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杏子(脚本)

第一回
ブリリアントグリーンとLiveハウス 
場面1 杏子は、今日も梅ばあちゃんと熱帯魚水槽の前に居る。

ナレーション その頃杏子は、勤めている病院の認知症患者の梅ばあちゃんに新しい言葉を  覚えさせることに夢中になっていた。

場面1 熱帯魚水槽と大きなL字ソファーしかない、だだっ広い病院の待合室。

場面2 お昼休みの外来待合室は、車椅子に背骨を斜めに傾げて、ぐんにゃり車椅子に身をまかせた梅ばあちゃんと、杏子は、その車椅子の横に腰を屈めて(かがめて)、梅ばあちゃんと目線の高さを合わせながら、ひし形のグリーンにギラギラ光っている魚を指さしながら、

杏子「梅ちゃん、ブリリアントグリーン。言ってみて、この魚、ブリリアントグリーン。ブ、ブ、ブって言って。」

梅ばあちゃん「う、うぇ〜」

場面3 梅ばあちゃんは、力なくうめきのような声がヨダレを口から漏れる。

ナレーション その頃杏子は、勤めている病院の認知症患者の梅ばあちゃんに新しい言葉を覚えさせることに夢中になっていた。

ナレーション 今日も変わらない日常が終わると思っていた。

場面4 杏子「外来始まるからお部屋に戻ろか?梅ちゃん。」

場面4 梅ばあちゃん「うぇ〜」

場面5 待合室のロビーを車椅子を押しながら、病室に戻ろうとしている杏子に向かって、同僚の友ちゃんが勤務交代の時間より早く白衣に着替えて、泣きそうになりながらかけよってきた。

場面6 友ちゃん「う、うぇ〜(泣)杏子、チケット買って‼️お願い!」

場面7 杏子「梅ちゃんのマネ、似てない。」

場面7 抱きついてきた、友ちゃんを手ではがしながら、冷たく杏子は言う。

場面8 友ちゃん「お願い、今日仕事なの忘れてたの、今日行くって言っちゃったんだよ。私行けなくても、杏子行ったら、私の代理で行ってくれたら、私嘘つきにならないで済むの。」

場面9 友ちゃんはわざとらしく、頭を少し下げて杏子の顔を見ないで、床に目線を落として、両手を合わせて拝む🙏

場面9 杏子「嘘つきって誰も思わないよ、そんなアマチュアバンドのライブ、ブッチしたくらいで。」

場面10 友ちゃん「ひど、嵐くんに絶対行くって言っちゃったの〜、私も代理も行かなかったら、私嘘つきになっちゃう。」

場面11 涙目でチケットを買ってくれと拝み倒される。

場面12 杏子「わかった、わかった。でチケットは?」

場面13 友ちゃんは、パッと笑顔になり

場面13 友ちゃん「チケットはLive house取り置きだから、入り口でお金払ってくれれば良いから」

場面14 杏子「は、チケット持ってないの?なんで、私が好きでもないバンドのチケット代まで払うのよ。出しなさい。」

場面15 今度は、杏子が友ちゃんにしがみつく。もう友ちゃんは、抱きつかれても、笑顔だ。

場面16 Live houseの看板の前、看板を見上げる杏子。

ナレーション 友ちゃんの推しバンドはインディーズながらそこそこ人気のあるバンドだった。

場面17 Liveも終わり友ちゃんに頼まれたプレゼントを物販のお姉さんに渡し帰ろうとすると、

場面17 嵐「打ち上げに来ない」

場面18 杏子の後ろから声がした。

場面19 杏子が振り返ると、嵐だった。

場面20 打ち上げの飲み屋で嵐のバンドは一瞬デビュー話に盛り上がっていた。

場面21 打ち上げ中、嵐と杏子はLINE交換する。

場面22 翌日、嵐から「メンバー.(名前)引き抜かれた」とだけLINEが来る。

場面23 杏子はボッーとしながら布団の上で、

場面23 杏子「なんだこれ」

場面24 スタバで杏子と友ちゃんがしゃべっている。

場面24 友ちゃん「嵐くんのバンドは崩壊の危機なんだよ。サポートメンバーが見つからないとLiveも中止になっちゃう。」

場面24 杏子「べつにいいじゃん、あんなやつ」

場面24 友ちゃん「ひどっ、杏子はわかってない。嵐くんのすばらしさを」

場面25 なんとか決行したLiveの打ち上げ会場のチェーン店の飲み屋

場面25 バンドメンバー「大体あいつは、よう・・・」

場面26 いままで溜まっていた不満が爆発し、残ったメンバー達もギスギスし、本日のLiveの打ち上げは、引き抜かれたメンバーの悪口大会となる。

場面27 杏子「ふぅっ、大体どこも変わんないね。」

ナレーション 杏子はキラキラとした世界の裏を初めて見た。

場面28 悪口大会からだんだんと夜が更けて朝になる頃、酒で軽口になった嵐から、

場面28 嵐「俺さぁ、結婚して1年でぇ、子供が産まれたばっかなんだ。」

場面28 杏子「ファンの子たち知ってんの(笑)」

場面29 嵐「知らない、てか、言うかよ〜」

場面29 杏子「私は良いんかい!」

場面30 嵐「だって、ファンじゃねーし。ゲラゲラ(笑)」

場面31 その話しを聞いた後、嵐は先に帰ると飲み屋を出て行く

場面32 明け方のラブホ街を駅に向かって、杏子たちが歩いていると、先に帰ったはずの嵐と痩せた小さな女の子(愛)がホテルに入ろうとしている所を見つける

場面33 酔ったバンドメンバーと杏子たち「奥さんによろしく〜」(大声)

場面34 肩を組まれた女の子が男の腕をはがして何か叫んでいる。ゲラゲラ笑いながらもう2人を背にして杏子たちは歩いているので、2人を振り返る者は誰もいない。

場面35 仕事場で

場面35 友ちゃん「解散しちゃった。」

場面35 杏子「嵐くん・・・」

場面36 友ちゃん「音楽性の違いだって、あ〜こんななるなら、杏子だけさそわれた飲み会私もついていけば良かった」(泣)

場面37 杏子「だから、一緒に行こうって言ったに。なんでついてこなかったの?」

場面38 友ちゃん「だって、嵐くんに嫌われたくないじゃん、あそこでついて行く女マジウザい女に私なりたくないし、あ〜」

場面39 杏子「ヤバ、梅ちゃんの検査の時間!」

場面40 レントゲン室前に車椅子の梅ばあちゃんと後ろに立つ杏子

場面41 梅ばあちゃん「ぶ、ブ、ブリリアントグリーン」(大声)

場面42 嵐は自宅で妻と子供と食卓を囲んでいた。

場面42 嵐家族「いただきます。」

ナレーション 杏子の前で梅ばあちゃんが熱帯魚の名前を叫んだ頃、引き抜かれたバンドメンバーは、課せられたノルマと次の仕事に悩んでいた。

場面43 引き抜かれたバンドメンバー「てか、アルゼンチンって、歩いて横断って、母を訪ねてのマルコかよ。」

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