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五取蘊について法を観つづける 中部#10 念処経 読了 その8 (法随観 五取蘊)

中部#10 念処経 読了記事のつづき(その8)です。


法随観 目次

  • 五蓋ごがい (pañca nīvaraṇāni)

  • 五取蘊ごしゅうん (pañc-upādānakkhandhā)

  • 六処 (内処, 外処) (cha ajjhattika-bāhirāni āyatanāni)

  • 七覚支 (satta bojjhaṅgā)

  • 四聖諦 (cattāri ariyasaccāni)

法随観 五取蘊

(法随観を修習する)比丘は、次のように五取蘊の法において法を観つづけて住む、と説かれています。取蘊Aとはこのとおりである、取蘊Aの生起とはこのとおりである、取蘊Aの消滅とはこのとおりである、と。

色とはこのとおりである、色の生起とはこのとおりである、色の消滅とはこのとおりである、

パーリ仏典 中部 根本五十経篇I 片山一良
第10 念処経
p.179

iti rūpaṃ, iti rūpassa samudayo, iti rūpassa atthaṅgamo;

MN I 61
  • iti, ti: ind. 〜と, かく, とて

  • rūpa: n. 色, 物質, 肉体, 形相, 容姿, 像, 相, 画, 人形

  • rūpassa 色の

    • rūpa sg. 単数 gen. 所有格

  • samudaya: m. 集, 集起, 生起, 起因, 原因

  • atthaṅgama: m. 没, 滅没

パーリ語釈: 増補改訂 パーリ語辞典 水野弘元 (春秋社)

五取蘊ごしゅうん五蘊ごうん

五取蘊/五蘊とは、生命における身心の構成要素を5種類の集まりとして分類したものです。

蘊 (skandha, khandha) とは、…「あつまり」「積集」の意味であって、われわれ個人としての身心、または身心環境を含めた一切の物質精神をそれぞれの「あつまり」に分けて五つとするから五蘊という。

仏教要語の基礎知識 水野弘元
p. 128 (一部省略)

(skandha はサンスクリットで、khandha はパーリ語です。)

執着を伴う五蘊を五取蘊と言います。

真理を発見していない生命は、五蘊・pañcakkhandha に執着するのです。ですから五取蘊・pañcupādānakkhandha と名付けてあります。

大念処経 ヴィパッサナー瞑想の全貌を解き明かす最重要経典を読む
アルボムッレ・スマナサーラ
法の随観

五取蘊/五蘊の分類は以下の通りです。

  • しき (rūpa)

    • もとは人間の肉体を意味したが, 後には全ての物資も含むようになった

  • じゅ (vedanā)

    • 感受作用

  • そう (saññā)

    • 表象作用

  • もろもろのぎょう (saṅkhārā, pl. 複数形)

    • 意志作用

  • しき (viññāṇa)

    • 認識作用

(解説は「岩波 仏教辞典 (初版)」「五蘊」からの引用です。)

その8 まとめ

五取蘊において法随観を修習する時は、取蘊Aとはこのとおりである、取蘊Aの生起とはこのとおりである、取蘊Aの消滅とはこのとおりである、と五取蘊の法において法を観つづけて住む。

法随観を修習して、内外のもろもろの法において法を観つづけて、もろもろの法において生起・滅尽の法を観つづける比丘には、〈法のみがある〉との念が現前し、かれは依存することなく住み、世のいかなるものにも執着することがない。

パーリ文: tipitaka.org
参考訳: パーリ仏典 中部 根本五十経篇I 片山一良 (大蔵出版)

つづく

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