虎に翼を信じる理由
皆さん、朝ドラ「虎に翼」見てますか?
僕は朝ドラ熱心だったりそうじゃなかったり、その都度という感じでして。これまでで熱中したのは「あまちゃん」「ひよっこ」「カムカム」あたり。
で、今回の「虎に翼」にも熱中しています。
熱中するきっかけになったのは、少し前になってしまうんですが第3週のエピソードで。
大学で一緒に学ぶ同級生で、男装をしているヨネさんという謎めいたキャラクターが出てきて。彼女がケガしてしまったので、ヨネさんが住み込むカフェー(今のcafeとは違い、キャバクラに近い感じ)まで付き添うというエピソード。
そこで、訳知り顔のマスターが「彼女の生い立ち聞きたいかい?」と話しかけてくるわけです。
これってフィクションの王道というかよくあるパターンですよね、謎めいたキャラクターの素性を明らかにする時のよくあるパターン。でも僕は毎回「なんでお前が勝手にしゃべんだよ」と思っていて。もちろん物語を進めていく上で必要なこともわかるから納得はしているんですが、モヤモヤすることも多くて。
ところが「虎に翼」では、伊藤沙莉さん演じる主人公寅子(ともこ)がはっきりと
「いやいいです。彼女のことを他の人から聞くのは違うと思うので」
と断るんです。
マスターは「え!?」となり「でも本人話したがらないと思うぜ…」からの、結果ヨネさん本人が登場して「変な勘ぐりされるよりましだから自分で話す」と言って話しだすことになる。
結果としては彼女の素性がわかるという意味では一緒ではあるんですが、この過程があるだけで、僕のこの物語への信頼はとても強いものになりましたし、この物語が伝えたいメッセージのようなものがこのシーンにも詰まっていたような気がするんですよね。「私たちの物語は他の誰かに語らせない。私たちが語るんだ」という宣言のような。
朝ドラは全体としてはとても長い物語ですが、1話としては15分というショートタームな作品で。そこにこういう、ある意味では「めんどい」演出を入れることはかなりの手間だと思うんです。それでもここに時間をかけるということそのものがこの作品がどういう作品として成立しようとしているか、ドラマとしてのアイデンティティみたいなものを宣言してくれたと感じていて。今では毎朝見れることが楽しみですし喜びです。
写真は2年前の名古屋旅行でたまたま立ち寄った名古屋市市政資料館。ドラマ見ている人にはすぐわかる、裁判所のシーンなどで使われている「聖地」です。また行きたいな。
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