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公募展【「リアル」のゆくえ】 レポ|清流の国ぎふ芸術祭 Art Award In The Cube

コロナによって急速に変化した日常生活と、進化したデジタル技術。私達にとっての「リアル」とは一体何を意味し、これからどこへ向かうのか。(展示会コンセプト意訳)


お久しぶりです。とく茶です🍵

先日、清流の国ぎふ芸術祭 Art Award In The Cube 2023 に行ってきました。

3年に1度開催される全国規模の公募展で、今回のテーマは【「リアル」のゆくえ  】。

入場料も無料で入りやすく、休日だったこともあり、この日は館内は大混雑。

各作品は高さ約4.8mのキューブ内に表現されており、中に入って作品を楽しむことができました。

バーチャルツアーも公開されています。

作品に没入するためか、入場制限をしてるキューブも多く、混雑と相まって全14作品のうち6作品しか見れませんでした(泣)


①INTER-WORLD/SPHERE: Over The Cube

作品:INTER-WORLD/SPHERE: Over The Cube
作者の奥中章人さんが来られていました。
説明しなくても誰が奥中さんか分かりますね!

スケルトンのキューブから、はみ出すように膨らんでいる"何か"。この中にも入れるようで、わくわくしながら順番を待ちました。1時間ほど並んだと思います(汗)

それはビニールでできた風船でした。人が出入りする度にしぼんでいくため、何分か置きに空気を入れ直していました。

しぼんだ風船
しぼんだ風船

いざ入球!
中にはウォーターマットがあり、自由に寝転ぶことができました。

なんだか……、シュール(笑)

もっと ちゃぷちゃぷ と水の音が鳴るのかと思っていましたが、聞こえませんでした(笑) どちらかというと水に体をゆだねる感覚を楽しむものなのかもしれません。

寝転がったときに見える天

ウォーターマットに寝転がっているのもあって、見える光もビニールを通してきらきらと形を変えて揺れていました。写真では伝わらないのが惜しいです。

②バベルのランドスケープ

作品:バベルのランドスケープ

流れる街の映像からどんどんと文字、文章、声が生まれていきます。これは是非、動画で見て欲しいので作者の動画ツイートを載せておきます。

「文字は自然に似るように進化した」というところからこの作品が生まれたようです。

0から1になる瞬間を目で追いかけるのが楽しく、無機質な男性の声が読み上げることで、その受け取り方は無限にあるように感じました。

文字は、その国の風景に似ているのかもしれません。

③サカサゴト

作品:サカサゴト

キューブの中は薄暗く、盤面が反転した古時計がズラリと並び、それらを囲うように鏡が張り巡らされていました。時計の中には幽霊らしきものが写り込んだり…、不気味な空間でした。

暗くてコンセプト用紙が全く見えず(笑) わずかな灯りで照らしながら読みました。

どうやら、どの時計にも死者を送り出すときの風習が映し出されているようです。時計が逆周りになっているのは、生前に近づこうとしているのでしょうか。

「あの世はこの世のさかさま」

鏡の中では、時計は正しく右に回っていました。ここでは自分がさかさまになってしまうようです。

④Aftereal 6

作品:Aftereal 6
入っていられるのは約40秒

「どうぞー」と係の方に約40秒のストップウォッチをセットされ、急いで中に入ると、そこには青い世界が広がっていました。

それは確かに在ったのに、そこに実在していてないらしいのです。発光した糸が高速で振動し、その光の残像だけが私の目に届いていました。

一瞬で40秒は経ち、外に出ました。その感動は、しばらくじわじわと 残像が残っていました。私たちが見ていたものは嘘?それとも現実?「リアル」とはなにか?ストレートで力強い訴えかけを感じました。

⑤Melting Hida Mountains

作品:Melting Hida Mountains

キューブに入ると、足元には、何やらどろどろと真っ赤な液体が生まれ、流れ出す映像が映し出されます。血液か、目玉焼きかと思いましたが、火山石を溶かし、再びマグマになる瞬間のようです。

石の”時間を戻す行為”というのは③サカサゴトにも通ずるものを感じましたが、これは一体どんなリアルを問いただしていたのか…。今回見た中で一番難しかったです。

面白かったのが、広がっていくマグマを私もみんなも自然と避けていました。映像なのに。それならあえて、マグマダイブ!やっぱりマグマの上は落ち着かなかったです。

⑥JK in the street. (普通の女子高生)

作品:INAGAKI MOMO

作品に集中して写真を撮るのをすっかり忘れていました…。

キューブ内では、女子高生の日常を映像にしたものが、壁3面に映し出されていました。

ダイエットがしたい。と言った後に、無限に好きな物が食べたいと言ったり。食べ物さえあれば何もいらないと言い、次の場面であっけなく、好きな人が欲しいと言う。

これほどにも堂々と矛盾や欲望を肯定できる素直さが、羨ましい。大人になって忘れかけていたものを思い出させてくれるようでした。

この作品のタイトルにもある「普通」というのは、人間らしさのことなのでしょうか。

さらに感銘を受けたのが、この作品を作ったのは現役の女子高生で、モデルも作者自身のようです。誰が作るよりもリアルな"JKブランド"が、煌々と輝いていました。

名刺が置いてあって、可愛かったので2枚貰っちゃいました。 自撮りしてるJKはえもい。


次の開催は2026年。そのとき世界は、いったいどんな「リアル」になっているのか、楽しみです。

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