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わたしの梅しごと歴

わたしは無類の梅狂いである。

その原点は父方の祖母。
父方の家は、大分の山奥、本当に自給自足のような暮らしをしている田舎で
野菜やお米をつくり、自然と共に暮らしているような家でした。
祖母が漬ける、身が締まって真っ赤で、きゅっと固く酸っぱくて、痺れるほどしょっぱくて、混じりっけなしの天然の宝石のような梅干しが、私はずっと大好きで、ずっと憧れでした。

いつか作り方を教わらなきゃ、と思っていたのに
やっと私が自立した年に祖母は亡くなってしまった。
形見分けでもらった梅干しは、勿体無くて今も冷蔵庫の中にある。

忙しい社会人生活を過ごす中、年々梅干しへの憧れは募っていき、
最初は失敗が少なそうな梅酒から始めてみることに。

漬け始めて間もない頃
色の変化も目に愉しい

これはNHKきょうの料理でたまたま見た「にぎやか梅酒」。
梅と同じバラ科のプラムを入れて、あまく飲みやすい梅酒に。
8年ほど漬けた現在は、すっかり琥珀色になり味わいも深まりました。


その後、青梅でシロップや梅ジャムなども一通りやり、
カリカリ梅や、小梅を少量で漬けてみたりと
だんだん梅の扱いが分かってきたところで、いざ梅干しに挑戦。


梅干し初挑戦の回

うちは大きな交差点に面しているマンションのため、排気ガスが心配なのと
当時の仕事が多忙で、とても体力的な余裕がなく
土用干しは諦めたので、実質梅干しとは言えず、梅漬けなのだけれど…
実家の母もその昔、漬けっぱなしでつくっていたので、いま現在のわたしの梅干しはこのスタイルです。

引越しでもして、土用干しの環境が整えばやってみたくはあるけど
干さない梅漬けも、皮や果肉がやわらかく
ジューシーでみずみずしい完熟梅を堪能できる気がして、けっこう好きなのです。

そうして毎年、梅の時期になると目を光らせ
梅を買い漁っては漬けるようになったのでした。

左が去年のもの、5kg
右が今年の3kg

去年2022年は本当にどうかしていて、合計6kgも漬けたのでした。笑
業者かな?というくらいできてしまったので、最近は会う人会う人に配りまわっています。笑

今年は梅の時期に旅行でしばらく家を空けていたため、
帰ってきてから慌てて買い周り、なんとか3kg。
レシピは梅干し界のレジェンド(?)藤巻あつこさんのものを参考にしています。


今年は減塩はちみつ梅に挑戦中

見切り品の熟れ熟れ完熟梅1kg分だけ、
これまたNHKきょうの料理で観た「減塩はちみつ梅」に挑戦中。


梅干しをつくる際、赤紫蘇もできるだけ生のものを使うようにしています。
きれいな葉を選んで取り、洗って一枚一枚拭いて、手荒れに染みて痛い塩揉みをして、と
これがなかなか時間がかかって大変なのだけれど
梅酢を入れた時にぱあっと紅く染まって発色するあの瞬間が、たまらない。

だけどやっぱり骨の折れる作業なので
今年も心が折れそうになりながら黙々と作業をしていて
来年は市販品を使おうかな、なんて考えかけたのだけど
きっとわたしは来年も、山のように梅を買い漁って、紫蘇も自分で揉むのだろうと思う。

それはやっぱり、わたしのなかにおばあちゃんのDNAが流れているから。
その梅を食べて育った身体に、おばあちゃんの味が染み付いているから。
毎年梅と向き合う度に、おばあちゃんの姿が濃くなってゆく気がするのです。

いつも会う度、「がんばんなぁよ」と背中を撫でてくれた祖母を思い出しながら
わたしはわたしの梅しごとを、続けていくのだろうと思う。

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