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歴史はいったんは勝者によって書かれる

"History Is Written by the Victors" (歴史は勝者によって書かれる)は、イギリスの元首相  Winston Churchillの言葉だとも、第2次世界大戦の敗戦国ナチス・ドイツの元元帥 Hermann Göring の言葉だとも言われています。でも、一般的に Churchillの言葉として語れることが多いですね。まさに、それ自体、ぴったり  "History Is Written by the Victors"  の通りになっています。ただ、実質的に同じ意味の言葉は、1840年代~1860年代にいくつかの書籍に登場しています。

インターネットのホームぺージで、上記の詳しいいきさつを確認することができます。
https://historynewsnetwork.org/article/173752

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http://listserv.linguistlist.org/pipermail/ads-l/2009-December/094857.html

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苛烈な戦争であれば、勝者だけが生き残って支配権を獲得し、敗者は死に絶えますので、当然のこととして、程度の差はあるとしても、おおむね勝者目線、勝者を善(=正義)、敗者を悪(=不正義)とする論理で偏ったストーリーが描かれます。ただ、その時代も、永遠に続くわけではなく、また次の時代の勝者によって新たな解釈がなされます。また、いかに恣意的に語ってみたとしても、いろいろな物的証拠や、証言、それを記した文献が残りますので、そこまでは単純ではありません。不都合な真実は、あとから暴かれますね。日本の歴史を振り返って、源平の合戦や、南北朝の動乱、戦国時代、関ヶ原の合戦、明治維新など、国全体を揺るがすような大きな動乱が起きていますが、その当時の、その瞬間の勝者の言い分通りには、現代の我々は受け止めていません。

私的な解釈です。「歴史はその時代の勝者によっていったんは書かれる。しかし、いずれまた別な風に上書きされる。同時に、上書き前の記述のほか、それに対立するものも含めた別な記述も発掘されて併記保存される。」

少し別な観点では「正義は勝つ」ということについても考えてみる必要があります。おそらく紛争の当事者は、誰もがそれぞれに正義を主張します。この文脈では、正義は1つではなく相対的です。しかし、勝敗の決着がつくと勝者の正義が、少なくともその瞬間は絶対的な正義になります。つまりは「正義が勝つ」のではなく、「勝ったものが正義」ということにもなります。つまりは、勝敗がいかに重いものか、ということを受け止める必要があります。むやみに好戦的な勢力が悪のように描かれるのが、やはり、結果として、慎重な勢力と比較して生き残れない可能性が高いせいかもしれません。ただし、仮に決戦において勝者の側に立てたとしても、それも永続的ではありません。

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