小川さやか 『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』 春秋社
香港のタンザニア人が集うチョンキンマンションにおける人びとの交流を通して、彼らの独特な人間関係が描きだされている。「独特」と書いたがそれは私の主観でしかなくて、彼らにとっては「普通」なのであるが。
著者は「そもそも彼らは他者の過去や現在の状況を詮索せず、人間はいつでも豹変しうることを前提にしながら、そのつどの状況・文脈に限定的な信頼を構築している。」ことを様々な具体的事例を上げながら何度も強調する。これは私には、日本人の人間関係とほとんど真逆のように思えた。日本人は、他者の