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過冷却

Supercooling(過冷却)は、本来であれば凝固して固体になるはずの凝固点(融点)よりも低い温度でも、まだ凝固せずに液体であり続ける現象です。例えば、水の凝固点(融点)は摂氏0℃ですが、結晶成長の核となる微小な塵などが含まれておらず、振動などのほとんどない静かな環境で、非常にゆっくりとした冷却を行った場合、0℃以下でも凍らないことがあります。乞うした状態を過冷却状態と呼びます。層雲や積雲のような雲の中にこうした過冷却水の粒が存在します。実験室はもちろん、家庭にあるようなごく普通の道具立てでも過冷却水を作ることができます。注意深く冷却すれば、実に-40℃以下でもまだ凍らないままにすることができます。こうした過冷却水は、わずかな振動、衝撃で一瞬にして固化して氷になります。これを応用したスーパークールドコカコーラがかつて販売されていました。

https://www.youtube.com/watch?v=Fot3m7kyLn4

https://www.youtube.com/watch?v=ph8xusY3GTM

https://www.youtube.com/watch?v=5T68TvdoSbI

水の固体である氷の結晶構造と言えばたいていは六方晶ですが、そうではない構造もあります。こうした構造は通常の圧力や温度の領域ではない、特殊な環境で見られるものですが、過冷却水から固化させる場合、新たな可能性が生まれます。このような考え方を応用すると、高温で複数の金属を融解させ、液体状態で混合した後、過冷却状態を経て、新たな合金を作ることができます。新たな機能を持つ材料を開発してゆく有力なアイデアの1つです。こうした研究では、原子レベルの構造を制御するところに主なポイントがあるので、分子動力学計算などのシミュレーションや、主にX線による実験的な構造解析のデータおよびその詳細な解析、検討が非常に重要です。

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