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本の森

メタバースプラットフォームclusterに『本の森』という図書館ワールドを公開しました。

本や本のある空間が好きで「こんな図書館があったらいいな」という私の妄想をワールド化しました。

ワールド制作の中で実現できたこと、今後実現したいことが明確になってきたので、一区切りとして文章にしました。

前編が実現できたこと
後編が今後実現したいこと(ほとんど私の妄想)
という構成で書いています。

理想的な図書館

図書館は本という膨大な情報の貯蔵庫であるとともに、人と人を繋ぎコミュニティ形成の場となる施設です。本を読むことだけじゃない多くの役割を担っています。そんな情報とコミュニティが絡み合う場において私が考える理想的な図書館は

  • 思いがけない『本』と出会える場所

  • 思いがけない『人』と出会える場所


『本の森』はそんな出会える図書館をつくるにはどんな居場所にらしたらいいんだろうと考えていたことを形にしてみました。

【前編】本との出会い


本との出会いを求めて自由に回遊しながら散策できる図書館をつくりました。
本の森は一歩足を踏み入れると方向感覚を失い迷い込んでしまうような深い森のような図書館です。
行ったことのない街、通ったことのない路地に迷い込んだとき、偶然木漏れ日の風が心地よい居場所を見つけたり、気になるお店を発見したりしますよね?
迷うことで新たな発見が生まれます。

・ワールドを構成している要素


一見複雑そうに見えますが

  • L型本棚壁

  • ガラスキューブ

という4つの要素によって構成されており、
それらの要素を立体的にランダムに配置していくことでこのワールドはつくられています。

L型本棚壁



ガラスキューブ



4つの要素の組み合わせ
  1. L型本棚壁
    L型本棚壁によって迷路のような空間をつくり、回遊性を生み出します。


  2. 大小様々な床を高さを変えて挿入していきます。
    床と床の関係性によってゆるやかに繋がり、空間に奥行きを与えます。
    利用者自らが動き回ることを誘発し、奥へ奥へと導きます。

  3. ガラスキューブ
    5つのガラスキューブを分散配置します。建物の中に外部と内部をつくり出し、曖昧に内外が連続していきます。


  4. 本棚に本が配置されることで壁が本によって形づくられます。本を入れることで本棚が壁として輪郭を持ち始め、本の配置の粗密によって壁の関係性が変化します。本が密に配置されて部分では仕切られた壁となり、本が粗に配置されている部分では本棚の向こう側が見え視覚的な繋がりが生まれます。

4つの要素がつくる空間的な奥行と回遊性によって動き回ることを誘発し、本と出会える図書館を目指しました。

【後編】人との出会い

人と出会える場所はコミュニケーションが生まれる場所と考えました。
【後編】では今後実現したいことについて書いています。

・本棚は人格を持った自分の分身

所有している本棚には自分の趣味や仕事、考え方などが投影され、自分の分身のように感じることがあります。
例えば
・厳格な性格の職場のあの人の本棚に、難しそうな古典文学の中にギャグ漫画が紛れ込んでいると、一気に親近感が湧き人間味を感じます。

・気になるあの子の家の本棚には少女漫画ではなく、専門書が並んでいたらギャップにやられちゃいますよね?

本棚には表面には現れない、その人の人格や内面が映し出されます。本棚は人格を持ったもう一人の自分なのです。

・他人の本棚を覗きたい

本棚を覗き込むことはその人の頭の中に入り込むような禁忌的行為でありスリリングな体験です。
家というシェルターに閉じ込められ決して見ることができなかった他人の本棚を見るという行為を本の森で実現できれば、自分の分身である本棚を介したコミュニケーションが生まれると考えました。

・みんなでつくる図書館

日本十進分類法(NDC)により明確に分類された本棚ではなく、利用者自身が自由に本を並べられる図書館。
本棚に自分の分身をつくることで、利用者がこの図書館への参加意識を持ち、利用者ひとりひとりによって本棚がつくられるみんなの図書館が完成します。
本棚を覗き見ることで本棚を介したコミュニケーションを誘発し、出会える図書館を目指します。

今後の課題

本との出会いをつくるための空間をつくることはできましたが、人との出会いをつくるため体験がつくり出せていません。
リアル建築では建築をつくることと、運営することは分かれていることが大半ですが、メタバース空間では体験の設計も同時に実装していかなければいけないと、痛感しました。


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