「アフリカの夜」⑩有香と礼太郎のすれ違い
「アフリカの夜」は23年間、私の心に沁み続ける。
八重子と礼太郎のキラキラした雨の夜、公園のちりめんじゃこのシーン。こちらが出会いなら、有香と礼太郎は別れだ。
特に好きなのは、エキサイティングパブアンカレッジのシーン。
CMに抜擢されて沖縄ロケに行った有香。仕事が終わって、礼太郎に電話をかける場面だ。
八重子がメゾンアフリカに引っ越してから、有香と礼太郎は何か歯車が合わなくなってきた。有香も、それは分かっている。そんなタイミングで、仕事の大抜擢、ここから大躍進できるかも……
CMの仕事が決まって、礼太郎と決別しようとしてきた。出かける前には、やって来た礼太郎を部屋に上がらせず、距離をとろうとしていたのに……
仕事が終わって、ふと電話を見ると、礼太郎の顔が浮かんだ。そんな時に掛けた、魔が差した電話なのだ。
なのに、である。
有香「仕事だもん。十個でも百個でも食べるわ」
礼太郎「(聞き取れず)も一回言って?」
有香「……」
沖縄ロケで嫌になるくらい水羊羹を食べたシーンがあった。それでも、愚痴を言うでもなく、笑顔で食べ続けた有香。その頑張りはプロそのもの。
CM撮影で一番大変で頑張ったことを話しているのに、聞こえないだと!?
しかも、エキサイティングパブでのホステスのバカ騒ぎが原因で。
レ~タと別れる、有香がそう決めた瞬間だった。いわゆる「別れの瞬間」だ。
有香が沖縄から戻ってくる日。礼太郎は空港まで迎えに行くが、スタッフに囲まれている有香を見て、身を引く。有香がそんな礼太郎を見つけて……
このシーンも最高。
前半では、有香は礼太郎に突っかかった言い方をしている。「華やかじゃいけないの」とか。八重子の特徴である「朝ご飯をきっちり作る女がいいんでしょ!」とか。
このトーンですれ違うのかと思いきや、突然、「それがいいんだったら、アタシそうなる!」って!?こういう、予想を裏切るパターンがいい。アフリカはそれが多い。
土産の羊羹投げ出すという有香の子供っぽさが、かわいい。それを「こら。食べるもの投げちゃいけません」と、母親っぽく言う礼太郎も。これは、「王様のレストラン」で千石さんが「アローモンベベ」とフランス語の
幼児語を使うのと同じ。おもしろかわゆい。
しかも、これだけじゃ終わらないのが大石さん。
ハイ、来た!「道は開かれている」の主題。
礼太郎は、このセリフを本気で言っている。そういう奴だ。だけど、このカッコイイ言葉で、もうダメなんだという有香の感覚も鋭いし、見ている人は、なるほどな、と唸る。
結論
危機のあと、フェイクでかまして、クスッと笑わせたら、ドラマの主題
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