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『浅黒い肌(オートエスノグラフィックな何か16)』

白人の客を優先して、謝りながら私を後回しにする、というのは、よくある状況だ。本当に、どこでも発生する状況。それを引き起こすのは、もちろん白人ではない。

Rとは握手して、その後、私のことをハグするインデジネスとブラックのミックスのドラァグクイーンを思い出す。

メキシコからの移民のドラァグは、見た目からはそれがそんなに分からない。だから、見た目の問題ではないということも、もちろん知っている。

でも、初めてステージに立った私が最前列の真ん中で、右がプロ、左がセミプロだったりする時、私は自分のダークな肌のことを、ベトナム系より黒く、フィリピン系よりも時に黒く、タイ系と同じ浅黒さの肌のことを思い出す。

そして、北京では南方系と言われていた顔立ちのことを思いだす。

神秘的でセクシーかもしれないけれど、別に好きでそうなわけでもない。

所属先の紹介のビデオでも、インド系の研究者、黒人の研究者、私が映像で紹介される確率は、妙に高い。

Rの手を握りながら、まるで昔のベネトンの広告だ、と思う。どんどん屈折していく。

幼少時、私のあだ名は「黒人」と「フィリピン」。どちらも私の当てはまるカテゴリーではない上に、一つ目は人種、二つ目は国名。ライルかよ。そのカテゴリー化のされ方が不思議だと思うことをきっかけに、レイシズムについて学ぶために大学に入った。EMCAを使いカテゴリー化の研究をするのも、三つ子の魂百までである。しかし、私は、地元で、朝鮮系と同様に秘密にされてる、先住民族アイヌだっつうの。

そうして、私はここで、本場で、ダークスキンとして差別される経験、をしている。


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