カネで買える愛の是非
ヤフーニュースに<元六本木No.1キャバ嬢「クリスマスプレゼントは10万円以上、お店では30万円以上使うのが最低限」クリスマスはなぜキャバ嬢を口説くチャンスなのか>という記事があった。
選手の妻と名乗っているキャバ嬢は「高価なプレゼントを購入してくれれば愛を感じる」と述べている。分かりやすく言えば、これらキャバ嬢の場合「愛」はカネで買えてしまうということだ。
この記事を見て、筆者は小中のときに見聞きした「票数は皆さんの愛です」発言を思いだした。この発言を行ったのはAKB48に在籍していた大島優子である。
平成後期、AKB系列のアイドルグループが大流行していた時期があり、これらアイドルたちが参加するAKB総選挙というイベントでの発言だった。
このAKB総選挙には特徴があった。それは、カネで票が買えてしまうという衝撃的な点である。有権者によって1人あたりの票の数が異なる国政選挙があったとしたら大問題となるが、AKB総選挙の場合は熱心なファンが自分の応援するアイドルに大量投票するため大金を投じるケースが続出した。
いま「票数は皆さんの愛です」と検索してみると、当時のニュースが見つかった。
AKBファンが総選挙で票を投じるために大金を費やしていたのは、自分の好きなアイドルを愛していたからであり、その点において「私たちにとって票数というのは皆さんの愛です。私たちは愛されて、こんなに大きいステージでイベントをやることができています。たくさんの愛をありがとうございました」と語るのは間違っていない。
ホストクラブの女性客がホストの男性にガチ恋し、ホストクラブで散財するのが合法的な範囲において自由なように、AKBファンがアイドルにガチ恋し、票をたくさん入手するために散財するのも合法的な範囲において自由である。
ここで筆者は或る事例を紹介する。
週刊や月刊の漫画雑誌ではキャラの人気投票が企画されることがある。このような人気投票もカネで票が買えてしまうものが多い。
或る年、週刊少年ジャンプで連載されていた漫画『BLEACH』で(斬魄刀という作中のアイテムを介した)キャラの人気投票が行われた。
その際に大量に投票券を購入し、段ボールが埋まってしまうほど膨大な数の票を出版社(集英社)に送る『BLEACH』ファンが現れた。
それに対し、『BLEACH』の作者は以下のような対応をとった。
段ボールでの大量投票を1票計算という判断に「経済力に富む者がそうでない者よりも大量に投票できてしまうのはまずい」という思いが込められていると推察するのは難しいことではない。
日本は資本主義社会であり、「経済力に富む者が資金力にものを言わせて何らかの愛を勝ち取りうる仕組み」があったとしても合法的な範囲であれば自由だといえる。
しかし、「長者の万灯より貧者の一灯」という表現があるように、そのような仕組みだけではカバーできないようなものも社会において少なからず存在するのではないだろうか。
サムネイル画像:また、『やじうまTV』で【AKB48】総選挙・予想! - 回遊草(KAI YU SO) (goo.ne.jp)
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