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漫画は悪者なのか

 学校の先生や勉強熱心な親が口を揃えて言うことがある。「漫画以外の本を読みなさい」と。漫画を読むことは読書ではないという意見を持っている人が多い気がする。果たして本当にそうなのだろうか。

 漫画は視覚的に分かりやすいように絵が書いてある。それに対して言わば『読書』として扱われる本は活字で書かれており、絵が書かれていないため自分の頭の中で想像することしかできない。

 漫画も小説も好きな僕からしたら絵があるかないかの違いだけで正直どちらも読書だと思う。活字を読むことを読書と認識しているのなら漫画にだって活字が多い作品がある。頭の中で想像することが読書の醍醐味だとしたら漫画にだってそのようなシーンは沢山ある。

 そもそも読書とはなんだろう。文字通り「本を読むこと」という解釈だと今回の議論は全く面白くないので、「書物を読むことによって知識や教養を育むこと」とする。なので、漫画を読むことで知識や教養が深められるかどうかを議論していきたいと思う。

 まず、なぜ漫画が悪者として扱われるのはなぜだろう。もしかしたら、勉強の邪魔になるというのが一番の理由なのかもしれない。知識・教養云々は関係なく、結局は勉強にプラスの働きを持たせるのかどうかが肝心なのかもしれない。

 では漫画は勉強を捗らせることができるのだろうか。結論から言うとほぼ無理だろう。イラスト付きで書かれた参考書や4コマ漫画風の分かりやすい説明がされているものがあるがこれは単に漫画の手法を活かしているのであって、漫画とは言えない。

 日本史や世界史のようなストーリー性があるものは漫画で知識や教養を学ぶことができると思う。この点において漫画は勉強を捗らせることができると言える。

 教養という面で考えると漫画はとても参考になると思う。複雑な人間関係を描くものもあれば非日常の世界を存分に楽しませてくれるものもある。それは勉強だけでは得られない大切なことであり、それこそが漫画の醍醐味である。

 漫画は勉強内容と直接結びつけることが難しいが、教養という幅広い概念で考えれば役立つときがあると考える。


 少し視点を変えてみる。漫画は誰でも気軽に読めるし、学校とかでも話題に挙がることが多い気がする。話題に入ることができるかで会話をしやすくなり友達関係を築きやすくなる。

 対して『読書』として扱われる本は幼少期の環境では話題に挙がることはとても少ない気がする。大切な時間を使って読書をするのであれば少しでもアウトプットできる機会があった方がいい。確かに一人で考えを深めることが読書の面白さでもあるが、幼少期のうちはアウトプットを多く行なって、会話の種を増やすことの方が大事だと思う。

 漫画を忌み嫌っている人は漫画のデメリットだけを気にしていると思う。多くの人を虜にする日本の誇れるカルチャーを「勉強を阻害するもの」として認識するのではなく、コミュニティの1つとして考えてみてもいいのではないか

 漫画は教養を育むことができ、コミュニティを形成しやすい環境を作ることができる一つの手段である。そのメリットだけに着目するのは良いことではないが、デメリットだけに着目することも良くない。要は両者を天秤にかけて判断できることが大切であると考える。この考えは今回の話に限らず、世の中がダメだというものは本当にダメなことなのかを自分で考えるきっかけになってくれればと思う。


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