変わるものと変わらないもの|倉敷散策
先日実家に帰省したついでに、倉敷へ立ち寄りました。
家に帰る前に倉敷寄って行く、と伝えると母親からは「いいと思うけど今更倉敷?」と不思議がられました。近年岡山随一の観光スポットとして注目されている倉敷の美観地区ですが、私にとっては「毎年部活で行ってた遠征の場所」。蔦が覆い茂るアイビースクエアも、白壁の街並みも中高生の頃の私にとってはただの通り道でした。
帰省とはいえせっかく県外に出るのだから、普段立ち寄らないところに行こうということで決めた目的地が倉敷でした。美観地区なら駅から徒歩圏内だし、半日もあれば観光できるだろうし。
ということで、高校の頃に利用していた経路で電車に揺られながら倉敷に到着です。
まずはコインロッカーに荷物を預けて。美観地区へは駅から出て正面のメイン通りをまっすぐ進むだけなので、道に迷う心配もありません。
私は小径感を楽しむためにあえて一本裏に入りましたが、大人のお店が集まるエリアを横切るのであまりおすすめはしません。なんとなくの方向に進んでいたら、想像と違うところに出ちゃいました。昔から知ってる町やし、と方向音痴が調子に乗ったらダメですね。
10時前に到着したので人もまばらです。人の少ないうちにと美観地区の風景を写真に収めながら進みます。最初の目的地は歌川国芳の作品が常設展示されているというUKIYO-E KURASHIKI/国芳館。
旅館を再利用した館内に国芳の作品が展示されています。入場料金は大人1人で1300円。作品の撮影はNGでしたが、館内の風景や眺望は撮影は可能とのこと。
100点以上の作品全てに説明が記されているのですが、この文字がとても小さい!人によっては読むのが難しいのではないでしょうか。施設の名前からも海外の方へも向けて作られたんだろうなと察せられる通り、解説全て英語での訳も記載されていました。
口コミでライティングについての不満を目にしましたが、美術館ではなく元旅館という建物の特性上、多少の反射などは致し方ないと思います。日本の古き良き建築の中で浮世絵を堪能できるという空間と、近い距離で作品を鑑賞できるという点がとても良かったと感じました。ただ作品が日焼けしないかという点は少し心配かも。
水滸伝や源平合戦を描いた作品が多く展示されているので、FGOや鎌倉殿クラスタの方にとっては熱い展示内容ではないだろうか。私は心の中で自分の中のささやかな知識と照らし合わせながら楽しめました。「知識が世界を楽しく豊かにする」が私のモットーなので。
最後の部屋には国芳門下の作品も展示されており、一見似たように見える浮世絵も作者ごとに個性が出ていて面白かったです。個人的には月岡芳年の作品が好きでした。
所要時間は1時間ほどと受付で教えてもらっていましたが、急ぎ足で進んだので30分ほどで見終えました。帰ってから知ったのですが年末に中之島美術館で歌川国芳展をやるようなので、そちらも楽しみです。
展示を見終わったあとはそのまますぐ近くの阿智神社に参拝。境内からは倉敷の街並みを一望できます。
阿智神社は本殿とは別の境内社がいくつかあります。菅原道真をお祀りしている菅原神社の横には、梅の木が寄り添うように植えられていました。
参拝を終えちょうど11時になったので目をつけていたカフェに行ったのですが、すでに待ち人の姿が。席は空いていたけれど注文をとるのに少し時間を要するみたいだったので、滞在時間も限られているしカフェは諦めて昼食は食べ歩きすることにします。
そうと決まれば川沿いへ。色々な観光地に出店しているミッフィーベーカリーでパンを購入しました。
倉敷はメインシンボルである大原美術館はもちろん、月曜日に定休の店が多いので人が少ないだろうと予想していたのですが、それでも海外の観光客の方もいたり賑わいをみせていました。帰りの電車の時間まで特にプランなくぶらぶらと散策します。
1時間ほど散策したところで、昼過ぎの電車で自宅へ向けて出発。この辺は電車が30分に1本だったり、方向によっては2時間待たなければならなかったりするので時刻表の把握が必須です。改めて5分に1本電車が来る都心の環境に感謝の念を抱く田舎育ちなのでした。
私は人混みを避けたかったので月曜日に来ましたが、倉敷には大原美術館という素晴らしい美術館があるので、絶対に開館日に来るのがおすすめです。私も次は美術館目当てに訪れたいと思います。
倉敷へ来たのは数年ぶりで、ここへは部活の遠征以外にもよく母と2人で遊びに来ていました。年齢を重ねた自分の中に10代の頃の記憶が呼び起こされて、なんとも言えない、懐かしいような寂しいような気分になりました。気泡を含んだ硝子の格子窓、炭化された木材の表面、山上の空気と眼下に広がる倉敷の街並み。学生時代には気にも留めていなかったものに美しさを感じる時間を過ごしました。
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