英検準1級に3回落ちた医学生が準1級→1級を3ヶ月でPassした勉強法
昨日英検1級二次試験の結果が出ました!
ついに英検の頂点に辿り着きました。
医学部6年生に上がってから卒業までに至るまでのこの1年間は、人生で最も英語に力を入れた期間と言っても過言ではありません(医師国家試験の10倍勉強した)。この合格によって、その努力を証明できたと思っています。今回の記事では自分の行った勉強法を振り返りながら、記事を読んでくれる皆さんに共有したいと思います。
↓英語勉強開始時のスペック(RやWについても言及しています)
Ⅰ.語彙力の強化
上の記事で既に言及してありますが、高校時代は英検準1級一次試験に2回落ちました。これは明らかに貧弱なボキャブラリーのせいでした。この反省点を踏まえ、大学に入ってからの英語学習は真っ先に語彙力の強化に努めました。勉強法は至ってシンプルで単語帳を覚え続けました。まずは家に置いてあったTOEIC 金フレ 990から着手し、その次はTOEFL 3800→パス単準1級(4訂版+5訂版)→パス単1級(5訂版)と徐々にステップアップしていきました。これらの単語帳を覚え切ると7000語弱ほどの語彙力がつきます。これが何を意味するかというと、2級合格に必要とされる語彙力である5000語と1級合格に必要である10000~15000語とのギャップとなる単語をカバーできるということです。単語帳の勉強法ですが、勉強アプリ「Anki」を使って1日新規単語20ずつ365日演習を続けました。
Ankiには無料のPC版と有料のiPhone版があり(AndroidだとAnkiDroidという無料のアプリがあるっぽいです)、私はPC版とiPhone版の両方を使って使って学習していました。iPhone版持ってるとちょっとした隙間時間に勉強できるので非常に便利です。
本来Ankiは自分で暗記カードを作らなければならないのですが、上で挙げたいくつかの単語帳のデータを有志がpremade deckとしてオンライン上にアップロードしてくれています。この辺は法律的にグレーゾーンなので興味がある方は自分で調べてみてください。
この勉強を1年続けると1級の語彙問題25問中20問以上を安定して取れるようになります。ここまで覚えても実際の試験では4つの選択肢のうち1~2単語しかわからない、なんてこともザラですが、基本パス単に乗ってる単語が正解になる割合が高いように感じます。逆にこれ以上の対策(でた単とか)は満点目指す人以外にはオーバーワークであり非効率的です。Readingのセクションで必要な点数の目安は29~30/41とされており、語彙問題で20/25取れた場合、残りの文章問題で9~10/16確保すればその目安に達するからです。
長文については↑の単語さえマスターできていれば準1級とそれほどやることは変わりません。強いて言えば時間が足りなくなりがちですが、これは後述する過去問演習で慣れましょう。
Ⅱ.過去問演習と一次試験の点数内訳
英検1級の対策として、過去問1回分を2週間に一回解いて合計6回分解きました。休日1日使って過去問1回分通しで解く→二週間で復習、というサイクルで英検準1級合格後から3ヶ月くらいかけてゆっくり取り組みました。ここで必要な教材は旺文社から出ている過去問6回分のみです。注意すべき点として、この教材は試験本番の問題冊子よりもサイズが小さいことが挙げられます。文章量が多いのにサイズが小さいので長文読解の最後のセクションとかは本当に演習しづらかったです。じゃあ試験本番の過去問をネットからダウンロードすればええやんって思うかもしれませんが、英検協会はケチなので公式サイトでは過去3回分しか載っけてないです。1級の受験を決意した方は今のうちから過去問をダウンロードしておくと後に演習を行う際に非常に役立ちます。
過去問演習はもちろん英語力をつける目的もありますが、一番重視すべきはR,Wの時間配分を常に意識することです。試験本番はRとWが合計で100分ですが、日頃から高度な英語を学んでいる学生や英語を仕事で使っている人でもない限りは時間がギリギリになるかと思われます。例えば、Rの長文に時間をかけすぎてWを書ききれなかった、ということが原因で落ちたってのはよくある話です(逆もまた然り)。これは英語の知識以前の問題であり、過去問演習で徹底的に時間感覚を叩き込むことで回避できます。私の場合は真っ先にWに着手し25分以内(30分を超えると長文読解が厳しくなる)に完成させ、残りの65分でRを解くように意識しました。Rは最悪時間がなくなって塗り絵しても25%の確率で点がもらえますが、Wで書ききれなかった場合に大幅な減点をくらう可能性があるからです。
Reading:語彙問題に12分30秒、穴埋め問題6問で14分(7分×2)、長文読解10問で35分(11分、11分、13分)という配分で演習しました。正直に言うと最後の長文読解の1〜2問は時間ギリギリになってしまい、テスト直前まで得点率が安定しなかったのでハナから捨てるつもりで挑んでました。それでもRは30前後で安定しており、当日も35/41とれたので作戦としては功を奏しました。
Writing:必要単語量の多さと超抽象的なトピックを見て、勉強開始時に絶望したところからのスタートでした。自分の発想力には限界があり、たった3ヶ月でこのWを書き切れるほどの純粋な英語文章力をつけることは不可能に思えました。なのでまずはジャパンタイムズ「英作文問題完全制覇」のコンテンツブロックの暗記を行い、採点受けする英語を書けるように努めました。全部覚える必要はなく、自分と似た考えのコンテンツブロックを200個のうち30~50ほど暗記できれば十分だと思います(筆者は40弱ほどしか丸暗記しませんでした)。英作文問題完全制覇をある程度暗記したら自分の英語でライティングし、英語文章校正サイトのgrammarlyを使って採点してもらうという流れで対策してました。後述するオンライン英会話で添削をお願いするのも一つの手段だと思います(筆者はオンライン英会話中はスピーキングに重点を置いていたのでライティングの添削は特にしてもらいませんでした)。試験本番は暗記したブロックからbody1,2を丸写しして最後のbody3だけは自分の英語で書き切り、得点は24/32でした。
Listening:個人的にこの分野は準1級と変わった対策をしなくとも合格基準の7割に到達したので、その段階でR,Wに全ての勉強を全振りすることにしました。Part1は点が取りやすいので、先読みするなりして最低でも8/10くらいはとれるように頑張りましょう。Part2~4は最後まで点が安定しなかったので特にコメントすることはありませんが、強いて言えばわからない問題は考えてもしょうがないので思い切って次の問題に行く判断力が重要だと思います。
とはいえR,Wで頭が疲弊した状態で行うLは想像以上にハードで、普通に聞き取れなかったり、音声が拾えても選択肢の吟味をしきれずに次の問題が読み上げられたりすることが多々ありました。こういった体力や処理能力を高めるためにも、直前期は通しで過去問を2〜3回解くことをお勧めします。本番は19/27でした。
Ⅲ.オンライン英会話と二次対策
まず私はCamblyというプラットフォームを使って英会話しています。これは2022年7月に行われた英検準1級の二次試験で落とされたことにショックを受け、自分の英会話力の貧弱さを克服するために始めたものでした。最初は30分×3コマ/週でやってましたが、英検1級の合格には演習が足りないと判断し、一次試験の1ヶ月前から60分×5コマ/週に変更しました。最終的に英検1級の二次試験までにトータルで50時間強くらい演習しました。
二次対策として一番効果的だと思ったのは、「英検1級面接大特訓」のトピックに対して自分の言葉で答えを考えて文章を作成し、それを極力暗記してネイティブの講師に確認してもらうことです。最初から1分間で文章考えて話そうとしても難しくて萎えるので、私は2~3分でアイディアを考えてとりあえずトライし、咄嗟に出てこなかったワードや表現をDeepLやGrammmarly(どちらも無料版で十分)を使って推敲しながら完成したスピーチ原稿をAnkiに入れてある程度覚えてからネイティブの先生を前にスピーチしました。
是非が分かれるところだとは思いますが、トピックは自分の得意な分野を5つくらい絞ってそこにフォーカスすべきだと思います。例えば私は社会経済系の問題が苦手でしたが、大学で医学を専攻していることもあり医学や科学は非常に得意な分野でした(まぁ試験本番では全く出題されなかったんですが…)。なので医学を中心とした科学全般(電力問題、生態系、科学技術の発達)と個人的に興味のあった教育系についてのトピックに対して力を入れて対策しました。
これに加え、二次試験はスピーチの準備にかけられる時間がとても短いです。カードを渡されてから1分で5つのトピックから1つ選び、2分間の構成を考えなければいけません。これに対する瞬発力を鍛えるために、英検の過去問を使って5つのトピックから1つ選ぶ時間を短くするための訓練も行いました。最初は30秒かかってようやく1つ選ぶような有様でしたが、これは1週間も訓練すれば10~15秒で選べるようになりました。トピックを選ぶのに時間がかかってスピーチの足を引っ張るようでは本末転倒なので、まずはこの時間感覚を徹底しましょう。
試験本番はやはり緊張しました。部屋に入るとネイティブの試験官と日本人の試験官が1人ずつ、タイムキーパーの係員1人の合計3人が待っていました。日本人試験官が「よく聞こえるか?」と聞いてきたのですがこれを聞き取れず最初から聞き返すクソプレイをかまして先が思いやられました。最初のフリートークですが、自分が医学部の6年生であること、脳外科志望であること、脳の機能はまだまだ解明されていないが勉強する価値があるということ、自分の手技で患者を治すことができる外科に憧れていることを話しました。これはあらかじめ考えておいた内容です。無理して面白いことを話す必要はないと思いますが、ここで面接官の気持ちを掴めたことが合格に寄与したのは間違いないと思います。
さてカードを渡され内容を確認すると過去問通り難しいトピックばかりが並んでいました。私は自分が対策してきた分野に最も近い教育系である「Do private schools offer unfair educational opportunities?」というトピックを選びました(記憶曖昧なんで違ってたらすみません)。スピーチを振り返ると、途中まではよかったのですが、少し主題から逸れたような内容を話してしまいました。私は「私立だからといってその教育については必ずしも不公平ではない。なぜならば〜」というイントロから始め、それをサポートする1つめのアイディアとして、
Nowadays, it takes less money to get a good education regardless private schools or not. For example, when it comes to learning English, we can take some useful online English conversation classes such as Cambly at much lower prices than going to private schools.
とスピーチしました。ここまでは割といい流れで試験官も頷きながら話を聞いてくれたのですが、アイディアの2つ目があまりよくなかったです…。テンパってあまり覚えてないのですが、「教育がいいとされる私立の高校に入るのはすごく難しい。そのために生徒は入学試験を受ける必要がある。その入試のための勉強はハードであり、努力が必要である。したがって、努力している生徒が良い教育を受けていることは不公平とは思わない。」というようなことを喋った気がします。試験官の表情からしても少し伝わってない感じがあり結構焦りました。のちに結果を見て分かったのですが、意外とshort speechで7/10がもらえてました。試験官に感謝です。
続いてQ&Aのパートに移りました。向こうからは3~4つほど質問されました。
①英語の教育について言及していたが、日本の英語教育の問題は何だと思う?
→Considering the current situation, it seems like many schools and students are spending all of their time studying for entering a good high school or university. As a result, they cannot speak English so much. And even teachers cannot teach how to speak English fluently to students. I think it is a huge problem.
②学校では英語教育の他に何を重視すべきなのか
→I think it is important to learn other subjects like art and music. Those subjects can make students relax. As a result, they can concentrate on studying academic subjects like mathematics or English as well.
③(①に関連して)その問題を解決するためにできることは?
→I think schools should have more opportunities to communicate with foreign people, like ALTs. But it takes a lot of money to hire them, so the government should put more financial resources into hiring ALTs.
④(③に関連して)お金を出す以外で政府は何をすべきか?
この質問は最初に聞かれた時に英語の意味がわからなかったので、「Other than putting financial resources?」と聞き返したところYesと返答をもらえました。準1級では質問内容に質問することが禁止だったはずなので、意外とここは緩くなってるんだな〜と思いました(ちなみに準1級の1回目の二次試験は聞き取れなかった質問に質問で返しまくって落ちました)。今振り返ればですが、試験対策として脳死で「政府は金を出すべきだ!」って模範解答を丸暗記してきた人たちを狩るための質問だったのかな?と思います。
As I mentioned, there are some useful platforms like Canbly. However, it seems like many people don't really know those platforms. So, I think the government should have a responsibility to offer more information about them. It contributes to increasing the number of people who use those platforms to learn English.
最後にもう1問質問されかけたところでタイムアップでした。ご覧の通りですが難しい文法や単語などは極力使わないでスピーチするようにしました。これくらいの語彙力でもgrammar & vocabularyのセクションで7/10とることができたので、あえて難しい単語を使わずとも、自分自身の英語で向こうに伝わりやすいように話すのが重要だと感じました。
試験室を出る前に日本人の試験官からはHave a nice day.と、ネイティブの試験官からは「良いドクターになってくれ」と声をかけられて感極まりました。最終的にこのような非常に良い雰囲気で試験を終えられたのでよかったです。
Ⅳ.最後に
最後になりますが、私が英検1級合格まで突き進むことができたのは、尊敬する医師の先生方と尊敬する全国の同期達に巡り合い、モチベーションを得ることができたからでした。私の最終的な目標は世界的に活躍する脳外科医になることであり、その動機が日々の英語学習の継続を可能にしました。英検1級合格に必要なのは才能ではなく、単語を覚えて毎日英会話を続ける継続力とそのモチベーションです。これはまさに英検準1級に3回不合格になった私がこの試験に一発で合格したことで証明できたと思います。この記事を読んでくれた皆さんの英検1級への挑戦を心から応援しています。ご覧いただきありがとうございました。
なお有料コンテンツとして実際に自分で作成したAnkiカード50枚を下に共有しておきます。個人的な試験対策として作成したものなので、多少の誤りを含んでいる可能性があります。「Ankiってこんな感じで使うんだ!」ってくらいの参考にしてもらえたら幸いです。今後とも英語・医学の勉強法について発信していく予定なので、興味があればTwitterのフォローも何卒よろしくお願いします。
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