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<報告書>京都府立大学のキャンパスを考える

今年1月22日、歴彩館1階小ホールにて「府大のキャンパスを考える住居〜環境デザイン学科の輪」という集まりを持ちました。
住環境・生活空間に視点をおいた建築やまちづくりを学ぶ卒業生として、現在進められている府立大学整備計画について、まず現状を知り、学び会いたいと、この集まりを呼びかけました。
当日会場には、卒業生26人、教師・元教師7人、学生2人、地域住民3人、合計38人の方に御参加いただきました。学科の集まりというのは、どこか懐かしく、つながりを感じるものだと改めて気付かされる和やかさがありました。と同時に、今府大キャンパスが直面している様々な課題を知ることとなりました。

<当日の概要>

まず行ったキャンパスウォッチングでは、学舎の老朽化と耐震性能不足の状況を目の当たりにしました。第1体育館は耐震不足で現在授業には使われていません。本館と1号館から7号館まである学舎は、6棟が耐震不足で、そのひとつはすでに解体撤去されています。ヒマラヤ杉の大木や記念樹の桜など大切な樹々がおおらかに育ち、低層低密のキャンパス風景に懐かしさや魅力を感じる声も聞かれましたが、安全性や学びの環境、大学存続の観点からもキャンパス整備が急務であることがわかりました。

学習交流会では、長谷川先生から現在進められている整備計画についてお聞きしました。とりわけ体育館の建て替えが、府立医大、工繊大との3大学共同体育館として計画され、1万人を収容するアリーナとして計画されていることや、その内容がキャンパス整備計画と切り離して教員や学生の要望を聞かずに進められている現状などが報告されました。

現役学生さんからは、学生に向けて独自に取り組んだアンケートの内容を報告いただき、計画内容がわからないことへの不安や、静かで安全な学びの環境への思いをお聞きしました。また、建築に明るい人々の関わりへの期待も聞かれました。

共同体育館(アリーナ)の計画について、府の資料をもとに呼びかけ人で作成したパースを用いて、キャンパス敷地に対して規模が大きすぎることや疑問点、植物園との関係性などを考えました。

意見交換では、キャンパス計画を進めるにあたり、学生や教員など当事者の声が反映されていないことや情報が十分開示されていないことへの疑問や、文化的にも機能的にも歴史に残るようなキャンパスの実現を望む声などが聞かれました。

最後に元学長の広原盛明先生から、下鴨キャンパスの特性をその歴史・文化・自然環境から紐解いていただき、府立大学への深い愛情と誇りを込めて、小さくてもキラリとひかる品格を備えたキャンパス計画への期待を語っていただきました。

<アンケートの回答から>

参加者からいただいたアンケートから、特に多く見られた意見は以下の4点です。

1 府大キャンパス整備の必要性

 老朽化、耐震性能の実態から、早急な対応が必要
 歴史や文化を踏まえた品格のある大学に、また学生に選ばれる魅力あるキャンパスに

2 体育館整備の目的の見直し

 学生にとって必要なものであるべきだ
 1万人アリーナの機能や規模には疑問 

3 計画の進め方、プロセスを参加型に

 当事者の参加のもとで計画が進められるべきだ
 府とのコミュニケーションが不足している 情報公開の必要性を感じる

4 知る、広める

 キャンパスに起こっている今回の報告内容についてほとんど知らなかった
 この輪を現役の先生や学生さんも含めてもっと広げていきたい

<報告書について>

当日の概要とアンケートの集計、若干の補足資料を含めて、呼びかけ人を中心に報告書を作成しました。
御参加いただいた皆さまにお送りさせていただきますと同時に、少しでもこの輪を広げていければと願っておりますので、皆様の手でこの報告書を普及していただけましたら幸いです。

<今後の活動について>

まずは報告書を、できるだけ多くの方に見ていただけるようにしたいと考えています。 
この輪が広がり、何かしらの提案につながるような取り組みが可能か検討していきたいと思いますが、ご意見や提案をお寄せいただければ幸いです。

この報告書は下記からダウンロードできます。(本編35ページ)

報告書のダウンロード

表紙、目次

はじめに、長谷川先生のお話、現役学生から p.1ーp.7

計画シミュレーション p.8ーp.16

広原先生のお話、参加者の意見、アンケート概要 p.17ーp.25

資料編(マップ、写真など) p.26ーp.35

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