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2019第29節 京都サンガ×アビスパ福岡


8月24日(土)

明治安田生命J2リーグ 第29節
@たけびし(旧・西京極)


京都サンガ 1-1 アビスパ福岡
得点者:石櫃洋祐(14分・京都)、田邉草民(76分・福岡)


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1)ワンサイドゲーム

◇スタメン

今節のスタメンは以下の通り。
京都は4123(433)、アビスパは3322(352)の並び。

前節怪我から復帰出場を果たした仙頭がスタメン。
長崎や大宮などを相手に好ゲームを演じた"ベストメンバー"が久々に揃うこととなった。


◇アビスパの特殊な442化

アビスパの基本フォーメーションは3421。自陣に引いて守備ブロックを作る時は541になる。前線のプレスはそれほど激しくなく、1トップはカウンターターゲットとしての役割が大きいだろう。

特徴的ピッチの中盤で行われる守備での陣形変化だ。

ボールサイドのWBが1列ポジションを上げ、逆サイドの、STが下がって442化する。ほかの選手はボールサイドにスライド。
サイドでに追い込みボール奪取を狙いつつ、ボールを下げられたあとのプレッシング、奪ったあとのカウンターに移行しやすくなっている。


反対のサイドにボールを展開された場合は、541に。
さらにそこからボールサイドのSTとWBが1列ポジションを上げて再び442化する。


◇京都の狙い

キーマンとなるのが石櫃だ。

京都はアビスパが442化する際のWBの裏を狙ったロングボールからチャンスを生み出した。一美、福岡、仙頭が入れ替わりで裏のスペースへ飛び出し、中央に折り返しのクロスをあげるパターンを何度も作った。

アビスパの最終ラインは442に変形する際に選手間の距離が広がってスペースができやすい。そこに石櫃の正確な右足でボールを供給することを1つの狙いとしていた。


◇先制点

序盤からショートパスでのビルドアップと裏を狙うロングボールを織り交ぜた攻撃が冴える。

12:11〜 最終ライン中央に下がった庄司が好配給を見せる。
庄司→黒木、庄司→石櫃と左右への2本のパスでアビスパの陣形を442へ2度変化させた。その結果、安藤→小屋松の3度目のサイドチェンジにスライドが間に合わなくなる。WBを押し込めた状態を作り出した
小屋松の突破を匂わせる動きと金久保のフリーランで山田を前に出れなくした上に田邊を最終ラインまで押し下げた
これによって出来たスペースに小屋松がカットイン。
逆サイドの石櫃へ展開した際、仙頭と一美をそれぞれマークしていた輪湖とウォンの間にスペースが空く。石櫃がスルーパスを送り一美が抜け出してクロスを送る。
こぼれた所を石櫃がミドルシュートでねじ込んだ。

※動画は石櫃がボールを受けるところから

京都のWGが下がってボールを受けようとするところにアビスパのWBが対応することで簡単に前を向けないようにしていたが、庄司のサイドを変えるパスでWBが前に出れない状況を作った。

小屋松と金久保で左サイドに意識を向けることができ、中盤の守備を完全に無効化したシーンだった。

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◇多彩な攻撃パターン

・18:30〜 庄司→黒木にミドルレンジのパス、小屋松と金久保のワンツーで小屋松が抜け出すもクロスをあげきれず。

・29:20 石櫃→福岡、一美や仙頭をおとりに福岡が最終ラインの裏に抜け出してシュート。

・32:23〜 安藤→一美で最終ラインの背後を突いてマイナスのクロス、金久保に惜しくも合わず。直後に福岡が右サイドで狭いところの裏を取るがクロスは中央に合わず。

・36:30〜 一美がウォンからボール奪取して金久保とのワンツーからシュートまで。こぼれ球に小屋松。ここはセランテス2連続セーブ。


ショートパスでのビルドアップ、ロングパスを織り交ぜたビルドアップ、プレスをかけて奪ってからショートカウンターと多彩な攻撃を見せた前半だった。アビスパがボールを握る時間もあったが全くチャンスを作らせず、ワンサイドゲームを演じた。


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2)キーマン鈴木惇

◇アビスパの変化

アビスパは後半、フォーメーションを541に戻す。

さらにビルドアップを3バック+2CHに変更。

鈴木がボールに触る機会が増えたことによりビルドアップがスムーズに。広い視野と非凡なパスセンスで左右に何本もサイドチェンジのボールを送っていた。またSTの木戸や田邉がライン間でボールを引き出したり、WBへのサイドチェンジのサポート役となりボールを繋げるようになった。

サイドチェンジやWBとSTの連携でアーリークロスを増やしゴールを脅かした


京都は451でブロックを作り、機を見て442に可変しプレスをかけようとするも、鈴木を捕まえきれない。キーマンを抑えられないためサイドチェンジや縦パスから押し込まれる展開になる。


守備面では、京都が3バック化すると3トップでプレスをかけながら上述の442へ可変。

普段の2-3(2CB+両SB+庄司)に対してもアンカーへのコースは森本が消し、鈴木が前に出てケアすることで対応。庄司が前半ほどの良さを出すことは出来なくなった。

それでもボールを繋いで惜しいクロスやシュートを放つもゴールを割れず、後半途中からは完全に主導権を握られてしまった。


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京都は60分すぎから小屋松が下がり目でWBをマーク。実質541に。耐える時間が続き、PKもなんとか凌ぐ。

69分頃から庄司を最終ラインに下げた541に。
SHとSBでクロス対応、中央に人数をかけて中で跳ね返す方法を取る。

しかし75:22〜 クロスのこぼれ球を拾い、鈴木から縦の前川へ。輪湖と2人で石櫃に対して数的優位を作り、輪湖のクロスを田邉草民が合わせて同点。

※この時の京都の問題点は後述

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3)修正のタイミング

◇対応できない京都

後半の大きな問題点は相手が戦い方に変化をつけてきたことに対し、ピッチ内でもベンチからも修正を施せなかったことだ。


鈴木をどう抑えるかというところで有効打が打てず、攻撃もぼちぼち良い形を作れていたことから動くに動けない状態に。4123を無理に崩したくない思いがあるのか対応が遅れてしまう。

・押し込まれ始めた60分すぎ
・PKの前後

など選手交代で流れを変えたり、選手の配置を変えることは出来たはずだがなぜやらなかったのか。疑問が残る。


◇考えうる対応

532に選手の配置変更
→2トップで2CHへのパスコースを消す。中盤3人で中央を封鎖しつつCHをケア。5バックでWBにマークを付けサイドチェンジを封じる。
選手交代をするならば、最前線に宮吉or中盤に重廣or最終ラインに闘莉王の投入。

・重廣or宮吉を投入し鈴木に対してプレスを行う
→運動量にかげりの見える中盤の走力を回復。キーマンである鈴木に442で積極的にプレスに行き、パスの出し手を封じる。


ここで最もやりたいのは相手のキーマン・鈴木を潰すことである。福岡の攻撃は鈴木を起点にしていることが多い。彼を試合から追い出すべきなのだ。
前半は京都がボール保持の時間が長くあまり必要がなかったが、後半はそれが課題となっていた。


残り20分のところからでもやり方を変えれば、京都が再び流れを掴む可能性はあっただろう。


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◇もうひとつの問題

ここ数試合の京都を見ていると、DFとMFの間が間延びしてることが多くなったと感じる。

間延びしてしまうと
・ロングボールを入れられた時に中盤が戻りきれず最終ラインへの負担が大きくなる
・こぼれ球を拾えなくなる
・DFとMFの間のスペースが大きくなるので相手が自由にボールを持ちやくなる(=ピンチ)
・中盤がプレスに行っても後ろが連動できない

などといったことが起こり失点につながりやすくなる。


現状としては、前半から裏のスペースを狙われ続けロングボールに対処しようとする最終ラインと、パスの出し手を極力潰したい中盤との意思の乖離が起こっていると見ている。


大宮戦(2-3●)や琉球戦(2-2△)などの試合ではこういったシーンが顕著で、それに近い状況になっていると感じる。


「ラインを高くしてコンパクトにしてプレスをかければいい」「中盤も含めみんなで構えて守備ブロックを作ればいい」という二元論ではなく、的確な状況判断の下でバランスを取ることが求められる。


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4)最後に

サポーターの方で言えば、チームが調子落としてて、サポーター論も巻き起こって、モヤモヤを抱えてると思う。

ゴール裏のコアから似たような意見がいくつも発信されてたのは「”ゴール裏のコアゾーン”が中心となってホームの雰囲気を作れていたのか?」という疑問と危機感を抱いたからだろう。

誰が歌ってる歌ってない、飛び跳ねてる飛び跳ねてないじゃなくて、一人一人が意識を変えて90分間100%の力を出して初めて選手を後押しできるんじゃなかろうかと。

強制でもないし、やらない人を排除するつもりもない。

ゴール裏の中心部(コアなエリア)に来てる人は自分たちの応援で選手を後押ししたくて来てるはず。じゃあやろうぜ!サポーターの力を見せようぜ!
なんのために自らそこに足を運んだか、もう一度よく考えて欲しい。


本音を言えば…

真ん中来てやるって決めたなら何があっても最後まで応援し続けろ!試合内容もくそもあるかボケ!そんなもん試合後の酒のあてじゃ!試合中は応援してなんぼじゃ!

最後まで信じて応援せんならゴールは生まれん。金沢戦も栃木戦もそうやなかったか?


「どんな時もあきらめずゴール目指そう」

そういうことですわ。

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そんなわけで愛媛様が大宮に大勝して2位返り咲き。

ここからはアウェイ2連戦。


徳島戦では決起集会&フラッグ祭りするよって。


苦しい状況だからこそ、サポーターもクラブの一員として勝利に貢献できるように頑張っていきましょう。


えいえいおー






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