「夜が明ける」
西加奈子さんの長編小説「夜が明ける」
文庫化されたということで、7月に購入し、一度読了し打ちのめされ、先日二周目を終えました。ようやく、飲み込めた気がします。
私の拙い文章で長々と感想など書いたところで、きっと損なうものが多いと思うので、まず、とにかく、読んでくださいと言いたいです。というか、頼みたいです。お願いします。読んでください。
ずっと、アキや僕の物語を読んでいた。私は、ただ、読んでいた。ベッドの上で、電車の中で。彼らが苦しんでいて、私は読んでいる。彼らも、私も、同じ日本に生きていて、だけど私は読んでいて、彼らは、読まれている。
その当たり前が、ちょっと揺らいで、怖くなりました。私が安全なところにいることが、恥ずかしくて、そのあたりまえじゃなさに、怖くなりました。でも、きっとその恥も怖さも、正常で、でも、世の中にはそれを感じられない人もいる。私は、それを感じられて心から良かったと思いました。
モデル、アイドル、タレント、俳優、歌手、インフルエンサー、政治家、犯罪者、おじいさん、女子高生、主婦、おじさん
私たちは、毎日たくさんの人を見ている。
見る側として、見られる側の人を見ている。
事件、事故、戦争、喧嘩、失言、炎上
私たちは、毎日たくさんの物を見ている。
見る側として、見ている。
時々忘れてしまう。見られる側も、生きていること。生活をしていること。夜が明けること。
そんなことを、ふと、考えさせられる話です。
読んでない方は是非!
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