見出し画像

今回(2024イタリア)のG7サミットの裏番組は?

今回のG7サミットの裏番組は?前回2023広島サミット時のチャイナが仕掛ける裏番組は「中国中央アジア(五カ国)サミット」という中央アジアにゴリゴリ入り込む宣言の渋くて手堅い一手でした。

※下記はクライアント向け僕のレポートより抜粋。

今回の2024G7イタリアサミットでの裏番組は、習近平は南南協力(グローバルサウス盟主化概念に近いもの)を念頭にしたUNCTADオンライン演説と、李強のニュージーランド・オーストラリア・マレーシアへの物理的外遊です。

去年の裏番組よりは制作費も安価で視聴率は低そうですが、それでもテレ東さんくらいのアイディア勝負の渋くて有効な一手です。NHK的番組制作スタイルのG7、テレ東的番組制作スタイルのチャイナ、対称的であります。(※テレ東さんをディスる気は一切ないです。僕はテレ東さんの番組コンテンツ大好きですし、テレ東さんのポジションとビジネス戦略を客観的にとらえて、という意味で。)

チャイナは、G7を「G1+6」というレッテル貼り論を多用し、G7は米帝主導の金持ちグループと断じます。意識高い系の既得権益ブルジョワジー、帝国主義の米国にひっぱられるその他の6カ国や欧州連合である、と批判します。
そのうえで、G7のアウトリーチ(G7以外の国々、主に途上国へ)のプレゼンスは低下していると語ります。
一方で、習近平率いるチャイナ自らは何十年も実質的に連携してきた「南南協力」として(昨今流行りのグローバルサウスみたいなバズワードではない)実質的な途上国連帯を目指しその盟主たるという宣言です。
チャイナのプロパガンダメディアや政府発表の内容をまとめて俯瞰すれば、習近平自身は直接的にそれを語らないものの、UNCTAD演説は、チャイナは対米・対既得権益先進国として、プロレタリアート連帯的なイデオロギー戦をしかけていて、その連帯した途上国利益を代弁するのは自身である、という話になってきます。

さて一方その頃、習近平の子飼いである李強(リチャン)は、ちょいと前まで対中対立が激しく貿易制裁をやっていたが若干雪解けした南太平洋の大国オーストラリア&NZに物理的に攻め込みます。豪はQuadとしても、AUKUSとしても「抗中」陣営にあるのは間違いないですが、そこにグイグイとリチャン営業部長をつっこむチャイナっぽいストロング営業スタイルです。そしてASEAN固めのマレーシアも付加しています。マレーシアはインドネシアと並んでASEANの中のイスラム教国でありまして、イスラエルーハマス間の紛争に関して、米国がイスラエル側に一辺倒で立つことへのカウンターとして、チャイナとしては中東アラブ諸国の価値観にも通じるマレーシアとの連帯は国際的な視野として抑えておきたいわけです。(同じくイスラム教国のインドネシアに関してはジョコ政権も、次期政権を率いるプラボウォ氏も訪中をしてチャイナとは相互に引力が働いています。)

そんなわけで、今回のG7サミット裏番組もアイディア満載で、なかなか「敵ながらアッパレ」といいますか、うまいことやってんなぁ、という感じで視聴いたしました。

おまけ:我らがモディ閣下は、G7サミットに招待されるも相変わらずトルドー氏だけに塩対応されていて、いやはや笑いを取るのを忘れないな、と感心しておりました。

告知:こんなのもやってますので、チャイナやインドについて興味のある方は、勉強会にもぜひご参加ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?