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成績優秀な社員を昇進させてはいけない!昇進はランダムに行え!?

成績が優秀な社員を昇進させ、新しい役職に任命するのは、多くの会社で行われているごく当たり前の常識です。しかし、有能な人材を昇進させることで、組織全体が無能になることがあるのです。この現象は「ピーターの法則」として知られています。

一体どういうことでしょう?

ピーターの法則

「ピーターの法則」とは、例えば営業職として優秀な成績を挙げている社員を営業課長として昇進させたとします。ところが課長になれば部下をまとめたり、営業企画を考えたりと、これまでとは違うスキルが求められるようになります。しかし、現場で有能であった社員が管理職としても有能であるという保証はありません。むしろ成績を下げてしまうかもしれません。
スポーツの世界でいうと、優秀なプレーヤーが監督としても成功するとは限らない、という事例に似ています。

さらに、課長としての能力が認められ部長に昇進させたとしても、部長としての新しいスキルを持っているとは限らず、最終的に組織全体が無能な人材で溢れかえる可能性があると「ピーターの法則」は警告しています。

常識仮説

一方で、優秀な人材は昇進しても一定の能力を維持するという「常識仮説」という考え方も存在します。つまり向き不向きはあっても、ある程度の能力は持ち続けるという考え方です。

それでは一体、どちらの考えが正解なのでしょうか?

ランダム昇進させるのがもっとも効率的!?

イタリアのカターニア大学の研究チームは、コンピューターシミュレーションを用いてこれらの仮説を検証しました。160人の社員が6段階の階層を定年60歳まで昇進するという設定でのシミュレーションを行ったのです。

ピーターの法則を採用した場合、無能な人材の昇進が有能な組織を形成することが明らかになりました。逆に、「常識仮説」を採用した場合、有能な人材の昇進が有能な組織を形成しました。それぞれの仮説が間違っていると仮定すれば、結果は逆となります。これは直感的にも理解できる結果です。

そこで研究者たちはさらに、ランダムに昇進させた場合もシミュレーションしました。すると「プラスは小さいが、マイナスにもならない」つまり無能な組織となるリスクを最小限にし、そこそこ有能な組織になるという結果を導いたのです。「組織はランダムに昇進を選択することが効率化の近道となる」と、研究者たちは述べています。ちなみに、この研究は2010年にイグノーベル賞を受賞しています。


もちろん、シミュレーションの結果が実際の組織にそのまま当てはまるわけではありませんが、昇進の選定を単に過去の成果だけで行うのは得策とはいえなさそうです。そのくらいだったら、ランダムに昇進させた方がいいということです。仕事の成果も考慮しながら、次の役職の適性も見極めて昇進させる必要があるのです。


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