見出し画像

うめの香

「拾いきれない梅がある」

知人からそう知らせを受けて、梅狩りにでかける
。落ちた梅は、ほんのり黄色く紅く、熟し始めていて甘い香りが辺りに漂っていた。長い笹の棒で枝をゆすると、ボトボトボトッとさらに梅が落ちてくる。どうぶつの森で、果物をとるときのまさにそれだった。

家に帰って、早速水洗い。大きなバケツがなくて、45Lの大きなごみ袋に梅をゴロゴロといれ、ホースでジャーッと水をかける。そのままザルにあけ、サンルームに干しておいた。

夜、家のなかを吹き抜ける風に、梅の香りがのっていた。まるで、秋の風が金木犀の香りを連れてくるように。

やわらかな甘い匂いに、ふわっと気持ちが明るくほぐれる。梅って、こんなにいい香りだったっけ。季節の香りを梅雨時に味わえて嬉しいと私は思った。でも、毎年のように梅仕事をする夫にとっては慣れた香りらしい。

その夜のうちに、乾いた梅のヘタを取り、梅シロップをつくる。氷砂糖と梅を一対一の割合で重ねていく。

カラカラカラッ。氷砂糖が、梅と梅の隙間をすり抜けて、ガラス瓶の底へ落ちる。同じ分量の梅と氷砂糖なのに、綺麗な層になるようにするのは難しい、というか絶対砂糖の方が多いんじゃという気持ちになった(質量としては、実際そんなことはないのに!)

音を立てて落ちた氷砂糖は、どのくらいで溶けるのだろう。熟し始めた梅が悪くならないほどに早く、トロリとしてくれたら嬉しい。

朝起きて、梅と氷砂糖の入ったガラスの器をぐるぐるとする。そして、梅の香りをかぐ。梅雨だけの朝のルーティン。

最後まで読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます^^サポートでいただいたお金では、新しい経験や美味しいものに使い、良いものは周りの人ともシェアしたいと思います!