えなければ逃がすことが可能になっています。「イグニスの抹殺」を目的に掲げているわりには、随分と甘い仕様です。このあたりからも、Aiが本心で人間の敵になるとは考えていないことが窺えます。
ちなみにこのパンドールの対応は、117話での遊作の対応と全く同じです。遊作のこともAiのことも、了見は十分理解しているように思えます。

TURN110 哀の苛立ち

先程も言った通り、ギャラリーの居ない場所を選んだVSパンドールと違い、VS財前兄妹では、Aiは自らプレイメーカー、ソウルバーナー、リボルバー、そして草薙に通信を繋ぎ、デュエルを観戦させます。
「イグニスの仲間を失ったことで暴走している」という印象を抱かせるデュエルを、です。このデュエルの狙いは、まさに仲間達にそう思わせることだったのだと思います。

プレイメーカー「裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)!イグニス達の争いを象徴するカード…!Ai、お前はライトニングの意志を継ぐといのか!」
ソウルバーナー「あいつ…!一線を越えちまった。Ai!そいつを使うってことがどんなことか分かってんのか!もう俺達のもとへ戻ってこないつもりか!」

これは少し脇道ですが、Aiが継ぐと言っている「ライトニングの意志」とは何だったのでしょうか。Aiは「人間を滅ぼすつもりはない」と明言しているので、人間支配の方向ではないのは確かです。
単なる嘘と考えることもできますが、ライトニングにとって重要だったものとして、もう一つ浮かび上がるのが「統合計画」です。つまりAiが言う「ライトニングの意志」は、おそらく「融合によって完璧な存在になること」。Aiが人間との共存が無理だったことを悲しんでいること、何のためにこんな暴れ方をしているかを考えれば、1期で「正義感を煽ってプレイメーカーをおびき出し」たり(8話等)「遊作と(Aiごと)心中しようとした」(46話)了見なら、この時点でAiの最終的な狙いが遊作との融合だと思いつけなくもない気がします。

TURN111 せめぎ合う意思

ブルーメイデン「私とお兄様は、タッグチームでデュエルに負けたのよ!なのに、どうして…!どうしてお兄様だけ!」
ロボッピ「お情けですか?アニキらしくもないですね」
Ai「お情け?へっ、そんなんじゃねえよ」
 (ブルーメイデンに向き直って)
Ai「お前は消さない。お前も俺と同じように、大事な人を守れなかった後悔と自責の念を抱いて、生きるんだな」
Ai「約束通り、コードキーはもらっていくぜ。じゃあな、パンドールちゃんも、お元気で。行くぞ、ロボッピ」

ここでAiは、これからも色々やらかすつもりなら邪魔になるはずのパンドールを助けた。シミュレーションを知っていれば、この時点で、Aiが生き残る気がないと受け取れると思います。
あと若干メタなので根拠として採用するかは悩みますが、Aiが使った最後のトラップは「ーAiーサツ」なので、事情を察していれば、Aiがこのデュエルを共に戦った仲間達への別れの「挨拶」にするつもりだったことも分かるかもしれません。

ソウルバーナー「待てよ!お前!いくらなんでも、こんなのってあるかよ!」
リボルバー「いいや。これでいい」
Ai「ああ?(振り向く)」
リボルバー「おかげで一点の迷いも無くお前を消し去ることができる」(拳を握りしめる)「この落とし前は必ずつける!」
Ai「………」
 (背を向けて肩をすくめて笑う)

了見はここまで明らかにAiを逃がす素振りを見せているので、財前兄妹への仕打ちを見て、Aiは敵だと見切りをつけたように見えます。しかし、実際にはこの次の112話で、Aiを追うのをやめている。 だから迷いが晴れたのは、おそらく敵だと認識したからではない。そうではなくて、「Ai自身に生き残るつもりがない」と確信したから。だから消し去ることに迷う必要がなくなった。
それを確信できるということは、了見はシミュレーションを知っていた、と考えるしかないと思います。

その上で、ここで了見は私が見る限り「Aiに対して本気で怒っている」。
ここで了見が怒る理由として、私が考えているのは確信が高い順に次の四つです。

・嘘で仲間を傷付けたから(お前が仲間を大事に思ってないはずがない)
・生き残る気が無いと分かったから(命を粗末にするな)
・(最終的な狙いが融合だと読んでいた場合に)Aiごと遊作と心中しようとした過去の自分にダブったから(同族嫌悪)
・そんな運命を背負わせた責任を感じて憤っていた(※拳握りしめる描写、自分への怒りにも見えるんですよね…)

そして、「落とし前をつける」とは、Aiを大切に思う遊作に、二人の絆を理解した者の怒りとして、フュリアス(憤怒)の名を持つ「ヴァレルロード・フュリアス・ドラゴン」を託すことだったのではないか、と思うわけです。
さらに言えば、そんな理由でリボルバーが怒っているとは夢にも思わないAiには、フュリアスは読めない…。

TURN112 SOL社の凋落

ここからの話は既に引き合いに出しているので、補足に近くなりますが、この話での了見の態度はものすごく意味深です。

(二人を見つめるリボルバー)
ソウルバーナー声「Aiがリンクヴレインズにいんのか」
プレイメーカー声「何か手がかりくらいはあるかもしれない」
リボルバー「闇のイグニスが、我々を誘っているというのか」
プレイメーカー「可能性はある」
リボルバー「闇のイグニスを見つけたら」
プレイメーカー「そのときは、決着をつける!」
ソウルバーナー「罠かもしれないけどな。よし!そうと決まったら俺達は行こうぜ」
プレイメーカー「ああ!」
リボルバー「………」

プレイメーカーとソウルバーナーのやりとりを尻目に、明らかに一人別の思惑で二人を観察しているリボルバー。この話の冒頭で、遊作は葵に「もうあいつ(Ai)が何をするのかを、誰にも分からない」と言っていますが、どう考えても、了見には遊作達に伏せている思惑があります。

パンドール「リボルバー様、次の私の役目は何でしょうか」
リボルバー「お前の役目は終わった。闇のイグニスは、お前を助けた」
 (すれ違って背中合わせ構図に)
パンドール「助けられたのでしょうか。私は結果的に助かっただけなのでは」
リボルバー「果たしてそうかな。闇のイグニスはお前に、生きていてほしかったのかもしれない。そうとも考えられる」

パンドール「何故そんなことを」
リボルバー「自分で考えてみてはどうだ」
パンドール「大変難しい問題ですね」
リボルバー「思考を巡らすこと。それが意思を持つ生命の最大の存在意義だ。それを楽しんでみろ」

イグニスを狩る者であるパンドールの役目は終わった。ここでの了見の態度は、「パンドールちゃんもお元気で」を、Aiからパンドールへの遺言と取ったように思えます。了見は既に、Aiのことを悼んでいるように見える。
ついでに、「Aiはどうしてパンドールに生きて欲しいと思ったのか」についてですが、

TURN104
ハト「ボーマンて、どうして最後のデュエル、僕のカメラに残してったんですかねえ」
カエル「きっとあいつも、誰かに自分のことを覚えててほしかったのかもしれんのお」
TURN120
Ai「なんだかだんだん怖くなってきた。いずれみんな、俺のことは忘れちまう」

あたりから、多分「覚えていてほしい」だったのではないか、と思います。おそらく了見もそう読んでいた。
そのあたりを考えると、Aiが、ブルーメイデンがパンドールを連れていたことに過剰反応していたのも、「自分もそんな風に忘れられるかもしれないと怖かったから」なのかなとか思えてつらい…。海晶乙女(マリンセス)を使っているブルーメイデンが、アクアを忘れてないなんてことは、Aiは分かっていたと思うので。
ブルーメイデンを消さなかったのも、本音のところは「俺達のことを忘れないでほしい」だったんじゃないかなあと…。
そしてあの場でそれが分かるとしたら、よりによってリボルバーだけ。怒るはずだよな…と思ってしまいます。

TURN115 始まりの場所

Aiがロボッピに仕込んだプレイメーカー宛のメールを手に入れたソウルバーナーのもとに、そのメールを渡せとリボルバーが現れます。

リボルバー「それをプレイメーカーに渡したところで、闇のイグニスを消すとは限らない」
ソウルバーナー「プレイメーカーを信じらんねえのか」
リボルバー「信じる信じないの話ではない。私は確実性の話をしている。プレイメーカーが奴に情けを掛け、見逃す可能性はゼロではない。既に多くの犠牲が出ている。闇のイグニスを消す以外に、人間への脅威が消えることはもうない。もし嫌だというなら、力尽くでもらう」

これはソウルバーナーに喧嘩を売らせるための口実でしかないわけですが、2期までのリボルバーならこちらが本音のはずです。実際、117話で遊作はAiを見逃そうとします。しかしパンドールに同じことを許していたリボルバーが、そんな遊作を止める理由も本当はありません。
そのことを、尊には知るよしもありませんが。(遊作のほうはここでリボルバーに対してノーコメントを貫いているので、色々無意識に察していたかもしれない)

TURN117 交わらない道

リボルバー「お前を繋ぎ止めていた過去の呪縛も、今の光と共に消えていったようだな」
ソウルバーナー「リボルバー。お前最初から、メールなんてどうでも良かったんだな。俺のために」
リボルバー「いや、これは自分のためにやったことだ。だからこそ本気で戦った。私自身の呪縛を解くため」
ソウルバーナー「リボルバー」
リボルバー「闇のイグニスがプレイメーカーに接触してきたのなら、それが最後の闘いになるだろう。奴は再戦の余地など残すまい。全てはプレイメーカーの肩にかかっている。私のすべきことは終わった」

「再戦の余地など残すまい」というのは、「勝っても負けても生きて帰る気はないだろう」ということだったのでしょう。だから「私のすべきことは終わった」。

ソウルバーナー「リボルバー、お前に会えて良かったよ」
リボルバー「私もそう思う。さらばだ、ソウルバーナー、……プレイメーカー」

若干の間のあと、「プレイメーカー」にも別れを告げる「リボルバー」。
Aiの呼び出しに応じる覚悟を決めた遊作のもとに、彼は再び現れ、無言でフュリアスのカードを託します。

遊作「了見」
了見「さらばだ、藤木遊作」

ここでのカード受け渡しは、原作遊戯王のバトルシティ編決勝前に、海馬が遊戯に「デビルズ・サンクチュアリ」を渡したシーンのオマージュと言われています。
その海馬がカードを渡すに至ったのは、「ラーの翼神竜」の古代神官文字(ヒエラティック・テキスト)が解読できてしまい、その特殊能力を攻略するためのシミュレーションを重ねた結果でした。
海馬のシミュレーションはデュエル内容に対するものであり、「裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)」の効果は既に割れているのでズレはありますが、単に「攻略のためのキーカードを渡した」だけでなく、「独自に掴んだ情報を伏せたままで」というところからオマージュになっているかもしれない…と思ったりします…。

結論

というわけで、3期了見の不自然な行動は、「Aiの存在によって人間が滅びるシミュレーションを知っていたから」だと私は結論しています。もともとライトニングが最初にした数十億のシミュレーションを把握していた(96話)こともありますし、もしAiに残したものが後で見つけて秘匿されたものだとしても(了見は「今のお前なら私に解析されるようなデータの残し方はすまい」とも言っています)、了見自身がボーマン撃破時点のデータでシミュレーションし直すか何かして見つけたんじゃないかなと。1期も2期もシミュレーションを元に行動していた了見なら、普通に考えてそういうことをやる。
どんなに…どんなに考えても…知らないよりも知っていたと考えた方があまりにも自然だと思います…。助けて…()

2020/8/28 追伸:補足記事ができました。

■修正履歴■
2019/12/17 初稿
2019/12/18 修正:TURN109「湿っぽい話」を本当は聞いていた→聞いていた、詳細は分からないと嘘をついた→デュエルの詳細は分からないとだけ答えた
2019/12/22 修正:タイトル等勘違いで表記をアカウント名/本名にしていたので本名/アカウント名に修正しました
2020/3/12 修正:TURN111 何もできない自分の無力さに憤っていた→そんな運命を背負わせた責任を感じて憤っていた
2020/3/14 TURN103、105に別のシミュ内容予想を追記
2020/5/24 見放題配信開始の関係で、ネタバレを自重してタイトルを修正しました。旧タイトル「3期の鴻上了見/リボルバーはAiのシミュレーションを知っていたのではないか」
2020/6/12 大幅修正:TURN109「たった一人を除いてな」を独り言に解釈変更したため、109話湿っぽい話周りを中心に、影響が出る部分は全て修正しました。その他、TURN103に追記、「おわりに」にシミュレーションを知ったタイミングについての記述を増量。
2021/6/16 細かい言い回しを修正