見出し画像

小学4年生の自由研究「知ってる?? はんこってなんで押さなきゃいけないの? ~日本のとくべつな文化~」がすごかったので、すごいと思ったところ書く

図書館を使った調べる学習コンクール
『知ってる??はんこってなんで押さなきゃいけないの?~日本のとくべつな文化~』

2019年の図書館を使った調べる学習コンクールで文部科学大臣賞を受賞したこの自由研究。本当にすごすぎたので「ここはすごい」と思ったところを書いてみました。


画像1

まず調べる方法を列挙して整理しているのがすごい。
そしてその方法の適切さと順番も完璧。「身の回り」という今すぐ調べられる最も身近なところからスタート。文献にあたり、製造現場にあたり、最後に専門家にあたる。すごい。
まあこのあとを読んでいくと、最初に方法を整理したのではなくて、浮かんできた疑問を解こうとしたらこういう順番になった、という順番っぽいんだけどきちんと整理してるのはえらい。


画像3

撮影されてる写真も身近で分かりやすくて素晴らしいんだけど、すごいと思ったのが「母さつえい」って書いてあること。
撮影者を明記するのもすごいし、撮ったのが母だってちゃんと書くのすごくない? 自分だったらウソついちゃいそう。だってバレやしないやん。少しでも自分の功績を多くして褒めてもらいたいやん。
でもこの子はそうじゃなくてきちんと正直に、そして撮影という行為にも敬意を払って、誰が撮影してるか正しく書いてる。すごい。


画像2

調べる前に必ず「予想」を立てる。仮説→検証の流れ
なんなの。ビジネスパーソンなの。

そして『例解学習国語辞典第十版』ときちんと出典も明記


画像4

字ばっかりが続いてそろそろ退屈かなー、っていうちょうどいいところでキレイな挿絵が入ってくる。見事。


画像5

50人にアンケート! マジかよ!! しかも直接またはメールでって行動力の化身か!!
どんな人を対象にどんな方法でアンケートを取ったかまで明記してて完璧。回答に付属するコメントもクリティカルなものを適切にピックアップ。
そしてこれらの事実に基づいて自分なりの考察まで。
すごすぎじゃない?


画像6

教科書かな? と思うレベルのキレイで分かりやすい資料。


画像7

「はんこと印鑑は意味ちがうやーん」って気づいた時点で「大人もだれ一人分かってないのなプププ」ってドヤ顔になっちゃいそうだけど、まったくそう思ってる気配がない。
厳密にはこれが正しいけど、実際にはこう運用されてるよね、って両方を理解し容認してる。
知性のかたまりかな。


画像8

見事というほかない写真。ページのデザイン。
お店を選んだ根拠までしっかり説明されている。

ここでも「父さつえい」と明記。


画像9

画像10

お客さんの反応や彫るときの難しさなど、文献にあたるだけでは分からない現場の貴重な声。資料としても本当に素晴らしい。


画像11

学んだこと、思ったこと、そしてきちんとお礼。今回作ったハンコで締め。素晴らしい。


画像12

ここから文献で調べたことをガッツリ。
へー! へー! と感心しながらスルスル読める、面白くて緩急のある資料で本当にすごい。


画像13

台湾の話が出てきたところで「台湾に住んでいるお母さんの友達にさっそく聞いてみたよ!」ってなる??
文献一辺倒じゃなくて現地の生の声まで書いてある資料素晴らしすぎない?


画像14

画像15

3軒の図書館と2軒の博物館を探してまわった上に、学芸員にまで聞こうとする執念すごすぎない??


画像16

文化にも敬意を払いながら見事な考察。


画像17

「デジタルファースト法で電子手続きになっていくけどどう思う?」ってメチャクチャ聞きづらい質問をはんこ職人さんに聞いててすごい。
はんこ職人福原さんの回答も素敵。


画像18

最初の疑問に立ち返り、はんこの本質とは何か、文化は何か、そして自分はどう考えるのか。素晴らしい理解と考察。


いやー、そりゃ先生やご両親の指導やサポートはあったんだろうけど、それにしてもすごかった。恐れ入りました。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?