見出し画像

人を数える時は『人』か『本』か  その1

 アルバイト先で副店長が連絡帳に『2本営業でも頑張っていきましょう』と書いていた。最初は書き間違えだと思いスルーしていたが、他のところにも『2本営業中です』と書いてある場所を発見した。

 これは意図して『本』と書いていると考えるのが妥当だと判断し、さっそく深読みを始めてみた。

 まずは自分が持っている知識だけで考えてみる。『本』と数えるのは棒状のものとか、草木とか糸、串、魚などが思い浮かぶ。それらの特徴を類推すると、真っ直ぐなもの又は真っ直ぐにできるもの、そしてある程度細長いものであると考える。
それに当てはめて考えると人間も真っ直ぐと言うことはできないが、縦に長いので強ち間違いではない気がする。しかし、この理由で人間を『本』と数えてしまったらこれに該当する他の動物も『本』と数えなくてはならないためこの考え方は棄却される。

 それでは考え方を変えてみて、人間を何かに喩えているのではないかという切り口にしてみる。アルバイトで入っている人は社員よりも出来る仕事の量が少ない。特に最初のうちは自分から考えて行動するというよりも他の人に指示されて行動することから、人間を棒に喩えているのではないか。
こうした揶揄の意味を込めて『本』という数え方で表現していると思えば辻褄が合ってくる。しかし、これはアルバイトの人のことしか指すことができない。今回は副店長自身を含めて『2本』と表現していたため、この解釈も間違っている可能性がある。揶揄を込めている場合は『人』と『本』を使い分けると思われるが、その使い分けをしていないことからもこの考え方を否定することができる。


 持ち合わせている知識ではこの問題を解けないことが分かったので調べてみることにした。まずは「本と数えるもの」と打って検索をかけてみたところ、自分が求めるものを見つけることができなかった。
次に「人 本と数える」と打ち直しても同じ結果しか得られなかった。

 考え方をガラリと変えて飲食店の専門用語なのではないかという推論のもと「飲食店用語 本と数える」と調べてみた。

 すると一件のサイトに目が留まった。このサイトの言葉を引用させて頂くと、

ライン
* 意味:その日のシフトに入っている人数を表す時に使う言葉
* 使い方:「今日、○○ちゃん来られないからライン1本減るけど頑張ろう!」
この用語の由来は、「線」を英訳したものです。
居酒屋業界では従業員の人数を1本2本というふうに数えます。
飲食店で働く際に必須の業界用語

 シフトの線のことを『本』と数えることが由来で、「シフトに入る=線が一本増えること」という解釈になったと考えられる(諸説あり)。

 由来がはっきりして大満足。と思ったら大間違い。人間を『本』で数えるなんて信じることができない。これ以上話を膨らませると長文になってしまうので、この話は次回に回そうと思う。


 疑問に思ったことはそのままにしない。疑問は自分なりに考えて妄想を膨らませ、調べることによって新たな知識を得るチャンスだと思う。
日本語は奥深くて面白い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?