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C&FロジのTOBは概ね決着

C&Fは法人向けの低温食品の輸配送や倉庫保管を得意とし、コンビニエンスストアやインターネット通販各社が冷蔵・冷凍食品の取り扱いに力を入れるなか、市場拡大も見込める企業。

C&Fには丸和運輸機関を傘下に持ち、アマゾンジャパンの配送業務も手がけるAZ-COM丸和が2022年から買収を持ちかけていた。

C&F経営陣は難色を示し、今年3月にAZ-COM丸和が正式に買収提案をしTOBを始めた後も「大口顧客の離反を招くリスクがある」として意見表明を留保していた。

C&Fの株価はAZ-COM丸和によるTOB公表前(3月21日)は2041円だった。

AZ-COM丸和が3000円でTOBを始めた後も、対抗提案への思惑から株価は上昇。SGHDのTOB価格は当初の2.8倍となった。

佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)が同業のC&Fロジホールディングスに1株5740円でTOBを開始し、現在に至る状況だ。

EV/EBITDA倍率を試算すると概ね16倍。この試算値は高いようには見えるが、1株3,000円という数値自体が、安すぎて、合理的な企業価値評価に基づく水準ではない。

こういった、株主を一方的に排除するスクイーズが行われる場合は、株式価値算定の部分はかなり疑ってかかった方が良いと伝えておく。

特に今回は、ホワイトナイトの様な形で、佐川が出てきたことで表立って別の形でTOB価格が吊り上がった形にはなるが、そうではなく安い状態で決着し、泣き寝入りしている株主の方が圧倒的に多い。

というのも、本来、ファンドが出てくる場合は、TOB価格の交渉ではなく、個社毎に行われているケースが非常に多い。

この辺りのケースは、表に見えてこないところであるが、個人投資家においても大口で持っている人間が反対したケースかつ、TOB価格を上げろという要望があった場合は、TOB価格の交渉に応じるが、基本的に周りの投資家がどうなろうと別にどうでも良いわけで、基本的には、個別ケースが多い。

今回のようなケースは何も知らない株主からしたら、SGホールディングスありがとう!という感想でしかないが、丸和からすると、3,000円でスクイーズして、後は個々で対応しておけば結局安上がりでしょ?的な頭であったため、この佐川の1株5740円に対してTOBは流石に手が出ない。

今回の事例で学ぶべきことは、どうみてもおかしな価格でのTOBを介したスクイーズが行われており、株主が軽視されている問題が起きているのと、モノによっては、表立って出てくる場合があるということ。

ただし、基本的には、対個人で行われるものであるので、知識とフローを知っておかないと、そもそも個人投資家にとっては、難しいよねという話。

未上場化されれば、基本的に風化されていくので、誰も気にしませんし。

とはいえ、今後もこのようなスクイーズの案件は日本企業においては、東証による牽制で増加していく形ではある。

アマとプロの違いは、アマはどんな株がTOBされるのか?という頭で予測して動き、株を保有していくのだが、プロは価格の歪さに気づいてから後でこちょこちょとやる。

何が違うかというと、思惑といった不確かなものは基本的に嫌うというお話。

前の記事にも書いたが、リスクというものに非常に敏感であり、負けるような戦い方は毛嫌いする。

今回ラッキーパンチだったとしても、株価が下から3倍、後付けでほぼ2倍と考えると、結構取れてるんじゃないかな?という事案。

そもそも株式価値算定をしていたとしても、2倍以上の値段がついても妥当性はあるんだよということで、そもそもTOB価格ってなんだそれ?っていう話。

これが、そもそも意識的に、確信犯としてできるようにこなれてくると、お上手の域に達してくる。

基本的に何事にも裏側があって、そこにアクセスができ、隙間をつけるように頑張りましょ。

それが、投機ではなくて、投資というもの。

以上

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