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ろう者の方から講演のご感想をいただきました!

豊島区聴覚障害者協会での講演が「豊聴協ニュース」に掲載されました

先日2019年9月8日に豊島区聴覚障害者協会の親睦のつどい、敬老のお祝いでの講演の様子と感想を「豊聴協ニュース」(2019年10月号)に掲載していただきました。参加者は37名。とても素敵な文章なので、ご快諾を得て、こちらでも紹介させていただきます(写真は講演スライドから転載)。

講演の様子と感想(以下、転載です)

ソーダ・・・”灯台下暗し”

聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会代表・弁護士の藤木和子さんが「聴覚障害者のきょうだいと付合い」をテーマに講演。 

ソーダ(SODA)とは、聞こえない兄弟姉妹のろう者がいる”聞こえる人”のことである。両親がろう者で子どもが聞こえる人のことを”コーダ”と言い、今までも耳にする機会が多いのだが、”ソーダ”とは聞き慣れていないので面食らってしまった。

ただ、良く考えてみると、いわゆるコーダの人よりソーダの人が圧倒的に多いはず。

まさに”灯台下暗し”である。

 ソーダの方々がぶつかる様々な状況に解決することもなく仕方が無いと片付けられてきたのではないかと彼女の講演で気付かされたのである。

すべての参加者に情報を”平等”に提供したい

 また、藤木さんの講演は今までとはかなりパターンが違っていて、聞こえる人である藤木さんは完全に手話で話し、音声通訳は地元の通訳者に任せ、手話が苦手な聴覚障害者にはパワポや板書による文字情報を提供していたのである。全ての参加者に”平等に”情報を提供したいとのこと、なるほどと感心せざるを得ない。

聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会を立ち上げるまで

 藤木さんは、3歳下の聴覚障害を持つ弟さんがいて小さいときはゲームや漫画、けんかなど対等の感覚で接していた。
 ところが、聞こえる親には「聞こえるお姉さん」「聞こえない弟」「助けてあげて(将来も)」「2人仲良くして」というふうに期待されていたという。
 「お姉ちゃんだから」は嫌。「聞こえるから」、「聞こえないから」も嫌。「助けてあげてね」ではなく「助け合えるように」と自分は思うに至った。デフの友人に聞いたら同意してくれたとのこと。

大人のデフ・ソーダ、理解者とのつながりや大人になったソーダとデフの経験や交渉などを伝えるために『聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会』を設立した。まず話せる場、一緒に考える場を作り、似た経験からヒント、情報が得られる場が必要だと。自分の体験を反映しているのがよくわかる。よくぞ思い付いたなと思うのは編者だけではあるまい。

 実際にソーダの小学生が入会して大人のソーダの体験話にもやもやしたものがスッキリしたようで良かったと嬉しそうに語る藤木さん。確かに「課題が知られていない」「つながりや情報、相談できる人がいない」という問題は深刻である。

 ソーダの方には「聞こえることへの申し訳なさ」を感じることがあるという藤木さんの話に編者は驚いたのである。また「楽しいことであっても共有しにくい」ことは編者も聴者の兄がいて実感できるし、編者の場合、あきらめていた。

手話との出会い

 そんな藤木さんが「高松市の手話通訳派遣拒否裁判」に関わって、手話や手話通訳のことを知ったという。今までは聴覚障害者の弟とは口を大きく上げて話す、身振りなどでコミュニケーション出来ていたとうぬぼれていたが、手話と出会ったことで今まで思い込んでいたのは違っていたとショックを受けたと言う。デフの大人と初めて出会ったのは29歳の時というので驚かざるを得ない。その後は手話を覚え、弁護士としてろう者と関わり合うことが多くなってきたと懐かしそうに語る藤木さん。

 

弁護士としての経験事例

弁護士として経験する事例として、兄弟姉妹(デフ・ソーダ)で遺産相続で手話通訳者を通して話し合ったという話で、コミュニケーションがないとケンカも出来ない、話し合えたのは良かったが今更では遅すぎると残念がっていたという話にはうなずく参加者たち。
 旧優生保護法裁判にも関わっている藤木さん。手話の出来る弁護士として、今後も更なる活躍を願ってやまない。

講演を終えて

 約1時間位で講演を終える。藤木弁護士さんの手話は、とてもわかりやすいとろう者たちには大好評であった。パワポもあって実に疲れない講演だった。ありがとうございました。
 その後、懇親会に入り、いくつかのテーブルに分けて参加者たちは和気あいあい交流する。バウムクーヘンとお茶も用意されていた。このバウムクーヘンは年輪で表しているので敬老の祝いによく使われていると店員に勧められたけれど、なるほど美味しかった。藤木弁護士さんも各テーブルを回って交流したのである。
 午後4時過ぎに閉会。参加者の皆様、お疲れ様でした。

私の感想

本当に素晴らしい感想をいただいたことに感謝です。

デフの方々がいなければソーダはいません。また、ソーダとしての活動の先輩はいないので、実は私はデフの方々の活動を参考にさせていただいています。

ソーダの課題は”新しい課題”ではありますが、デフの方々が感じてきたこと、向き合ってこられたことと似ている部分も多い気がします。

例えば、「ぶつかる様々な状況に解決することもなく仕方が無いと片付けられてきたのではないか」は、デフの方々も強く感じてこられたことだと思います。その中で、あきらめなければならなかったことも多かったと思いますが、あきらめずに長年活動を続け、社会を変えてこられた姿から多くを学ばせていただきました。

「(藤木が)デフの大人と初めて出会ったのは29歳の時というので驚かざるを得ない」は、デフの方でも、デフの大人や手話で出会うのが大学や就職以降という話も良くありますが、本当に驚かざるを得ません。

このインターネット時代、デフもソーダも、親御さんも、もっと早く、情報やつながりに出会えれば、ちょっとした気付きやアドバイスで大きく変わる場合もあると思います。”この情報”が必要な方に”この情報”が届きますようにという願いを込めて転載させていただきました。

私個人としては、「実に疲れない講演だった」がとてもうれしい一言でした。私の講演方法への試行錯誤も理解してくださり、講演後にこうすると良くなるとアドバイスをくださったことも本当に感謝です。内容も講演方法もさらに良くしていきたいと思います。そして、ソーダとデフ、家族、その他それぞれさまざまな背景をもつ多くの方々が幸せになれるような活動をしていきたいと思います。どうもありがとうございました&これからもどうぞよろしくお願いします!(↓は豊聴協の長谷川会長からいただきました!)


今後のSODAソーダ関係の講演予定

↓詳細は聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会HPをご覧ください↓


「きょうだい」がいつか辞書などにも載るコトバになりますように!!