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キキだ!トンボだ!アニメから抜け出てきたみたいなミュージカル「魔女の宅急便」

島田薫です。

先日、東京・新国立劇場で上演中のミュージカル「魔女の宅急便」(28日まで、名古屋・大阪公演あり)を取材してきました。

「魔女の宅急便」といえば、角野栄子さんの児童書を原作としたスタジオジブリのアニメが大ヒット。蜷川幸雄さん演出のミュージカルや実写映画化、海外での舞台化を経て、2017年からは製作陣が入れ替わった新しいミュージカル版を上演。今回で再々演を迎えます。

物語は、13歳になった魔女のキキが相棒の黒猫・ジジとともに新しい街で1年間修行する姿を描くもので、“飛ぶこと”に憧れる少年・トンボやパン屋さんのオソノさんらと交流しながら成長していきます。

注目は、再々演から新メンバーとして加入したキキ役の井上音生(ねお)さんとトンボ役のジャニーズJr.のユニット「美 少年」の那須雄登(ゆうと)さん。再演を重ねる大人チームがしっかり脇を固める中、誰もが知るこの作品のカギを握るのは、フレッシュな2人の魅力に尽きます。


現在16歳の井上さんは、2016年開催の「第8回東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。

東宝シンデレラ出身者といえば、沢口靖子さんを筆頭に、長澤まさみさん、上白石萌音・萌歌姉妹、浜辺美波さんなど、透明感のある女優が多数。オーディションは不定期で開催していますが、2016年以降は行われていないので、井上さんは“最新の東宝シンデレラ”ということになります。

その井上さんにとって、これが初主演にして初ミュージカル。どんなキキを演じるのだろうと楽しみにしていたところ、ステージにいたのは、まさにキキ。黒いワンピースに顔より大きいのではと思える赤いリボン。本当にアニメの世界から抜け出てきたような雰囲気です。

そして歌声。よく通る大きな声で透明感があります。セリフもキキそのもので、とにかく可愛い。何と言っても、堂々としています。取材の時は誰よりも声が小さく、周囲を気にする素振りも見せていましたが、舞台に立てば全く動じません。

ここ最近、オーディションの取材をしていて思うのは、選ばれる人は皆、物事に動じないということ。

少しぐらい音を外そうが、失敗しようが、自信を持ってやりきっている子が合格しています。井上さんも同様です。

カーテンコールも、主役として真ん中であいさつしないといけないところを、初めてのことで明らかに慣れていない様子。それでも焦ることなく、自分のペースで皆をリードしてお辞儀。ついつい急ぎがちになるところですが、大物は人を待たせるくらい、ゆっくりとコトを進めるんだなと。皆より少しテンポが遅いくらいで、ちょうどいいのかもしれません。


そんな井上さんは、昨年4月、高校生になるのを機に愛媛から上京。東京に来てようやく1年、キキの修行の1年と、まさに舞台と実生活がリンクし、役に入りやすいと言います。

キキは魔法の修行、井上さんは芸能の修行。どちらも周りの人を幸せにする、人との出会いや結びつきが大事だというところも共通していますね。


一方、トンボ役の那須さんですが、こちらもジャニーズ以外の舞台は初挑戦。美 少年のメンバーで、勉強が得意な現役大学生の19歳です。ジャニーズのインテリ軍団としてクイズ番組に出演したり、ドラマ出演も増えています。


那須さんもまた、出てきた瞬間、本当にアニメの世界から抜け出てきたような文句なしのビジュアル。登場のたびにポーズが独特で初々しく、フレッシュ感満載。ダンスパーティの場面では、本領発揮で軽やかに踊ります。後ろの方にいてもなぜか目がいってしまい、「これがアイドルの力か!」と思わずにはいられません。

那須さんの魅力は、稽古場でも遺憾なく発揮されているようで、とにかく共演者が絶賛。「ものすごくいい子」「愛くるしい」と皆がメロメロで、カンパニー内にファンクラブがあるんだとか。


ところで、キキのお母さんは薬が作れる魔法を、キキはほうきで空を飛べる魔法を使えます。自分だったらどんな魔法が使いたいかな~と考えてみましたが、私の場合は人の心が読める魔法がいいかな、と。遠慮して本音を言わない人とか嘘つく人、本当はどう思っているのか知れたらいいなと思うけど………実際に使えるとなると、嫌になって返したくなるかもしれません(笑)

皆さんはどんな魔法を使いたいですか?

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