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【スコッチ刑事のテーマ】(1976)井上堯之バンド   沖雅也よ、永遠に!

今回は昭和の刑事ドラマ《太陽にほえろ!》の話を。私大好きなんです。
好きすぎて、DVD-BOXを買い揃えるくらいのフリークなのです。

銀幕スター石原裕次郎の初TVドラマ起用が話題となり、刑事達に付けられたニックネーム、新人刑事の成長描写と殉職劇など、画期的なアイデアで昭和の刑事ドラマの雛形となりました。1972年~86年まで全718話放送。

やはり人気なのは初期のマカロニ(萩原健一)ジーパン(松田優作)辺りに集中するかとは思いますが、私は圧倒的に沖雅也が演じたスコッチ刑事の滝隆一が好きでした。

貴公子然とした佇まい、ニヒルで他と群れようとしない一匹狼的な存在感。
再放送で観た世代ですが、その魅力は充分に伝わりましたね〜。

初登場となる「スコッチ刑事登場!」(1976年9月10日放映)は、西新宿ロータリーにあるタクシー乗り場で滝刑事が尾行するシーンから始まるのですが、その時にバックで流れていたのがこちら。

ポリドール・レコード。1976年9月発売。
中古盤にて100円でゲット致しました(^^)

【スコッチ刑事のテーマ】
作曲・編曲/大野克夫

カッコいいんです!ワウギターがファンキーなノリを生み出し、ベースもハネており、それまでの番組に無かったタイプの曲。
《太陽にほえろ!》の世界観を崩さず、ハードボイルドなスコッチ刑事のイメージを捉えていて大好きなテーマ曲です。
私、この曲を頭でかけながら西新宿タクシー乗り場を何度も往復したこともあるんですよ。 不審者か〜!(笑)


さて、そもそもスコッチ刑事の加入は、番組が全盛期に入り、仲良し小好しになりがちな七曲署一係に異分子を投入しようと言う発想からだったと、プロデューサー岡田晋吉氏は語っています。

番組を掻き回す難しい役どころですから新人俳優では務まらない。そこで既成俳優の沖雅也に声が掛かったとのことです。
その際、彼が当時出演していた《必殺仕置屋稼業》市松役が大きなヒントになったとか。確かにクールでニヒルな市松のキャラクターはスコッチを彷彿とさせます。

スコッチ刑事の番組内の設定はこうです。    

過去に先輩刑事を目の前で射殺されるという痛ましい経験から、拳銃に依存する冷徹非情な一匹狼へと変貌。職権乱用で免職寸前の所を七曲署のボスに拾われる。

七曲署での彼の捜査はワンマンそのもの。 命令無視は当たり前。容疑者が逃走すれば拳銃でブン殴り、怪しい素振りでもしようものなら即発砲。人情味を重んじる七曲署では当然問題となり衝突します。

そのスコッチが一係の皆と触れ合いながら、少しずつ温かい気持ちを取り戻していく、というのがこの時期の筋でした。

番組の内容も若者の挫折感、青春群像劇といったものから、大人の観賞に耐えうる本格的推理、社会派モノ、各刑事のエピソードなど内容に膨らみが出てきます。

この時期、番組人気は最高潮となり、毎回視聴率は35〜40%を取るお化け番組に。

スコッチ刑事は半年間のみの出演で、転勤という形で去ります。これは当時の沖雅也の契約の都合上のためだったそうです。

その後ゲスト出演を挟んで、ファンからの要望も多く、遂に1980年4月に再び転勤という形で復帰。奇しくも裏番組《3年B組金八先生》の前に苦境にあった番組を盛り立てる事にもなりました。

そして493話「スコッチよ静かに眠れ」(1982年1月29日放映)で病死にて降板。

そして演じた沖雅也が亡くなったのが、

1983年6月28日。享年31

今年で38年経ちました。


私の子供の頃の記憶では、彼には何処か影を感じるようなところがありました。

それは彼が自死という人生の結末だったことも大きいのですが、何か深い闇を抱えているように見えたのです。

ドラマ《俺たちは天使だ!》《必殺仕置人》《はぐれ刑事》など、そのどれを観ても、そこには何処か淋しげで薄暗い魅力を感じました。

その陰影が、彼の格調高い端正なマスクに見え隠れして、近寄りがたいスターの色気になっていたように思います。

華のある役者はたくさん居ます。

しかし、華も影も両方持ち合わせる役者は稀です。沖雅也にはそれがあったと思うのです。本当に勿体ない…。

けれども、今はもういない人。返す返すも彼には生き続けて欲しかったと思います。

もし今も生きていたら、どうだったのでしょう?

役者の仕事も減り、バラエティ番組などで芸人にイジられ、ネタにされてたりして…。
昭和の不器用な役者です。そんな事になっていたかも。
太ってしまい、頭も禿げて往年の面影も消えているかもしれません。

それでも年を重ねた沖雅也を見てみたかった。ゆっくりと老いていく沖雅也を見てみたかった。そう思うんですよね。
たとえ醜い姿になったとしても。

昨年、タレントの三浦春馬さんが亡くなったニュースを聞いた時にも沖雅也をダブらせてしまいました。

才能ある若い人がいなくなるのは本当に勿体無い。

人の心の闇は分かりません。

それでも生き続けて欲しかった。


今年の命日も、またDVD-BOXを引っ張り出して【スコッチ刑事のテーマ】をバックに颯爽と追跡する彼を観ようかと思います。
在りし日を偲びながら…。鬱陶しい梅雨の季節は毎年思う事なのです。
沖雅也よ、安らかに!

2022年6月23日加筆。

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