見出し画像

その場で一番になれ(鶏口と為るとも牛尾となる無かれ)

 志望していたA大学に入れず、ランクの下がる大学に入った。するとたいていの学生が「残念だ」と落ちこみ、劣等感を持ってしまう。馬鹿なことだ。なぜ、「よし、オレはB大学で一番になってやるぞ」と奮起しないのだ。どんな大学でも、一番となれば大したものであり、その社会的評価は高い。一流大学の下のほうより、はるかに尊い。そういう人間はモノになる。

 仕事も同じである。「どうせ雑用係だから」「日の当たらないサービス係に配属された」などとボヤいている人をよくみる。なぜ「よし会社一の雑用係になってやる」「日本一のサービスマンになってやるぞ」と発奮しないのだ。現状に不平不満を言って努力しない人間は、どんな会社のどんな仕事に携わってもロクなことはできはしない。

 木下藤吉郎は、織田信長の草履取りをしている時、「わしは日本一の草履取りになってやる」と工夫し努めた。まさに彼は日本一の草履取りであった。そして認められ、ぐんぐんと昇進したが、常にそのポジションで日本一をめざし、とうとう日本一の天下人になったのである。

「会社は小さいが品質は世界一」――そうして頑張っているうちに、本田技研もソニーも世界の大企業になった。“合従”を説いた中国の縦横家の蘇秦は、こう言った。

『寧ろ鶏口と為るとも牛尾となる無かれ』(十八史略・一)。

『ビジネス戦略を支える 中国名言の智慧』(窪島一系)より

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

中国名言の知恵 表紙画像(127×188ミリ) (2)

電子書籍の購入はこちら


著者近著 『現代人のための仏教説話50』(窪島一系著)好評発売中