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191124 ACL決勝2nd leg 浦和レッズ vs.アル・ヒラル

前回記事「福田郁次郎」で書きましたが、浦和レッズ2年ぶり史上最多3回目のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)優勝をテレビ画面越しに見届け、ガッツポーズを取った瞬間我に返る。決勝のチケットって僕取ってなかったっけ? 慌てて一緒に行く筈だったサポーター仲間に連絡を取ろうとiPhoneでTwitterを開くと、ダイレクトメッセージを送るメニューが消えている。あれ? あれ? と狼狽えたところで目が覚める。何だ、夢か。改めてTwitterを起動させると「福田郁次郎さんが亡くなった」「壇蜜さんが漫画家と結婚した」だの、僕はまだ夢の中にいるんですか? と思わせる情報が流れて来ました。夢でなければならないのは、こっちの方でしょ。浦和のACL優勝が夢と消えてどうするの。

24日の埼玉スタジアム2○○2。ホーム&アウェイで行われるアジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝で、サウジアラビアで行われた1st legを落とした浦和。逆転優勝には2点差以上の勝利が求められるビハインドを背負う中、74分に先制を許すと、早々と席を立つ人が続出します。今季最高の58,109人で埋まった客席は、タイムアップの笛が鳴った時点では、平日開催のナイトゲームですか? というくらい寂しい風景となりました。そりゃね、勝てないわ。2年前に同じくアル・ヒラルを降して2度目のACLを成し遂げた時、ホームゲームを前にFWズラタンが「浦和レッズの本当の姿をお見せしよう」と現地メディアの質問に答えていましたが、日本最大のサッカー専用スタジアムを埋め尽くすサポーターの後押しが、相手への重圧となり、プレイヤーの背中を押すことは確かです。その影響力を自覚するなら、残り15分で3点を返す必要がある厳しい状況とは言え、投げ出したらプレイヤーも身体の張りようがない。プレーについての知識を欠き、敗因の分析もできず「浦和のために闘っている選手が何人いますか?」と精神論で怒りをぶちまけるサポーターもいますが、お前らが一番闘っていないわ。

遡ること1日、23日のJ1リーグ第32節、FC東京vs.湘南ベルマーレ。ホームスタジアムである味の素スタジアムがラグビーW杯の会場となったこともあり、FC東京にとって約3ヶ月ぶりの待望のホームゲーム。首位で迎えたFC東京と残留争いのただ中にある湘南との顔合わせは、NHKの注目カードとなり、BS1で生中継されました。パッと画面に映し出されたのは、ゴール裏を薄いブルーで埋め尽くす東京サポーターと、黄緑の湘南サポーターとの鮮やかな対比…じゃない、東京のチームカラーは濃いブルーだった。薄青は客席の色で、冷たい雨を避けようと東京サポーターは2階席の下に潜り込み、ピッチに近い箇所は座る人のない空席が続きます。ホーム側のゴール裏は満席だったということを差し引いても、それはないわ。湘南の方が切羽詰まっているとは言え、こうした熱量の差は確実に結果に影響を及ぼす。6連敗中の相手にリードを許し、アディショナルタイムにDF森重真人が漸く同点に追いつくゴールを決めたものの、まるで勝ったかのように大喜びし、横浜マリノスに首位を奪われるなど、やっぱりまだチャンピオンチームの資格はないかな。…なんて独り言つから自分の身に跳ね返ってきたよ。

2007年、2017年の2度の優勝を経験した唯一のプレイヤーである阿部勇樹。表彰式でアル・ヒラルが歓喜に沸く姿を最前列で胸を張って見つめ続ける姿が印象的でした。今季の浦和は極端に得点が少なく、FW興梠慎三がリーグ5位の12点を挙げていますが、続いて長澤和輝の3点、杉本健勇らの2点と「FC興梠」と揶揄されるほどエース頼みが顕著ですが、阿部がレギュラーを張れなくなったことの影響がより深刻な気がします。抜きん出た危機管理能力と読みの鋭さを存分に発揮し、両サイドバックやセンターバックも攻撃参加する中、中盤の底でバランスを取り、時に最終ラインに下がって穴を埋め、ミシャが築き上げた攻撃サッカーに欠かせないピースでした。現在の失点場面で顕著なのが、吸い寄せられるようにボールを保持した相手プレイヤーに群がり、がら空きとなった反対サイドにフリーのプレイヤーが走り込んで決められる。この日の失点場面では、1人だけでなく2人もどフリーにしてしまう有様。一時期ベンチからも外れることが多かった阿部が再び重用されるようになりましたが、彼個人よりも、彼の役割を担うプレイヤーの出現、或いはピッチ全体を俯瞰できる複数のプレイヤーが必要です。

いずれにせよ、今季の浦和がアジア王者になろうというのが虫が好すぎたわ。各種報道やクラブが発表した来季の強化体制からは、大槻毅監督の続投が既定路線のようです。浦和の問題点は、ミシャにしろオリヴェイラにしろ、その前のフィンケにしろ、他クラブで実績がある監督を招聘すると、クラブの体制すら変更して、ピッチ上の戦術だけでなく強化方針から何から全権委任してしまうこと。クラブの長期指針を明確化し、逆算した今季の目標を立て、各部門の権限を明確化した組織を作る。長きにわたりクラブでスカウティングを担当し、プレイヤーからの信頼も厚い大槻さんを指導者として育てる。その姿勢も十分ありです。とにかく監督が3季連続シーズン途中交代というのが異常事態なので、同じ轍は踏まないことです。

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客席、諦め早過ぎるでしょ

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