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母になる私を迎えに (安定期)

(つづき)

つわり期が終わると心身ともに落ち着いて、戻ってきたのは意欲だった。

つわりの期間は、心配や不安な気持ちと体調不良とでまったく余裕がなかった。(なんてことが分かるのはつわりが落ち着いてからなの、本当に辛い)何をするにも「自分は無理をしていないか」「これ頑張ったら赤ちゃんしんどくないかな」など・・

私の場合はゆるやかにつわりが終わった。

匂いに敏感になってしまい出来なかった、料理ができるようになったり
散歩にでかけてみようと思えるようになったり
落ち着いた状態で「これなら不安なく、仕事に向かえそうです!働きたいです!」と伝えられたり

少しずつ、身体の変化に気持ちの変化が追い付いて、自分の気持ちを妊娠前と同じように大切にできるようになった。

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つわり期間を経て、あぁこれからは私の意志だけであれやこれやするのが難しくなるなあ、ということをひしひしと感じていたのか「やりたい!」と思うことに対して、貪欲になった。これまでも、やりたいことにはフットワーク軽く挑戦するタイプだったけれど「いつか出来たらいいな」と思ってたことに対して「今、やっとかないと!」と思うようになった。

とはいえ、コロナによってお出かけは難しかったり、体調との兼ね合いもある。安定期と呼ばれる調子がいい期間はそんなに長くもない。だからたくさんのことが出来たわけではなかった。

そんな中「蒔田家の食卓」と名付けて、夫と一緒に1日限定でカフェをした。

まさに「いつか出来たらいいねえ」と話していた夫婦でお店をやりたいという、ぼんやりした願望。やると決めて1カ月くらいで実現した。出来て本当によかった。

その頃はコロナもかなり下火で、体調的にも心配があまりない状態だったから、タイミングを逃さなかった自分たちのことも褒めたい。

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普通に仕事が出来ることがとても嬉しかった。

車で職場のコーヒースタンドまで行き、お客さんと話したり、パソコンに向かって産休までの準備をしたり。人の気配を感じながら仕事をするということで、1人で家にいるよりほっとした気持ちになった。

家事も普通にできるようになった。

「今日は何食べる?」と夫と話をして、一緒にキッチンに立つ毎日が戻ってきた。オンラインで料理のレッスンを受けて新しいレシピに挑戦したり、図書館でレシピ本を借りたりインターネットで気になるレシピをストックして、美味しいと楽しいを家庭内で量産していた。

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今はお腹の中にいてくれるけれど、生まれてきたら、自分だけの時間に集中するのってもっともっと難しくなってしまいそうだなあ、と想像している。目が離せない、というか子から気持ちをなかなか離せそうにない。

だからこそ、今、まだ自分の身体の中でみていられるこの期間は、私のわがままにも付き合ってもらいたい。よろしくね、ありがとうねって、ひとりごとみたいにお腹に手をあてて、子にしゃべりかける日々は幸せだなあと思える。

(つづく)

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