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半導体のお話とそれに係る素材メーカーについて

PCやスマホなどの民生用需要の不振が影響し、半導体需要は22年度から足許にかけて厳しい状況となっていましたが、メーカーの減産効果やAI向けの需要拡大で夏から秋口にかけての需要がボトムアウトすると思料しており、株価についてもそれを織り込むような動きとなっている。

DRAMでは生成用AI用等のDDR5やHBM等の高性能メモリ需要に拡大の兆しが見え、TSMCは主要顧客であるNVIDIAから生成AI向け等に先端パッケージの大規模な追加受注を受けたと推定される。

ど真ん中でいうならば、銘柄はNVIDIAとTSMCになるのだが、直近の政府系ファンドのJSRを買収したニュースを受け、半導体素材の注目がされている。

特に日本における半導体分野での強さというのは、半導体装置の分野と素材の分野になる。

半導体装置でいえば、東京エレクトロンを筆頭に、海外ではオランダのASMLと有名な企業が存在する。

今回は、直近注目されている参入障壁の高いフォトレジスト素材のお話を書いていく。

特に半導体材料は保有在庫が少ないフォトレジストなどの需要から回復が見込まれ注目されている。

フォトレジスト素材とは


半導体製造プロセスで使用される、微細なパターンを作成するための材料の一種。

フォトレジストは、光を感光性ポリマーに照射することで、表面に微細なパターンを形成することができ、微細な半導体チップや集積回路のパターニングに使用される。

このプロセスは、マスクと呼ばれるパターン化された光透過性の板を使用して行われ、フォトレジストが開口部を形成することで、集積回路の回路形状や配線形状を決定する。

半導体フォトレジストは、製造工程の品質や速度に大きな影響を与えるため、半導体産業にとって非常に重要な材料の一つである。

特に、半導体ウエハや半導体ガスなど他の半導体材料よりも参入障壁は高く、特に日本企業の世界シェアは90%を超えるため、今回の政府系ファンドの買収の話は注目されている。

日本の強みであるシェアについて

主に、この分野での世界の90%のシェアは、JSRが27%、東京応化26%、信越化学17%、住友化学13%、富士フィルム9%の比率

勿論フォトレジストを生産するために、紫外線硬化樹脂生産や原料生産、供給する側とプレイヤーは多い、この分野であれば日本化薬、KHネオケム等が原料の分野のプレイヤーになる。

ではレジストの中でArfとKrfとEUVで市場シェアを考えてみよう。

まず、半導体を製造しているメイン企業は、TSMC、Samsung、Intel、SK、Micron、キオクシア(東芝)の6プレイヤーとなる。

ここにArtレジストシェアは信越化学とJSRが1位で、どの企業にもバランスよく卸しているのが東京応化(2位)。

Krfレジストは東京応化が首位で、台湾や韓国の先端ロジック向けのEUVレジストではTSMCは信越化学と東京応化、Samsungは住友化学とJSR,、順手で信越化学と東京応化が入ってくる。

メインプレイヤー

1つ目は、東京応化(4186)

この分野については、現状苦しい半導体メーカー減産の悪影響を受け23年12期の上期(要は秋口)までは、厳しい状況であるが、メーカーの減産の緩和が影響することで在庫の圧縮が進み、半導体サイクルの流れで一番好影響を受け業績が改善してくると思料。

2つ目は、信越化学(4063)

ロジックの2ナノ向けのシェアは低下するが、3ナノ向けのサプライヤーとしては強い。先端のArtとEUVレジストの比率が高く、高い営業利益率を維持できる企業。フォトレジスト以外にも米国での塩ビ採算の改善や半導体のウエハ需要の改善も見られると思料

メイン投資先になりづらいが3つ目としては、住友化学(4005)
韓国のメモリ向けのAetレジストとEUVレジスト向けの比率が特に大きい。石油化学の需要の伸び悩みや偏光板の競争激化もあるので、他の分野での考慮は必要。

材料メーカーについて

次にフォトレジストのサプライチェーンを考えた際に半導体メーカの下に、上記サプライヤーが存在し、材料メーカーが存在する。

半導体ウエハ、フォトレジスト、CMPスラリー、BARC、High-K等の半導体の川上製品に対しての材料になる。

基本的には大手3社(三井化学、三菱ケミカル、住友化学)の石油化学原料を基に、溶媒、PAG/PAC、樹脂(ポリマー)を半導体フォトレジストサプライヤーに卸している。

この間にいる企業は、ダイセル(4202)、レゾナックHD(4404)、東洋合成工業(4970)、ADEKA(4401)等の企業

特にADEKAについては、感光性材料が最先端EUVレジスト向けを中心に販売拡大が続いている。

最大手は、東洋合成工業であるが、最先端レジスト向け以外の感光性材料の売上高構成比が高いのと生産性能力向上の投資負担が重いため、8月より新生産設備を稼働させるADEKAは面白い。


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