
温度あるやさしさ
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やさしさとは、温度である。
生きているモノがもつ温度。
温かい温度、冷たい温度。
どちらもやさしさである。
温かい温度は伝播する。
優しい人に出会うと、ぽかぽかした気持ちになる。
嬉しくなって、笑顔になって。
空気でふんわりと包まれるような心地がする。
心をほぐされて目をつぶったら、涙が出てくることさえある。
真っ赤になったほっぺたを涙がつたっていく。
いつの間にか、体中が温まって、やさしさに包まれている。
冷たい温度は、温かい温度が冷めてしまったものである。
悲しい時、辛い時、空気が冷たい時。
痛いような冷たさを感じて、心をギュッとしてしまうことがある。
柔らかさや温かさを知っているのに、身体も心も硬くなる。
そんな時はまた、温めたらいい。
美味しいごはん、手触りの良い毛布、聞きなれた音楽、懐かしい場所…大好きな人。
ぜんぶ、やさしさをまとっている。
本当は温かいのに、冷たく感じるやさしさもある。
そんな時は自分から温めてみるといい。
ツンとしている上司に、おすすめのコーヒーを差し入れしよう。
良いアドバイスをもらえるかも。
人見知りのおばちゃんには、地元の良いところを聞いてみよう。
喋りだしたら止まらない。
いつも優しい彼が冷たい時は絶対に理由がある。
怖くても、心のドアをノックして、彼の温度に触れてみよう。
きっと、温かい温度がそこにはある。
やさしさは、変化するものである。
厳しさや強さに変わったり、
意思のない空気のようになってしまったり。
儚く変化するものである。
まるで、温度のように。
いろんな形のやさしさが世界中に溢れている。
ヒトやモノが動くたび、やさしさも揺れ動く。
どこかで揺らいだやさしさが
今日もあなたに届きますように
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■オムスビというコーヒースタンドで働きながらライターしてます■noteで書くのは日常で感じたことや伝えたくなったこと■夫のけんちゃんと2人暮らし■フィルムカメラユーザー。愛用機はpentax sp■福島県南相馬市在住