マガジンのカバー画像

文芸誌の旅

10
運営しているクリエイター

#満月の下の赤い海

金石範『満月の下の赤い海』「すばる」2020年7月号

金石範『満月の下の赤い海』「すばる」2020年7月号

 大阪で生まれたものの、ルーツは済州島あった。しかしほんの少し済州島にしかいることができなかった。そして渡日後、入れ替わるように四・三事件が起きた。以降金石範は事件にたいして、単なる糾弾だけでなく、贖罪の気持ちもあり、「鴉の死」「火山島」など、この事件をモチーフにした作品を書き続けてきた。
 事件は時代とともに風化したり、逆にそこにいた人々とは違った意味合いが、歴史として残ってしまうことにある。

もっとみる