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『リトマス試験紙(オートエスノグラフィックな何か16』

髪を染めて、レザーを着始めただけで、これまで良くしてくれていた人が離れたり、何となく距離のあった人が近寄ってきたり、不思議なことが起きています。

私は、こちらの60代以上のトランスと話をしていると、しっくり来ます。こちらの同世代より、そういうエルダーのトランスの方が私に近いです。日本は北米より遅れて色々始まっているので、同じような第一世代だから、だと思います。

私は自分が第一世代だとは思ってませんでした。でも、これまでに書いたように、1997年には既に日本のアクティビズムの中にいた私は、じゅうぶんに第一世代だし、レズビアンコミュニティでトランスインクルーシブをやっていた、ある意味の筋金入り、です。しかもストーンブッチでレザーブッチ(あくまで「気味」ですけど)。

日本では私と私の下の世代には距離があるように、こちらの私くらいの世代と私には距離があるように思います。もちろん、人によります。

ノンバイナリーの知り合いがあんまり居ないというエルダーのトランス女性に、かつてのトランスセクシュアルがトランスジェンダーになり、かつてのトランスジェンダーがノンバイナリーに置き換わっているだけだと、ケイト・ボーンスタインを引用しながら話して、これから時々コーヒーに出かける友だちになってもらえることに。自分でリニューアルした車でドライブに連れていってもらえそう。共通の話題も多い。1990後半の当時の日本での経験のように。

インターネットが始まる前にネットで用語を知り、レザーを着て、モーターサイクルか車を飛ばして、ディソシエーションで記憶をなくし、しかし取り戻していった人びとも知る彼らは、私にむしろ親しみを示し、ドラァグやバーレスクを踊っていると言うと、かえって喜ぶ、まさに、ストーンウォールの世代。

私は彼らより年齢は若いから、ここで、下の世代との糊代になるのに、おそらく、ちょうど良い。移民による多民族の国だからこそ。そんな風に思った集会の夕べでした。

それから、分かってもらうのが難しそうな人とは、無理につながらないことにして、どんどん次に行くことにしました。例え、なんらかの利益が私にもあっても、無理をするより、すぐ離れて、次を見つける方が省エネ。世の中には沢山の色いろな人びとが居て、どこにでもマイピープルの可能性のある人が居ます。そうして、何がしかのテストをしてみないと、本物かどうかは、わからない。

私の孔雀のような髪と、タトゥーとレザージャケットは、そしてインディペンデントで働き、経済的に不安定で、さらに服も脱ぐセクシーダンスを踊っていることは、ある種のリトマス試験紙です。

私が教授にまでなったのは、単に研究を続けたかったからで、地位や名誉が欲しかったからでは全くない。実際に、する仕事する仕事、全て名誉なことだと思うのものだったけれど、私はどんどん削られていって、全く幸せにはなれず、何のためにやっているのか最後には全く分からなくなっていた。

だから、むしろ全て失った今、本当にサッパリとして、清々しい思いで、次に進める気持ちになっています。新しい人間関係の持ち方の練習に、辛くなる時があるけれど、しかし、これは、乗り越えるべき峠です。

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